3月7日から10日までの4日間、芸術イベント“アートフェア東京2019”において、世界各国の個人ギター製作家9工房による、アーティスティックなギターの特別展示“Guitars – 9 Different Tones You’ve Never Seen”が行なわれる。
“アートフェア東京”は、古美術や日本画にはじまり、東洋や西洋、古代や現代を問わず様々な種類のアート作品が集結する国内最大級のフェアで、2005年の初開催時より多くの芸術品愛好家より人気を集めているイベントだ。
今回は、長年アート・シーンでディーラーとして活動するatelier Rezikaの牛久大輔氏の呼びかけと、ジャージィーガール・ホームメイドギターの製作家:後藤和重氏のサポートにより、本イベントが実現。ギターをキャンヴァスに見立ててアーティスティックなアプローチを行なう9つの工房による、最新ギターが各1本、ルシアー本人達と共に集結することになった。
展示は、会場となる東京国際フォーラム及び銀座山野楽器本店 特設会場にて、入れ替え制にて行なわれる。また、最終日の10日には、銀座山野楽器本店にて、ルシアー全員とギタリストの野村義男及びベーシストのセキタヒロシによる特別イベントも開催される。
なお、アートフェア東京終了後の3月下旬には、ロックイン新宿店の特設スペースに場所を移動して、これらのギターの再展示が行なわれる予定だ。
下記に、各工房のルシアー達と、ブランドの特徴的なギターを1本ずつ紹介している。必ずしもここに掲載した写真のモデルが実際に展示されるとは限らないのだが、ぜひ参考にしていただきたい。ギターの核となる部分を残しつつも常識の範囲を超えるような発想豊かな“作品”の数々に、インスピレーションを受けること間違いなし!
ブランド&製作家紹介
ANDY MANSON CUSTOM GUITARS / Andy Manson
ポルトガルの工房でアコースティック・ギターを手がけるアンディ・マンソン氏のアンディ・マンソン・カスタム・ギターズは、まるで彫刻のように独創的な作品で有名だ。マルチ・ネックのアコースティック・ギターや女性の体のようなモデルを発表して注目を集めたことも。なお、MUSEのギタリスト、マシュー・ベラミーのギターを製作しているマンソン・ギターズのヒュー・マンソン氏は、アンディ氏の弟にあたる。
ウェブサイト:http://andymanson.com/
CARDINAL INSTRUMENTS / Sam Evans
米テキサス州オースティンに工房を構えるルシアーのサム・エヴァンス氏が、ギター、ベース、ラップスティール等をハンドメイドで手がけるカーディナル・インストゥルメンツ。丸みを帯びたシェイプや木目を活かしたフィニッシュは独特ながら地味な印象も受けるが、「感銘を受ける場所がほかのルシアーとは違い、共感するところの多いルシアーです」と、ジャージィー・ガール・ホームメイドギターの後藤氏は語る。
ERGON GUITARS / Adriano Sérgio
ポルトガルを拠点とするルシアー、アドリアノ・セルジオ氏のエルゴン・ギターズは、カーヴィング技法による曲線美を最大限に活かしたボディー・シェイプがまず目を惹く。ベーシストからギター・テクへ転向してリペアやレストアを営み、最終的には自身のギターのデザインへ。実地で学んだミュージシャンのニーズと芸術性が融合した、ユニークなモデルで高い評価を得ている。
ウェブサイト:http://www.ergonguitars.com/
JERSEY GIRL HOMEMADE GUITARS / Kaz Goto + Akiko Oda
1991年に東京で活動を始め、現在は北海道の工房にてユニークな作品(ギター)を製作しているのがジャージィーガール・ホームメイドギターだ。製作は後藤和重氏と尾田亜紀子氏の2名が手がけ、ギター・ストラップ製作家の後藤えいこ氏とのチームワークにより、美しいフィニッシュと木片を組み合わせたオーガニックなデザインと確かな弾き心地が魅力だ。
ウェブサイト:http://www.jerseygirlhg.com/
MALINOSKI GUITARS / Peter Malinoski
ボディーに毛皮を使ったり、ぬいぐるみを詰め込んでしまったりと、ピーター・マリノスキー氏の作品群は話題性に事欠かない。それでいてギターとしての機能もきちんと考慮されているところが、彼の作品の特徴だといえる。後藤氏曰く「アートとクラフトの間で楽器を絶妙なバランスで作り続けているところが特に好きです」とのこと。今回の会場では、どんなギターで我々を楽しませてくれるのだろうか?
ウェブサイト:http://www.malinoskiguitar.com/
Michihiro Matsuda / Michihiro Matsuda
名古屋生まれ東京育ちのミチヒロ・マツダ氏は、ギターの製作を本場アメリカで学んだ後、現地に留まってルシアーとしての道を歩む。伝統的な木工技術の中に革新的なデザインを取り込んだアコースティック・ギターの数々は、弾いてよし、飾ってなおよしのアート作品そのものだ。様々なミュージシャン達の手に渡り、彼らの音楽を伝える美しい道具となって世界中で活躍している。
ウェブサイト:http://www.matsudaguitars.com/
M-tone Guitars / Matt Proctor
木材やメタルの異素材ミックスがもたらす深みのあるデザインと、そこに見え隠れする遊び心——Mトーン・ギターズのモデルにはそんなイメージを受ける。ワン・アンド・オンリーながら気軽に手に取れそうな雰囲気があるのも魅力だ。これらを精巧に作り上げるのはアメリカはオレゴン州ポートランド在住のマット・プロクター氏。斬新かつ実践的な“楽器”が、ギタリストの個性を多角的に引き出してくれることだろう。
ウェブサイト:https://www.m-tone.com/
PAGELLI GITARRENBAU / Claudio & Claudia Pagelli
スイスの工房にてパジェリ夫妻が手がけるブランド、パジェリ・ギターズのモデルが世界中で愛用されている理由の1つはデザイン力の高さだ。トップ板に石を使ったり、思わぬところにサウンドホールを設置したりすることで、家具と見まがうような洗練ぶり。素材の違いによる個性的なトーンにも定評があり、アーチド・トップ系のモデルを中心に弾き手を魅了し続けている。
ウェブサイト:http://www.pagelli.com/
Spalt Instruments / Michael Spalt
アメリカ出身、オーストリアの工房にて、一度見たら忘れられないようなデザインのエレクトリック・ギターを次から次へと生み出しているのがスポルト・インストゥルメンツのマイケル・スポルト氏だ。レジンで固めたオブジェをボディー・トップに閉じ込めたユニークなシリーズ“Totem Guitar”をはじめ、ギターという形で可能な表現力の限界に挑戦するようなモデルの数々は、ミュージシャンのみならずルシアーのシーンにも大きな影響を与えている。
ウェブサイト:https://www.spaltinstruments.com/
Guitars – 9 Different Tones You’ve Never Seen 概要
会場及び開催期間:
東京国際フォーラム ブースNo. G39 2019年3月7日(木)〜10日(日)
銀座山野楽器本店4F 特設スペース 2019年3月7日(木)〜20日(水)
Luthiers – with Yoshio Nomura + Hiroshi Sekita
出演:野村義男(ギター)、セキタヒロシ(ベース)
日程:2019年3月10日(日)
会場:銀座山野楽器本店7F 特設ステージ
入場料:無料
Guitars – 9 Different Tones You’ve Never Seen – 2nd
期間:2019年3月23日(土)〜31日(日)
会場:ロックイン新宿 特設スペース
イベント詳細
アートフェア東京2019公式ウェブサイト
Guitars – 9 Different Tones You’ve Never Seen 公式ウェブサイト
主催:atelier Rezika
協力:Gallery Side2、銀座山野楽器本店、ロックイン新宿