ORIGINAL HUMAN MUSIC/ULTRAPHONIX G・リンチとC・グローヴァーの未来指向ロック

ORIGINAL HUMAN MUSIC/ULTRAPHONIX G・リンチとC・グローヴァーの未来指向ロック
アーティスト名ULTRAPHONIX
ウルトラフォニックス
アルバム名 ORIGINAL HUMAN MUSIC
オリジナル・ヒューマン・ミュージック

CD | キングレコード | 2018年8月22日発売

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バンド名から、ダンブル・アンプのサウンドを再現したという触れ込みのヴァーテックス・エフェクト製ペダルを思い起こした人は機材オタク。それはさておき、本作はドッケン/リンチ・モブのジョージ・リンチ(g)とリヴィング・カラーのコリー・グローヴァー(vo)がタッグを組んだ新バンドのデビュー作で、リズム隊はファンク/ソウル界隈の腕利きセッション・ベーシストであるパンチョ・トーマセリとクリス・ムーア(dr)が務めている。レッド・ホット・チリ・ペッパーズ+キング・クリムゾン+ジューダス・プリースト…というのはジョージ本人によるバンドの音楽性の説明だが、それは風呂敷を拡げ過ぎだとしても、確かに頷ける。ここで聴けるのは’70年代型の古きよきハード・ロックをベースに、ファンクのフレーヴァーも取り入れながら、知的好奇心を刺激する程良い複雑さで構築された大人指向/未来指向のロックであり、曲、パートによって様々な表情を見せる実にカラフルな音楽性を示している。そんな中、コリーの歌唱はどこまでいってもコリーであるのに対し、ジョージのギターはカメレオンのように変幻自在、ガンガンに弾きまくったかと思えば小技を活かしてのインタープレイに徹したりと、両者の違いが面白い。その一方で散漫さや堅苦しさは不思議となく、フォーカスが絞られ制御された印象をきっちりと受ける作品だ。

【文】小澤明久