THE STAGE/アヴェンジド・セヴンフォールド

THE STAGE/アヴェンジド・セヴンフォールド
アーティスト名AVENGED SEVENFOLD
アヴェンジド・セヴンフォールド
アルバム名 THE STAGE
ザ・ステージ

CD | ユニバーサル インターナショナル | 2016年10月28日発売

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前作ではグルーヴ・メタルを追求し、アメリカン・メタルの王道へと迫ったA7Xの次の一手は、初のコンセプト盤(通算7作目)。視覚的に訴求するSE、女性コーラスに管楽器に鍵盤に…と、これぞコンセプト作な仕掛けも楽しく、タメを効かせたブルージーな泣きの「Angels」や欧州的な浪漫の旋律で泣かせる「Fermi Paradox」などの、情感に重きを置いたシニスター・ゲイツのギター・ソロも聴きもので、スパニッシュ風ギターとブラック・メタル流儀のトレモロ・リフが交錯する「God Damn」、空間系でスペーシーに彩った「Simulation」辺りのアプローチも興味深々。新加入のブルックス・ワッカーマン(dr/元バッド・レリジョン他)の見事な働きで、ザ・レヴ(元dr/’09年逝去)の不在感がようやく解消された感があるのも嬉しい。

だが、最大の要点は練り込まれた曲構成。ハードコアのスピード感を用いた既存の疾走展開はもちろん、複数の曲が1曲に混在する大胆な構成も多々あるが、その極北とも言えるスラッシュ、ネオクラ、プログレ、バラード、クラシック・ロック、パンクなどなどで組み立てられた15分超の組曲「Exist」の異形のキマイラ感は、ハードコアにメロスピをクロスオーヴァーさせるだけでは飽き足らず、あらゆる異物を噛み砕き巨大化してきた彼ら自身の投影か。消化不良を起こしかねない巨編だが、A7Xらしいキャッチーなフックが異形の曲を束ね、聴き手を飲み込む——マジカル!

【文】菅原健太