アーティスト名 | JEFF BECK ジェフ・ベック |
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アルバム名 | LIVE + LIVE+ |
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ジェフ・ベック史上、ここまで小出しの新曲プロモーションは初だろう。昨年4月の来日公演直前に『YOSOGAI』というEPで2曲が先行発表されたが、このライヴ盤ではさらに「Tribal」と「My Tiled White Floor」という新曲が登場。どちらも『YOSOGAI』同様に、『JEFF』(’03年)を過激にしたようなエレクトロニカ臭が強めで、ヘヴィな「Tribal」に驚く古参ファンも少なくないに違いない。ただハーモニクスやアーミングといった技はベック以外の何者でもないし、彼の大胆な音作りを否定するつもりはないが、正直に言えばもっと生っぽい音で聴きたかった。例えば「Why Give It Away」は『YOSOGAI』のスタジオ・テイクだとノイジーで前衛的だったのに対し、今回のライヴ・ヴァージョンには21世紀型ベックのファンキー・スタイルというような全く異なる印象があり、よりベックの本質的な部分が見えてくる気がするのだ。
そのライヴ・テイクは前回来日時のメンツにヴォーカルのジミー・ホール(R&Bスタイルのコクが素晴らしい)を加えて行なった米国ツアーで録音。選曲は渋いものの、「Hammerhead」の骨太さや「Where Were You」のアーミングなど、ギター表現術の多彩ぶりには流石と唸らされる。加えて来日時に「Nine」という題だった「Plan 9」は、’80年代初頭フュージョン期のようなメロディーが涙ものだ。
(斎藤新吉)