アーティスト名 | NICKELBACK ニッケルバック |
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アルバム名 | HERE AND NOW ヒア・アンド・ナウ |
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ニッケルバックはハード・ロック・バンドだ、と断言できる7作目。前作に引き続いての華やかなサウンド・プロダクションが、デフ・レパードと同じぐらい似合うようになった。バンドの頭脳:チャド・クルーガー(vo, g)とライアン・ピーク(g)のどちらが今作のギターを主導しているのかは分からないが、’80年代のザック・ワイルドばりに豪快かつ小技の効いたドライヴ感のあるリフを主体に組み上げられた楽曲の数々と、ワウを絡めてのスピード感のあるソロ・ワークは、ハード・ロック以外の何物でもない。ハード・ロッカーでなければ、リフにトリルを織り込むような“小技”は引き出しから出せないはずだし、そもそもハード・ロック奏法は一朝一夕に身につく技法ではない。彼らの出自はハード・ロックだったのだろう。
ハード・ロック不遇の時代にデビューを飾り、“モダン・ロック”と呼ばれたバンドは、その後、結構な割合で’80年代のハード・ロックの文法に寄り添った深化を見せる傾向があるが(ステインドもそう)、過去、ボン・ジョヴィやデフ・レパードがどれだけ売れていたかを思えば、後世に計り知れない影響力を及ぼしていると考えるのが自然であり、’74年生まれのチャドが世代的に’80sの洗礼を受けていないはずがない。デビューから苦節十数年にして、少年の日に夢見ていた姿になれた…ということかもしれない。
(菅原健太)