GOTTA HAVE THE RUMBLE/ブライアン・セッツァー:トリオに回帰した7年ぶりのソロ・アルバム

GOTTA HAVE THE RUMBLE/ブライアン・セッツァー:トリオに回帰した7年ぶりのソロ・アルバム
アーティスト名BRIAN SETZER
ブライアン・セッツァー
アルバム名 GOTTA HAVE THE RUMBLE
ガッタ・ハヴ・ザ・ランブル

CD | ビクター | 2021年8月25日発売

Amazonでチェック

ストレイ・キャッツとして26年ぶりとなる新作『40』(’19年)を作ったことが刺激となったのか。前作『ROCKABILLY RIOT! : ALL ORIGINAL』(’14年)を含め、ソロ名義ではこの数年来、ピアノを加えたカルテットでロカビリーを追求してきたブライアン・セッツァー(vo, g)が、ここではデヴィッド・ロー・ローリック(b/ダン・オーバック他)、ヴィクター・インドリッツォ(dr/クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ他)を迎え、今一度、トリオに回帰している。
ベース・ランニングが耳に残るブライアンらしいリフを閃かせる「Off Your Rocker」他でアピールするロカビリーの醍醐味は、まさにブライアンの原点と言えよう。その上で本作を聴き応えあるものにしているのが、ジャジーなソロを華麗に奏でるスウィンギーな「The Cat With 9 Wives」、ボ・ディドリー・ビートが跳ねるブルースの「Turn You On, Turn Me On」(泣きのチョーキング!)、自らバンジョーを弾いたカントリーの「One Bad Habit」といった多彩な曲の数々だ。「The Wrong Side Of The Tracks」に加えた豪華なストリングスは意外性を誰よりも楽しむ彼らしいが、それも含め、こんな世の中だ、ロックンロールぐらいは理屈抜きに楽しもうということなのかも。曲の題材に彼が愛してやまないオートバイやホットロッドを選んでいる時点で気負いがないことは明らかだ。スリム・ジム・ファントムとディブス・プレストン(ex.ザ・ロカッツ)という盟友2人が曲作りに参加していることも見逃せない。

【文】山口智男