島 紀史、コンチェルト・ムーン最新ライヴ作を振り返る「『BETWEEN LIFE AND DEATH』という作品をもう1回生き返らせる」

島 紀史、コンチェルト・ムーン最新ライヴ作を振り返る「『BETWEEN LIFE AND  DEATH』という作品をもう1回生き返らせる」

2015年発表のスタジオ・アルバム11作目『BETWEEN LIFE AND DEATH』が10周年を迎えたことを記念し、コンチェルト・ムーンは2025年12月、同作の完全再現ライヴを東名阪にて実施。そのベストなテイクを集めたライヴ・アルバム『BETWEEN LIVE AND DEATH』が、4月22日にリリースされた。本作は島 紀史(g)がベストな状態だと語る最新のバンドの音をそのままパッケージしており、実際ライヴ・アクトとしての彼らの比類なき実力を堪能できるわけだが…リリースを目前にして芳賀 亘(vo)の脱退が発表されるという、思わぬ事態も起きている。本作の裏側にあった様々な事情について、リーダーの島がおおいに語ってくれた。

バンドの状況がいいんだからライヴで録ってしまおう

YG:新しいライヴ・アルバムの話をお聞きする前に…芳賀さんの脱退が発表されましたので、その話から先にお窺いしていいでしょうか?

島 紀史:芳賀とは7年弱やってきたんですけど、彼の脱退の裏には別に血で血を争う争いも、身の毛のよだつようなホラー・ストーリーもなくて。ミュージシャンというものは、別のことをやりたくなることがあるんですよ。僕も自分の好きなバンドから「方向性の違い」でメンバーが脱退する時、残念に思わされたことは多々ありましたけど…今回も要はそういうことなんです。お互いが理想とする音楽を、それぞれが別々にやるのが健康的だと。もちろん彼が歌ってくれていたからこそ、僕自身素晴らしいと思えるオリジナル・アルバムを2枚も作れた、そこには感謝しかないです。がっかりした人もいるかもしれないけど、僕らとしては後ろ向きな感覚は全くないですね。今は新しいヴォーカリストを探してる最中で、これが記事になっている頃には自薦他薦を問わず、公募することになっていると思います。伝手だけをたどって探すのも限界があるし、もしかしたら僕らの知らないすごいヴォーカリストがどこかにいるかもしれないので、広く募った上で、良い人材と巡り会えたらいいですね。別にね、自分が憧れたミュージシャンたちの真似をして、メンバー・チェンジをどんどんやってやろうなんて思ってないんですよ(苦笑)。いつだって「キャリアの最後までこのメンバーでやるんだ」と思いながら活動してきたんです。でもね、時代も変わりましたから。例えば新しく来てくれる人に「今までやっていた活動をすべて辞めて、コンチェルト・ムーンだけをやってくれ」なんて言うつもりもないですし。

YG:確かにロニー・ロメロなんかも、いろんなバンドに引っ張りだこになっていますしね。

島:そう、彼なんてリッチー・ブラックモアにレインボーで抜擢されるまで、そんなに誰もが知るヴォーカリストではなかった…って言ったら失礼ですけど。でもああやって活躍したことで、「こんなにいいリード・シンガーがいたのか!」と有名になった。その後、このバンドもロニー、またこのバンドもロニーみたいな状態になっていましたよね。

YG:そんな人が日本から出てきてくれたら、嬉しいですよね。

島:そう、いるかもしれない。知らないところで引っ張りだこになっている、素晴らしいシンガーがね。だから広く、素晴らしいと思える人と出会えればいいなと。

YG:ちなみにコンチェルト・ムーンは結果として、ヴォーカリストが変わる節目にライヴ盤がリリースされる形になっていますね。

島:そうなんですよね、考えると。それだって決して意図していたわけではなくて…今年の上半期は今回の新しいライヴ・アルバムの作業をしつつ、次のスタジオ・アルバムの曲作りを同時にやる時期に当てるつもりだったんですよ。ライヴ・アルバムに関しては基本的に、『BETWEEN LIFE AND DEATH』を出してから10年経った節目なので、現在廃盤で聴きづらい状況に陥っているのを、どうにかしたいと思ったんです。なんでも、プレミア価格で売られていたりするらしいんですよ。だからちゃんとオフィシャルな形でCDを手に取ってもらえるように、全曲再現ライヴをアルバムにするというアイデアが出てきたんです。

YG:島さん的には2015年の『BETWEEN LIFE AND DEATH』というアルバムを、どういう位置にある作品だったと捉えていますか?

島:当時、河塚(篤史/dr)と中易(繁治/b)が加入して、やっと正式メンバーがそろったというところで、前向きなエネルギーを感じていたんですよ。曲単体としてもすごくクオリティの高いものがたくさん入っている。例えば「Alone In The Dark」は1曲目としてすごくいい出来だし、スピーディでメロディックなロックとしても満足がいっているし。だから今回改めて、今のすごくいいバンドの状態を収められて良かったと思いますね。まあもう10年もやってますからね、河塚と中易と僕の組み合わせは。バンドの基本っていうのはやっぱり、ドラム、ベース、ギターの3リズムで、そこがガシっと固まっているからこそ、三宅(亮)のキーボードとか芳賀の歌とかがしっかり映える。今このメンバーで改めてやることによって、熟練度が高まりつつライヴならではの勢いに任せたところもある、すごく更新された作品になるんじゃないかなと。ちなみに例えばスタジオ盤として歌を録り直したりして、今のレーベルで出し直すみたいなアイデアもあったんですよ。ただその話が出た後…『RAIN FIRE』(2020年)を作った頃のタイミングで、コロナ禍になってしまって。新作を手に取ってもらえるかどうかもわからないのに、プラスで過去作のリメイクを出してもね…と。

YG:なるほど。

島:例えば新たにすべてのパートを録り直せば、前と違った表現もできるだろうけど、結局それも面白みに欠ける。そういうのじゃなくて、バンドの状況がいいんだからライヴで録ってしまおうというのが、今回の作品の狙いなんです。しかも東京、名古屋、大阪と3公演やれば、より良いテイクが選べる。だから単なるライヴ・アルバムというよりは、お客さんに一緒に歌ってもらったり声援をもらったりしながら、『BETWEEN LIFE AND DEATH』という作品をもう1回生き返らせる、そういう企画なんですよ。

YG:当時の本誌に載ったインタビューを読み返すと、それまでどんどんアグレッシヴになっていた音楽性が、原点回帰的な方向に立ち戻ったと島さんはおっしゃっているんですよね。

島:原点回帰というのは、今も続いている意識ですね。アグレッシヴというのは『BLACK FLAME』(2013年)辺りのことで、もちろん当時もキャッチーなメロディがあるHR/HMをやるという意志には一切ブレがないんですけど…。その昔、コンチェルト・ムーンがデビューした頃に「様式美ハード・ロック・バンド」と言われることに抵抗があったんですよね。そもそも自分の好きなバンドには、どれも異なる様式美があるわけですよ。ジューダス・プリーストにも、アンセムにも、もちろんレインボーだとかディープ・パープルにも様式美があるし、スコーピオンズにもアクセプトにもメタリカにもあるでしょ。そうではなく、俗に言われる様式美というものに対して、嫌だと思い込んでしまう時期があったんですよね。今考えれば若気の至りだけど。例えば良いメロディを思いついても、俗に言われる様式美っぽいからやめようとか、そういうことがたくさんあった。もったいなかったと思いますよ。そういうくだらないこだわりをなくそうと思ったのが、実は『BETWEEN LIFE AND DEATH』を作る頃だったんです。それ以降、『TEARS OF MESSIAH』(2017年)や、芳賀と作った『RAIN FIRE』(2020年)にしても『BACK BEYOND TIME』(2024年)にしてもそう。胸を張ってこれが我々の音楽ですと言えば、それでいいじゃないかと。

YG:島さんの中の様式美というのは、要はそのバンドなりの型を持っているということですね。

島:うん、そうだと思う。

YG:コンチェルト・ムーンの型が、自信を持ってできたと思えたということですか。

島:そう。さっきも言いましたけど、例えば「Alone In The Dark」はヘヴィなリフで始まるし、アレンジ自体もヘヴィだしメタリックだけど、サビのメロディは本当にキャッチーで綺麗で悲しいものが作れたと思うし。ちなみに実際のところ東名阪でのライヴでは、最初は他の作品からの曲をいくつかプレイして、その後『BETWEEN LIFE AND DEATH』の再現パートをやって、さらに他の作品からの曲でライヴを締めるようなセットリストの組み方だったんですよ。だから「ここから『BETWEEN LIFE AND DEATH』が始まりますよ」とお客さんに知らせるための、SEを新たに作ろうということになって。僕の教え子でアリストピアというバンドをやっているIchiというギタリストが、オーケストレーションをすごく得意とするので、彼に相談したんです。僕自身は楽典に詳しくもないし、オーケストラ・アレンジをやるにあたってどの楽器の音域がどの辺りで…みたいな知識にも乏しいから、得意な彼に作ってもらおうと。

YG:なるほど、それが冒頭の「A.I.D Overture」なんですね。セットリスト通りに並べず、Disc 1に『BETWEEN LIFE AND DEATH』からの曲を固めたのはどういう理由ですか?

島:それが主役だから。

YG:1枚のアルバムとして聴けるようにしたかったわけですか。

島:そうです。Disc 2に入っている「Hope Seeker」「Black Flame」が、実際のライヴでは1~2曲目。そこから『BETWEEN LIFE AND DEATH』を10曲演奏して、そのあと『FIND MY WAY』から3曲ぐらいやって本編が終わって、アンコールがあって…みたいなセットリストですね。Disc 2の冒頭がオープニング感のある形になっているのは、そういうことなんです。

YG:なるほど。ちょっと話は外れて、意地悪な質問になるかもしれないですが…2024年にイングヴェイ・マルムスティーンが来日した際、本誌に掲載したインタビューで、彼は「アルバム完全再現ライヴっていうのはくだらないアイデアだと思う」ということを話していたんです。

島:言ってましたね(笑)。

YG:その意見に対しては、島さんはどう思います?

島:イングヴェイがそう言うのはわかるんですよ。あの人って、何が起こるか予測できないような状況でライヴをやりたいタイプじゃないですか。だからアルバムを1曲目から順に演奏するのは、すごく強い縛りに感じるんじゃないですかね。僕自身は、今ならではの要素を加えて演奏できるとか、そういう風に思う。あと、僕がアルバム完全再現というものを嫌いじゃないのは、こういう企画を立てると埋もれていた曲の発掘になったりもするからなんですよね。今回も「Alone In The Dark」「Struggle To The Death」「Keep Holding On」辺りはすごくいいと思ったし、あとは「Survive」。当時、勢い1発でモーターヘッドみたいな速い曲を作ろうと思ったんですよ。こういった他とはタイプの違う曲がセットリストに入ってくると、すごいフックになる。だから決して意味のないことではないと思うし、集まってくれるファンのみなさんにしても、何十年ぶりにライヴで聴く曲みたいなのが出てきたりするわけじゃないですか。だから自分が好きなバンドがアルバムを完全再現するとなったら、僕は楽しみなんですよね。イングヴェイにだって、完全再現ライヴをやってほしいと思いますよ。人気のある初期アルバムに限らず、『ECLIPSE』(1990年)とか『FACING THE ANIMAL』(1997年)とか。いい曲がたくさん入ってますから。

YG:イングヴェイはセットリストを順番に組んでいても、途中で気が変わって変えそうですし…(笑)。結果、完全再現にならないかもしれないですね。

島:「この曲はいらない」とか言って、外しそうでしょ。

ギターが1本だけの利点って絶対あるんですよね

島 紀史

YG:さて、話を今回のライヴ・アルバムに戻しましょう。そもそもコンチェルト・ムーンは、どう考えてもギター主導のバンドですよね。

島:まあ、そうですね。

YG:ライヴ盤では何故かギターの音量が小さくミックスされているようなバンドもよくありますけど、今回の作品はちゃんとギターがデカかったので、良かったです(笑)。

島:ライヴハウスで200Wのマーシャルを使っているんだから、まあ音はデカいわけですけど、エンジニアと話し合ったのは…PAスピーカーからの音と生音を合わせて、ほどよきバランスで聴こえるライヴハウスの真ん中辺りの音像にしたいと。そういうリクエストを出したんです。ただそうしたら最初に上がってきたミックスは、もっとギターがでかかった。エンジニアは「いつも招待してもらって会場で聴いている時は、こんなバランスですよ」って言ってましたね。それはちょっと反省しなければいけないところだけど(笑)、僕的にはやっぱり、お腹にズドンとくるドラムのキックの連打とか、そういうニュアンスもしっかり出したかったから。

YG:なるほど。結果、そこから調整されて、ギターがデカくはありつつもほどよいバランスになったと。

島:そう。もちろん、僕の前で観ていた人にはギターがさらに死ぬほどデカく聴こえていただろうけど。それを踏まえて、今回はよりバランス良く聴こえる音量にしました。

YG:島さんってコンチェルト・ムーンのスタジオ盤では、リズム・ギターを常に2本録っていますよね?

島:そう、ダブルにしてます。

YG:今回はライヴ・アルバムなのでもちろんダブルではありませんが、コンチェルト・ムーンというシングル・ギター・バンドのバランス感として、ちゃんと良さが出ていますよね。音像としてかっこいいなと思います。

島:そう言ってもらえると本当にありがたいです。いつもね、スタジオ・アルバムを作るたびに、今回はバッキングを1本にしてみようかって悩むんですよ。ただダブルで録ればパンチ力は増すし広がりも出るし、音像としてかっこ良くなる。ジューダス・プリーストもアクセプトも、僕の好きなバンドにはダブルで録っているバンドがけっこう多いんですよ。とはいえ2本重ねると、1本だからこそ出る躍動感はやっぱりスポイルされる。1本の利点って絶対あるんですよね。リッチー・ブラックモアなんかまさしくそうだし。まあ彼はたまにダブルにするから、測りかねるところはありますけど。例えばレインボーの『RISING』(1976年)を聴いていると、「Tarot Woman」のバッキングはダブルですけど、2曲目の「Run With The Wolf」は1本でしょ。「Stargazer」なんて壮大な曲なんだから、あれこそダブルであって然るべきなのに、基本的には1本だしね。でもその音像がかっこいいわけで、ダブルじゃなくても僕の思うヘヴィなニュアンスが出せないわけじゃないはずなんです。もちろん今回のライヴ・アルバムでも、シングル・ギターとはいえ、リヴァーブ成分を反対側へ振って広がりを作ってはいるんですけどね。ヴァン・ヘイレンの1stアルバムみたいに。あれはバッキング・ギターが1本だけだからこそかっこいいという、究極の形じゃないですか。ああいうものが実現できるなら、もしかしたらスタジオ作品もシングル・ギターにするかもしれない。

YG:ギター以外で言うと…スピード・メタル系のバンドって、ベースが目立つことはあまりないじゃないですか。でも中易さんのベースは、非常に存在感がありますね。

島:久々にやる曲をスタジオでパッと合わせる時に、「河塚は今の感覚で言うと、そんな感じのリズムで行きたいんだな。じゃあ河塚に乗っかかるか」とか、逆に河塚が僕に寄せてくることもある。そういう時、中易はすごく難しい立ち位置でね。ベースという楽器はドラムとギターを接着するのが、バンドのアンサンブル上の役割なわけで、その絶妙な加減を中易がやってくれているんです。僕がレイドバックしそうになったら、「いやいや、我々はヘヴィ・メタルですよ」というリズム感を提示してくれるし、逆に僕と河塚が行き過ぎていたら、上手く手綱を引っ張るようなベースを弾いてくれたりする。彼はもっと評価されて然るべき、非常に正しいロック・ベーシストですね。いや、彼はベーシストって言うと怒るんで、ロック・ベース・プレイヤーって書いておいてください(笑)。例えばイアン・ヒルであったり、柴田直人さんであったり、そういう名だたるベース・プレイヤーの系譜に連なると思いますね。

YG:そして河塚さんは、昔から思っていましたけど、今回もめちゃくちゃ音がいい。

島:河塚はもともと音作りに対するこだわりが強くて、常にチューニングの試行錯誤をしているんです。僕もそういうタイプだからよくわかるけど、自分の使う楽器にこだわりのないプレイヤーっていうのは、やっぱり音がね、良くならないんですよ。彼はいつもいろんなことを試しているタイプで、「どう思います?」って聞かれた時は僕の考えを言ったりもするけど、彼がやってくることはたいてい良いことの方が多い。たまにびっくりすることをやったりもするけど(笑)。今回、ドラムにはミックス時に過剰にお化粧を施したりしていないし、トリガーで信号を貼ったりもしていない、本当に彼がプレイした音をそのまま出しているだけなんですよ。ちゃんと楽器を鳴らしているプレイヤーならではの音が、河塚のドラムにはあると思いますね。

YG:河塚さんってクリックは聴いていないですよね? それでこのタイトなリズム感は、すごいと思いました。

島:そこも含めて、めちゃめちゃしっかりリハーサルしてますからね。クリックを聴いてももちろん彼は叩けるけど、テンポを決めて縛るんじゃなく、テンションが上がったら走ってくれてもいい。そういう幅がある中でアンサンブルしたいんですよ、僕は。しっかりリハーサルした上で、彼のリズム感で土台を作ってもらえれば、それが一番良い結果になると思ってます。まあもちろん人間なんでね、モタリや走りはあるんですけど。今回も「ここ、すっごいテンション上がってたんだな」とか、そういう場面はあります。「Down Fall In The Blood」とかね。でも曲が始まった時と終わった時でテンポが全然違うみたいなことには、絶対ならない。この2人がリズム隊としていてくれる今の状況は、自分が音楽を作る上で非常に大きいと思いますよ。

シンガーがどんな声なのかっていうのは、曲を作る上ですごく重要

島 紀史

YG:完全再現パートに関して、島さん的にはギターのアドリブの比率をちょっと減らしてみようとか、そういう意識の違いはあったんですか?

島:再現するにあたって、当時の通りにした方がいいと思ったところは極力生かそうとしたんですよ。だけどアプローチは同じでも、細かくリズムのニュアンスを変えていたりはします。例えば当時はすごくジャストを狙って弾いていたけど、今のバンドのアンサンブルの中だとただただ優等生な風にしか聴こえないみたいな時は、変えてますね。ギター・ソロも、今だったら絶対そうは弾かないなと思ったところはあります。「Keep Holding On」とか。

YG:最後のソロは確かに、スタジオ盤とは全然違うプレイになっていますね。

島:あれはもうね、毎回アドリブなんですよ。中間のパートも、当時の通りに弾いたのは入り口ぐらいかな。「Against The World」とか「Down Fall In Blood」もそう。逆に「Alone In The Dark」とか「Between Life And Death」なんかは、曲の一部としてよくできているギター・ソロだと思ったから、崩さないように弾いてます。

YG:「I’ll Close My Eyes」とか…。

島:あの曲もそうですね。曲の中の小さなインスト曲みたいになってるから、崩さないようにしました。でも最後の方の自由に弾くところとかは、ちょっとニュアンスを変えてみたりしています。

YG:まあ10年も経てば、弾き方は変わりますよね。

島:昔の自分のプレイを聴くと、この頃はこういう弾き方が自分の中で旬だったんだなとか、見えてくるんですよね。フレーズはもちろん音の選び方も含めて。今回はミュージシャンとしての経験を重ねた、今の感覚に則った弾き方にしようと思ってました。

YG:個人的に言うと、「Between Life And Death」のソロが特にハイライトかなと感じました。

島:ありがとうございます。

YG:島さんご自身は、このライヴ盤の中でのベスト・テイクをどれだと思います?

島:「Alone In The Dark」はバッキングも含めて、満足度が高いですね。今のこのリフの弾き方って、10年前と完全に違うんですよ。例えばスタッカートにしても、切り方がちょっと短いとか長いとか、それをどうリズムに乗せているか、そういう違いがある。あとソロで言うと、「Keep Holdin On」のアドリブで弾いているエンディング・パートとかは、自分がロック・ギタリストとして表現したいフィーリングのバランスがすごくいいと思う。あんまり崩してはいないけど、「Savior Never Cry」も同じですね。「Change My Heart」や「From Father To Son」はね、今までにもう100万回ぐらい演奏してるわけですから、その都度アドリブでやってますけど、収められたテイクに文句はないし、上手くいってるんじゃないかな。

YG:微妙なタイム感の話がありましたが、そこまでしっかり意識しながらコントロールしているんですね。

島:自分が作った曲の中での、自分の持つイメージですけどね。少なくとも僕にだけは、こういう風に仕上げたいんだっていう理想形が頭の中にあるじゃないですか。それを具体化したいというこだわりはあります。特に音の切り方が曖昧なプレイって、好きじゃないんですよ。ブレイクに対してどれぐらいの長さで切るのか、完全に止めるのか少しだけ残っているのか、はたまたジャーンと伸ばしてグリス・ダウンするのか。それだけでもいろんな方法論があるでしょ? でもスタジオ・レコーディングの時にバッキングを弾いていて、最後がちょっと短かったなとかって言うと、エンジニアには不思議な顔をされたりする。

YG:まあ確かに、そこまで上手く弾き切っていたのに、最後だけちょっとイメージから外れた…みたいな時って、悔しさは感じますよね。

島:もちろんスタジオ・レコーディングなら、最後だけパンチインできるけど…ちょっと寂しい気持ちになりますよね。いい流れのまま最後まで決めたかったなとか。

YG:さて、最後に、今後のコンチェルト・ムーンのお話を。

島:さっきも言いましたけど、ヴォーカル探しはいい出会いを求めたいので、広く公募しようと思っています。僕らはHR/HMバンドですし、声にバイト感のある人と出会えたらいいなと、個人的には思っていたりしますけど。

YG:芳賀さんはすごく綺麗な声質でしたが、全く違うタイプでもいいわけですね。

島:そうですね。澄んだハイ・トーンが彼の持ち味だったけど、芳賀ではない同じような誰かを探すつもりはないというか。ちなみに「この機会に女性は?」とかって言われたりもしますけど、女性だから断ろうなんて、今までに微塵も思ったことはないです。僕は久保田陽子さんの歌が大好きだし。「こんなシンガーがいたんだ!」って驚かせてくれる人がいたらいいですね。こういう人が歌ってくれるならという、前向きなエネルギーで次のアルバムを作りたいと思ってます。今の段階でも曲作りはやってるんですけど、やっぱり進まないんですよ。シンガーがどんな声なのかっていうのは、曲を作る上ですごく重要なので。

YG:特にアルバムの1曲目って、ちゃんとその人自身のパンチが効いてる曲であってほしいですし。

島:そう、シンガーとしての名刺にもなるしね。

YG:ちなみにここからは雑談なんですが…島さんの理想のヴォーカリストを挙げると誰でしょう? やっぱりロニー・ジェイムズ・ディオですか?

島:よく言われるんですよ、「ロニー好きでしょ?」って。でも、立場を考えずに理想を言うなら…。

YG:実現できるかできないかは置いといて(笑)。

島:そう、置いといて…やっぱりディープ・パープルに入ったばっかりの頃のイアン・ギランかな。

YG:ちょっと意外ですね!

島:ロニーに憧れているヴォーカリストって、わりとよく出会うんですよ。グラハム・ボネットに憧れてる人もね。でもギランになりたいっていう人には会わないんです。だから「我こそは次のイアン・ギランだ」っていう人、どこかにいないかなと思いますね。『IN ROCK』『FIREBALL』『MACHINE HEAD』の頃のギランって、ヒステリックなスクリームもできて、ブルージーに歌うのもソフトに歌うのも上手いでしょ。「When A Blind Man Cries」で歌っているギランの声なんて、素晴らしいですよ。で、他だとグラハム・ボネット。

YG:硬質な声つながりですね。

島:そう、ハードなエッジが効いてるタイプ。でもものすごくメロディックにやりたい自分もいるわけですよ。そうなったら、選びたいのはジョー・リン・ターナーになるし、それにジェフ・スコット・ソートも大好き。あと大御所って言ったら、クラウス・マイネ。「我こそは日本のクラウス・マイネ」っていう人がいてくれたら、土下座してでも入ってもらいますね。それからブルージーなタイプだったら、ゴットハードのスティーヴ・リー。

YG:ハスキー系がお好きなんですね。

島:意外とね。もちろんデイヴィッド・カヴァデールも好きだし、ロブ・ハルフォードも好きだし。でもね、一番に挙がるのはやっぱりギランなんですよ。

INFO

CONCERTO MOON『BETWEEN LIVE AND DEATH』ジャケット画像

BETWEEN LIVE AND DEATH / CONCERTO MOON

2026年4月22日発売 | Walküre Records | CD、配信

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メンバー:
島 紀史(g)、芳賀 亘(vo)、中易繁治(b)、河塚篤史(dr)、三宅 亮(key)

収録曲

[DISC 1]
1. A.I.D OVERTURE
2. ALONE IN THE DARK
3. STRUGGLE TO THE DEATH
4. BETWEEN LIFE AND DEATH
5. I’LL CLOSE MY EYES
6. LIFE ON THE EDGE
7. KEEP HOLDING ON
8. SURVIVE
9. AGAINST THE WORLD
10. TOGETHER FOREVER
11. DOWN FALL IN BLOOD

[DISC 2]
1. HOPE SEEKER
2. BLACK FLAME
3. FIND MY WAY
4. STORY OF MY LIFE
5. SAVIOR NEVER CRY
6. NOAH’S ARK
7. CHANGE MY HEART
8. FROM FATHER TO SON

公式インフォメーション
CONCERTO MOON official website