VENGEANCE FALLS/TRIVIUM

VENGEANCE FALLS/TRIVIUM
アーティスト名TRIVIUM
トリヴィアム
アルバム名 VENGEANCE FALLS
ヴェンジャンス・フォールズ

CD | ワーナーミュージック・ジャパン | 9月18日発売

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コリィ・ビューリュー(g)曰く「『SHOGUN』(’08年)は曲を書いて録音してみると、“色々あるな。音数も多い”と思ったよ。それまでの作品に比べて録音はかなり大変だった。次の『IN WAVES』(’11年)は新メンバーを迎えて新しいバンドが1stを作るみたいな雰囲気もあり、様々なタイプの曲を作った。テクニカルな『SHOGUN』の反動だろうな。楽しくて、プレイに負担のない曲にしたいという思いもあったんだ」。彼らは作品毎にその色を出すことで有名だが、直近の2作品ではその変化が劇的だった。さて、それを受けて新作は? テーマとなったのは「曲の完成度、第一主義」であり、「過去作品からのおいしいところ取り」だった。つまり、派手なモデル・チェンジはないものの、どっしりと腰を据えたバンドのコンピレーション的な趣がある。

前作から違いを明確にしたマット(ヒーフィー/vo, g)とコリィのプレイはそれを更に推し進めた。マットの王道的な貫禄と、コリィのスッ翔び度…というアイデンティティの棲み分け。これをもトリヴィアムの進化として計算に組み入れているのなら、その戦略は脱帽ものである。特にテクニック面で一歩引いたマットの立ち位置は、バンド・プロデュース的な決断として称賛すべきだろう。そこも含めてデビュー10周年を迎えた今、遂にスタイル確立の道を歩み始めたということか!? そんなことも感じさせる作品だ。
(福田真己)