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SECRET GARDEN/ANGRA

シークレット・ガーデン/ANGRA

アーティスト名 ANGRA
ANGRA
アルバム名 SECRET GARDEN
シークレット・ガーデン


CD | ビクター | 12月17日発売

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約4年半ぶりとなる通算8枚目のアルバム。何よりも注目されるのは、’13年以降のツアーでゲスト・シンガーとしてラインナップされていたファビオ・リオーネ(ラプソディー・オブ・ファイア)が、そのままレコーディングにも参加したことだ。ラファエル・ビッテンコート(g)が味わい深いメイン・ヴォーカルを披露する楽曲が存在し、さらにエピカのシモーネ・シモンズやドロ・ペッシュら女性シンガーの客演が彩りを添えている点を踏まえれば、ラインナップとしては流動的と考えなければならないのかもしれないが、やはりバンドの多様性に対応できる実力派たる歌唱とのコラボレーションが、新たな歴史の幕開けを印象づけるのは間違いない。

内容も極めて充実している。基盤となるメロディック・パワー・メタルから音楽性は拡散してきたものの、コンテンポラリー・ミュージックなどの要素も巧みに取り込みながら、ドラマ性を喚起させていく手腕は見事だ。存在感のある歌を前提にできるゆえか、難解な展開を連続させるのではなく、個々のマテリアルが比較的シンプルにまとめ上げられているのは特徴だろう。キコ・ルーレイロとラファエルのギター・プレイも盤石。激しく感情を揺さぶるものから、丁寧に情景を描き出すものまで、リフにしてもソロにしても、すぐさまコピーしてみたくなるフレージングが数多い。
なお、日本独自仕様の完全生産限定盤(5,000セット)には、“LOUD PARK 13”出演時のパフォーマンスをフル収録したCDが付属する。
(土屋京輔)

ファビオ・リオーネが正式加入したと思いきや今度はリカルド・コンフェッソーリ(dr)が脱退。しかしいつの間にか、後任にキコのソロ・プロジェクトのブルーノ・ヴァルヴェルデが収まっている。このバンドにとってメンバー・チェンジは珍しいことではなく、新作は事もなく完成した。ファンはひと安心といったところだろう。今回もまた、作品はコンセプトで貫かれている。その内容は、非科学的なことを信じない科学者の“科学vs宗教”の葛藤。ラファエル・ビッテンコート構想のストーリーだ。

タイトル曲を歌うのはシンフォニック・メタル・バンド:エピカの紅一点シモーネ・シモンズ(他にドイツの女性シンガー:ドロ・ペッシュも参加)。そしてそれを書いたのはキコの奥さんマリア・イルモニエミという思い切った采配…、これは新作での彼らの変化を示唆している。そう、今回はこれまでにない試みが特筆なのである。例えば、ラファエルの果敢なメイン・ヴォーカル挑戦、プロデューサーにイェンス・ボグレンを起用しての幾つものヘヴィ・チューニング採用、これらはその好例だ。そういう変化に対して、変わらないのはギターに関して。レガートやアーム表現で一層ホールズワース調を効かせるキコ、ストレートに巧さを増すラファエル…という進化はあるが、それらプレイに対するリスナーの驚きは変わらないだろう。そこは我々が知るANGRA、ただ知らなかった新天地も見せる、それが本作である。
(福田真己)