鬼子母神／陰陽座

２年３ヵ月振りのアルバムは、瞬火（b）が書き下ろした長編戯曲『絶界の鬼子母神』（大手レコード店でも同日発売）をベースにした、自身初のコンセプト作品。ドラマティックなヘヴィ・メタルは彼らの得意とするところだが、まさに新たな最高傑作と言っても過言ではない仕上がりだ。物語を忠実に再現していく歌詞はもちろん、場面描写を的確に捉えた楽曲作りが何よりも見事。１音下げチューニングで制作されたのも特徴ながら、ことさら重低音を強調するのではなく、より起伏を生む音像の広がりを巧みに狙ったサウンド・メイキングに主眼を置いている。招鬼＆狩姦の新味を交えたギター・プレイも秀逸だ。
（土屋京輔）