SPRING HAS COME/春畑道哉:デビュー35周年の節目の11thソロ、聴き飽きることのない1作

SPRING HAS COME/春畑道哉:デビュー35周年の節目の11thソロ、聴き飽きることのない1作
アーティスト名春畑道哉
春畑道哉
アルバム名 SPRING HAS COME
SPRING HAS COME

| ソニー・ミュージック アソシエイテッド レコーズ | 2022年4月27日発売

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今年ソロ・デビュー35年目を迎えた春畑道哉(TUBE)が、前作『Continue』(’19年)から3年ぶりに放つ11thアルバム。スタイリッシュ&グルーヴィな「Spring has come」で幕を開ける本作は、躍動感やスタジアム感に溢れた「FANTASIA〜LIFE WITH FOOTBALL〜」「WE PROMISE」、Charのペンによるファンキーな「I feel free(feat. Char)」、ネイチャー感を湛えたミディアム・チューンの「Promised Land」、ウォームなピアノ曲の「ノスタルジア(Live at Billboard YOKOHAMA)」、メタリックかつ勇壮な「Kingdom of the Heavens」等々、多彩な楽曲を収録。幅広さと完成度の高さを併せ持った楽曲群は流石の一言だし、春畑ならではのキャッチーなメロディーやフレキシブルなギターなども相まって、聴き飽きることのない1作に仕上がっている。ギター・プレイも実に魅力的で、歌心に溢れたメロディー・パートを筆頭に、「I feel free」で聴けるCharとのスリリングな掛け合い、「Kingdom of the Heavens」「WE PROMISE」のテクニカル&ホットなギター・ソロ、エモーショナルな“泣きソロ”を聴かせる「John English」など、注目ポイントには事欠かない。リード・プレイに限らず、シャープなカッティングやアコースティック・ギター、さらにウクレレなどを配して世界観を深めるバッキング・ワークや、繊細なクリーンからリッチなディストーションまで使い分けるフレキシブルなトーン・チョイスなども聴きどころ。非常に良質なアルバムで、あらゆるジャンルのギタリストが楽しめることは間違いないし、インストゥルメンタルに馴染みのないリスナーにも一聴することを強くお薦めしたい。

【文】村上孝之