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THE ASTONISHING/DREAM THEATER

ジ・アストニッシング/ドリーム・シアター

アーティスト名 DREAM THEATER
ドリーム・シアター
アルバム名 THE ASTONISHING
ジ・アストニッシング


CD | ワーナーミュージック・ジャパン | 2016年1月29日発売

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とても美しい作品ができ上がった。'10年のドラマー交替から3作品目となる今回、2枚組34トラックに及ぶコンセプト・アルバムという大きな冒険に出たドリーム・シアターだが、それはつまり現状が安定していることの証とも言える。ジョン・ペトルーシ(g)のペンによる架空の物語を軸に構成された本作、制作には敏腕プロデューサー、デヴィッド・キャンベルが力を貸しており、オーケストラやクワイアといったクラシックの要素が大々的に導入されているのだが、バンド・サウンドとのバランスが絶妙であることにまず驚いた。メタルやバラードといったいわゆる音楽的なスタイルが、ストーリーの場面展開に応じて提示されていく。お得意の超絶インストやキメのセクションはダークな局面に組み込まれ、足音やかけ声などの効果音を伴って臨場感を演出。ただ、全体的には明るい曲調が多く、とてもポジティヴな印象だ。

作品中、姿形を変えながら何度も登場するフレーズの数々、巧みに織り込まれたダイナミクス豊かなアンサンブルなど聴き所は尽きない。ペトルーシのギターも[DISC 1]「A New Beginning」のような長尺ソロはもちろん、アコースティックにおける表現力も過去最高。複数の人物を1人きりで歌い分けたJ・ラブリエにも惜しみない拍手を送りたい。『OCTAVARIUM』('05年)にも通じるメロディックな内容だ。正直、近年はオマージュ要素が多かったことは否めなかったが、本作にて新たな飛躍を遂げたのではないだろうか。
(蔵重友紀)

セルフ・タイトルの前作から2年余──現ラインナップになって3枚目となる第13作が待望のリリース! ジョン・ペトルーシの自作SFファンタジーを元に、小説や映画、ゲームなどとのメディア・ミックスも視野に入れたコンセプト・アルバムで、2枚組/全34トラック/130分に迫るヴォリュームにまず圧倒される。実際、ジックリ聴き通すにはそれなりの集中力と忍耐力が必要となるはず。それでも決して難解な仕上がりにはなっておらず、長尺曲も意外に少ないので(最長でも7分40秒)、聴き方によっては、それこそ映画を観るような感覚で楽しめるのでは?

セリフや効果音の挿入が『METROPOLIS PT.2』('99年)を思い出させる一方、オーケストラを絶妙に配しての、スケールの大きいメロディック・ロックとでも言うべきキャッチーな楽曲が目立ち(特に前半)、コテコテのプログレ・メタルやダーク&ヘヴィな曲想はあまり期待しない方がいいかもしれない。ただ、当然ながらペトルーシのテクニカルで流麗なソロ・ワークは健在だし、幾つかのアコ使いがイエスやラッシュを想起させ(支配体制への反逆に際し、音楽が確たる役割を果たすといったストーリーにもラッシュからの影響が…)、他にもラグタイム風や軍楽風、ゲーム音楽みたいなファンファーレなど、様々な仕掛けが随所で飛び出すのだから、絶対に流し聴きは避けたいところ。尚、間もなく始まるツアーでは、視覚効果も駆使して本作全編が完全再現されるとのこと。
(奥村裕司)