MOONFLOWERS／スワロウ・ザ・サン：古のゴシック・メタル的美意識を強めた３年ぶり８作目

強烈な悲壮感を美しい激重サウンドで描き続けるフィンランド産メロディック・ドゥーム・バンドが、ライヴ盤を挟んで約３年ぶりに放つ８作目。20年来変わらぬ陰鬱な激重表現と悲哀に満ちたメロディーは今回も緩みなくダウナーに響きわたるが、穏やかな歌い込みパートが増えたことでいつにも増して憂鬱な物思いに耽る時間が長い。女性シンガー：キャミー・ギルバート（Oceans Of Slumber）をゲストに迎えた「All Hallows’ Grieve」も悲壮一色の世界に幻想的な色味を加え、全体的に古のゴシック・メタル的美意識が強まっている。初回生産限定盤には、全編のクラシカル・アレンジ版を収めたボーナス・ディスクも同梱。

【文】平野和祥