MINDLESS SINNER&RIOT CITYカップリング・ツアー! @両国SUNRISE 2024.2.9

MINDLESS SINNER&RIOT CITYカップリング・ツアー! @両国SUNRISE 2024.2.9

2024年2月中旬、“STAKKMAN ATTACK 2024”と題し、スウェーデンの正統派メタラー:MINDLESS SINNERとカナダ産NWOTHMの旗手:ライオット・シティのカップリング・ツアーが、東・名・阪にて行なわれた。来日ラッシュの中、それこそ毎週のように海外アーティストの公演が続いている状況のため集客が懸念されたが、ソールド・アウトにはならないまでも、ツアー初日の東京公演はほぼ満員という感じであった。

フライヤー

RIOT CITY

RIOT CITY

ツアー本番に先駆け、早めに来日していたライオット・シティの面々。ただ運の悪いことに日本に到着した日は大雪に見舞われ、移動にかなり難儀してゲンナリした様子。しかし、みんな30代と若いバンドだけあって(?)、その後はやんちゃ振りを発揮し、ツアー開始前日に都内某所で開催されたサイン会では、遅刻してきた上にみんなかなり酔っ払っており──さらにはツイン・ギターの片割れ:ロルダン・レイマーが、酒の勢いもあってかいつの間にかギターを購入してきていて、日本人スタッフは口あんぐり状態…。でも彼は、そのフェルナンデス“JS-100”を大いに気に入り、3公演いずれもでメイン・ギターとして使用していたので…まぁ良かったのかも。

ちなみにその晩には、ドラムのジェイク・グレイシーが宿泊先の浴場で派手に転び、流血騒ぎを起こしたりもして、なかなか大変なライヴ前日となったが、当の本人はキリッとした表情で「明日のツアー初日は、失望させるようなパフォーマンスはしないから期待していてくれ!」と、しっかりミュージシャン・モードに切り替わっていた。

さて本番。映画『ターミネーター』のテーマをバックにメンバーが登場。楽器隊に続いて最後にステージに姿を現したジョーダン・ジェイコブス(vo)のハイ・トーン・ロング・シャウトを合図に、ショウが幕を切った。このシャウトの凄まじさに、まずは度肝を抜かれた人も多かったはず。そうして演奏が始まると、メンバー全員テンション高いパフォーマンスで、特にフロント4人は頻繁にポジションを入れ替え、幾つも見せ場を作り、場内のヴォルテージが急上昇していく。この辺りは、これまでに幾多のライヴをコナしてきたことを感じさせる。荒々しい演奏ではあったが曲が崩壊することは当然なく、若さと勢いを上手く楽曲の中に溶かし込んでもいたように感じた。

ケイル・サヴィ
Cale Savy(g)

ロルダン・レイマー
Roldan Reimer(g)

ジョーダン・ジェイコブス
Jordan Jacobs(vo)

ダスティン・スミス
Dustin Smith(b)

ジェイク・グレイシー
Jake Gracie(dr)

結成時からのコンビであるロルダンとケイル・サヴィのギター・チームの息はバッチリで、硬派な音楽性の中に泣きのツインを絡ませる様は、オーディエンスの琴線を鷲掴みにしてくる。暴れる気マンマンのオーディエンスには、「Burn The Night」(2019年『BURN THE NIGHT』収録)や「Eye Of The Jaguar」(2022年『ELECTRIC ELITE』収録)といった疾走曲のウケがすこぶる良かったが、個人的には、じわじわクライマックスに向けドラマティックに盛り上がっていく「Tyrant」(『ELECTRIC ELITE』収録)がハイライトだった。



ラストには、これまで一度もライヴでプレイされていなかった大作「Severed Ties」(『ELECTRIC ELITE』収録)を披露したが、これはかなりのサプライズになったと思う。世界中のマニア層からホットなバンドとして注目を浴びている彼等のショウをこのタイミングで体験出来たというのは、なかなかレアだったのではないだろうか…!

ライオット・シティ 2024.2.9@両国SUNRISE セットリスト

1. Intro:The Terminator Theme(SE)〜The Hunter
2. Steel Rider
3. Beyond The Stars
4. Ghost Of Reality
5. Warrior Of Time
6. Burn The Night 〜 Drum Solo
7. Tyrant
8. Eye Of The Jaguar
9. In The Dark
10. Severed Ties

MINDLESS SINNER

マインドレス・シナー

2015年の独“KEEP IT TRUE”フェスでのパフォーマンスを観た招聘主が感銘を受け、是非日本のファンにも体験して欲しい…ということで、今回の来日公演へとつながったのが、トリを務めたMINDLESS SINNER。1982年に前身バンドが結成され、1983年にデビュー。’80年代にはEP含め3枚の作品(うち1枚はMINDLESS名義)を残すも1990年に解散し──その後、’00年代に入って再結成を果たしたツイン・ギターの5人組だ。

かつて日本デビューの噂はあったが、結局これまで日本盤リリースは実現しておらず、それ故正直ライオット・シティに全部持っていかれるのでは…という懸念もあった。実際、前日にライオット・シティがサイン会をやったと耳にし、少し拗ねてしまったのか、年長者なのに「俺たちがトリじゃなくても…」なんて弱気な発言をしたりも。しかしいざライヴが始まれば、そんなことも杞憂に終わる盛り上がりで、メンバーも嬉しそうにしつつ、同時により気合が入った様子だった。

Magnus Danneblad
Magnus Danneblad(g)

Jerker Edman
Jerker Edman(g)

Christer Goransson(vo)
Christer Goransson(vo)

Christer Carlson(b)
Christer Carlson(b)

Linus Melchiorsen
Linus Melchiorsen(dr)

演目は、マニア層から支持の厚いデビューEP『MASTER OF EVIL』(1983年)とファースト・フルレンス『TURN OF THE POWER』(1986年)からの選曲中心。どの曲もオリジナルは、いかにも’80年代の北欧産らしい、翳りあるメロディーを紡ぐツイン・ギターを軸にした疾走感あるサウンドだったが、年齢を重ねたのもあってか(ちなみに現ラインナップは、5人中4人が初期からのメンバー!)、グッと渋味ある哀愁が増していて実に味わい深い。マグヌス・ダンネブラード&イェルケル・エドマンのギター・ワークはタイトかつ躍動感に満ち、クリステル・ヨーランソンの歌声は往年の透明感こそかなり後退していたものの、表現力豊かで伸びのあるハイ・トーン唱法でもって、過去の楽曲に新たな命を宿すかのようだった。

Christer&Jerker

気が付けばフロアには、先ほどまでステージに立っていたライオット・シティの面々が! それぞれビール片手にショウを楽しみ、特にケイルとダスティン・スミス(b)は歌いまくりで、これにはステージ上のMINDLESS SINNERのメンバーもニンマリ。ただ両者の共演は、この日本でのツアーが初めてだったそうだ。 

ラス前の「We Go Together」(『TURN OF THE POWER』収録)では、フロアから幾つも拳が振り上げられ、サビでは大合唱に。「日本でこんなに人気があったのか…!」と軽い驚き。そしてラストは、『TURN OF THE POWER』から勇壮な「Standing On The Stage」でシメ…!!

Magnus&Jerker
Jerker、Christer、Dustin

終演後はメンバーがフロアに出てきて、ファンからサインや写真攻めに遭ったが、その際「Key Of Fortune」(『MASTER OF EVIL』収録)をやって欲しかった…と告げるファンがチラホラ。それだからか、大阪公演と名古屋公演ではその「Key Of Fortune」ともう1曲「Voice Of The Doomed」(『TURN OF THE POWER』収録)が追加となっていた。その代わりに、東京ではやった「Standing On The Stage」と「Hammer Of Thor」(2020年『POLTERGEIST』収録)がオミットされていたが…。

MINDLESS SINNER 2024.2.9@両国SUNRISE セットリスト

1. SE〜Poltergeist
2. I’m Gonna (Have Some Fun)
3. Live And Die
4. Broken Freedom
5. Men Of Steel
6. Turn On The Power
7. World Of Madness
8. Hammer Of Thor
9. Screaming For Mercy
10. Here She Comes Again
11. Master Of Evil
12. We Go Together
13. Standing On The Stage

Opening Act

フライヤーSTAKMAN ATTACK

今回のツアーでは各公演日替わりで日本のバンドがオープニング・アクトを務めた。この初日公演では、1983年結成で何度か紆余曲折あったものの、2017年に正式復活を果たした札幌のベテラン正統派メタラー:ELIZAが登場!

復活時に叫/SADAYA(vo:元サーベル・タイガー他)を加えて以降、’80年代の“ジャパメタ”色が濃かった楽曲群は、往時とはかなり表情を変えていた。それがこの日の客層にハマったのか、オーディエンスのリアクションは上々。外国人客も含め大いに熱狂を巻き起こし、名曲「Scorpion」(1986年シングル収録)ではサビの大合唱も!

叫 SADAYA ヴォーカル
叫/SADAYA(vo)

きみひこ
KIMIHIKO(g)

ひこみ
HIKOMI(g)

そして、HIKOMIとKIMIHIKOのメリハリ強い哀愁のメロディーを絡めたツイン・ギターも相変わらず素晴らしいコンビネーションだったことを、最後に付け加えておきたい。

ELIZA 2024.2.9@両国SUNRISE セットリスト

1. Feathers Crying
2. 聖・戦士
3. Final Rage
4. Dead End Fighter
5. Gypsys
6. Scorpion
7. Never Say Die
8. Driving Roller

ビール

この東京公演では出演バンドがすべてツイン・ギター編成ということで、その色の違いも楽しませてもらった。マニアックな組み合わせの来日ツアーではあったが、このクラスの(言わばマイナーな)バンドを日本で観ることが出来たのは、とても貴重な機会になったと思う。尚、今回の来日公演が切っ掛けとなり、めでたくMINDLESS SINNERの日本盤リリースも決まりそう…とのことだ!

アットエリーゼ

ヤング・ギターに過去掲載されたギター・スコアのPDFが、
“アットエリーゼ”にてダウンロード購入できます!

関連記事

関連書籍