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THE STORY OF LIGHT/STEVE VAI

ザ・ストーリー・オブ・ライト/スティーヴ・ヴァイ

アーティスト名 STEV VAI
スティーヴ・ヴァイ
アルバム名 THE STORY OF LIGHT
ザ・ストーリー・オブ・ライト


CD | ソニー・ミュージック ジャパン インターナショナル | 2012年8月15日発売

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コンセプト・アルバム三部作の第二部となるスティーヴ・ヴァイの新作。彼の思い描く壮大なストーリーと各楽曲が連動しており、7弦ギターを駆使したヘヴィなリフが印象的な①から、ヴァイ流ブルースの③、ゴスペル調の④、ハワイアン・テイストの⑤、ケルティック・ムード漂う⑥、ドライヴ感溢れるギター・インストの⑩、メジャー・サウンドのポップ・ロックといった趣の⑫など、シアトリカルかつダイナミックなヴァイ・ワールドが展開されている。そして、それぞれの曲の中でも大胆かつ目まぐるしい場面転換が行なわれており、聴いていると脳内スクリーンに様々な情景が浮かぶ。
フレージング自体もヴァイ特有のテンション感や音配列、ハーモニーが詰め込まれていてその強烈な個性が際立っているが、たとえシンプルなフレーズを弾いたとしても、スライドやヴィブラート、チョーキングのスピード・コントロール、アーミングなどによって唯一無二の“声=トーン”を生み出し、一度聴いたら忘れられない強いインパクトをリスナーに与えている点が彼ならでは。プレイ面で注目すべき点はたくさんあるが、際立っているのはベンディングを駆使した⑥のリフ&ソロと、サスティナーを使った⑦のまるで擦弦楽器のようなエモーショナルなソロ、持てる技のすべてを網羅したかのような⑧の約4分にも及ぶ超絶ソロなど。もはや誰にも真似できない孤高のレベルに達している。
(水戸永広)

’05年に『REAL ILLUSIONS:REFLECTIONS』をリリースした際、「3つの楽章に分かれるストーリーから成り立っている」としていた“REAL ILLUSIONSシリーズ”の、今回は第2章。この後、何年か後に第3章を出して本編自体は終結するが、その後に三部作を整理しつつ新しい要素も加えたコンプリート盤を出してシリーズは完結…という構想らしい。第1章の『〜REFLECTIONS』後もオーケストラやヴァイオリン入りの作品(ライヴ)を出したように、第2章、第3章、コンプリート盤の各合間にも、また異なるプロジェクトを始めて作品を制作するのは必至。結果、“REAL ILLUSIONS”4作品が揃うのは10年先か!?…そんな風に予想できるが、逆にその予想を裏切って来年辺りにドドッと出したりして。どちらにしても、ああ、スティーヴらしさがより濃くなっていく。
物語は、覗き込むと自分の正体が映し出されてしまう不思議な池を通してスピリチュアリティを問う、そんな感じ。ここにも奇才ならではの想像力が発揮されているが、気になるのはそれよりギターだ。例えば、A to Zすべてアレンジしてドラム&ベースとの決めまでも合わせた①のソロ、ベンドでアーム・ダウン風効果を出した③④⑥のリフ、人の繊細な歌い方をアナライズした“バラードの指定席”⑦等々、派手さよりも巧妙さになるほど納得。“自分のプレイの進化”を感じたとスティーヴは話しているが、まさに別の次元の取り組みに入ったことを感じさせる。
(福田真己)