9月26日(金)より、ジミ・ヘンドリックスの映画が国内の劇場で初公開される。ドキュメンタリー映画『エレクトリック・レディ・スタジオ:ヴィジョン』、米ジョージア州でのライヴ映像『アトランタ・ポップ・フェスティヴァル1970』の二本立て。予告映像が公開された。
エレクトリック・レディ・スタジオ:ヴィジョン
エレクトリック・レディ・スタジオは米N.Y.に現在もある名門レコーディング・スタジオの設計から完成に至るまでの紆余曲折を描いたドキュメンタリー作品。このスタジオを作ったのはジミで、1968年、自身が納得する機材と環境を作るべくグリニッジ・ヴィレッジのナイトクラブを買い取る。当初は知人のミュージシャンやクリエイターらが集うヒップなクラブを考えていたが設計途中、商業スタジオ設立に舵を切った。当時、レコーディング・スタジオはレコード会社や大手企業が運営しており、ミュージシャンがスタジオを作るのは初めて。
スタジオ制作にかかった莫大な費用はすべてジミが負担。毎週末に開いたコンサートの売上を建設費につぎ込むという自転車操業ではあったが、1970年8月26日にエレクトリック・レディ・スタジオは様々なトラブルを乗り越えてようやく開業に至った。しかし完成披露パーティーの翌日には次の公演地に向かい、9月18日にロンドンで急逝。本人がスタジオを使えたのは、工事期間の間の約10週間のみ。心血注いで作り上げたレコーディング・スタジオを再び目にすることはなかった。本映像ではバンド・メンバーのミッチ・ミッチェル、ビリー・コックスにスティーヴ・ウィンウッドらミュージシャン、ツアー・マネージャーのジェリー・スティッケルズ、歴代のスタジオのエンジニア、建築家ジョン・ストーリークら様々な関係者が登場しエレクトリック・レディ・スタジオについて証言をよせる。なかでもジミのプロデューサーでもあったエンジニアのエディ・クレイマーの話は、音楽ファンや音響関係者にとっては非常に興味深い。同スタジオでレコーディングされ、ジミの没後に発表された「Freedom」についてはコントロール・ボードを実際に操作し、ギターやベース、ドラム、ヴォーカルのパートを抜き出してレコーディング課程を語るシーンは、上質のミステリーの謎解きを聞かされているようで実にスリリングだ。
エレクトリック・レディ・スタジオはジミの没後も、レッド・ツェッペリン、スティーヴィー・ワンダー、デヴィッド・ボウイからU2、テイラー・スウィフト、レディー・ガガらに愛され現在も運営を続けている。本作は2024年9月に「エレクトリック・レディ・スタジオ:ヴィジョン」としてBDリリースされているが、国内の劇場公開は初めて。
アトランタ・ポップ・フェスティヴァル1970
ジミ・ヘンドリックス生前最後のツアー「The Cry of Love Tour」は1970年4月25日のLAを皮切りに、9月6日の独フェーマルン島まで北米/ヨーロッパを回った。このツアーでジミ・ヘンドリックスは英ワイト島フェスティヴァル(8月31日)、米アトランタ・ポップ・フェスティヴァル(7月4日)と英米最大規模の2大フェスに出演。本作はジョージア州バイロンのミドル・ジョージア・レース競技場で開催された第2回アトランタ国際ポップ・フェスティヴァルのライヴの映像だ。ジミは前年(1969年)のウッドストック・フェスティヴァルのトリに出演。この頃のアメリカで最も動員力を誇るアーティストで、この日もジミの人気は凄まじく20万人(40万人とも言われている)のオーディエンスを前に圧巻のパフォーマンスを披露。メンバーはザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスからの盟友、ミッチ・ミッチェル(dr)。バンド・オブ・ジプシーズからのビリー・コックス(b)という盤石のトリオ編成。「Foxey Lady」「Purple Haze」「Voodoo Child(Slight Return)」といった、過去作品からお馴染みの曲を次々に演奏したほか、この時点では発表されていなかった新曲「Straight Ahead(1971年5月)”収録」(1971年『THE CRY OF LOVE』収録)も披露された。なお、この日はアメリカの独立記念日だった。
前年のウッドストック・フェス以来、今やすっかりジミの代名詞ともなったアメリカ国家「The Star-Spangled Banner」が演奏されるや、場内の盛り上がりも最高潮に達した。ジミの後ろでは独立記念日を祝う花火も打ち上げられ、このコンサートのハイライトとなった。また本作品ではギター・ソロに入ったジミの手元部分を映し出したシーンも多い。あの名曲の指の動きが垣間見られ、ギター好きにとってはたまらない映像だ。
『アトランタ・ポップ・フェスティヴァル1970』はドキュメンタリー『「Jimi Hendrix: Electric Church』というタイトルで2015年に米国でTV放送。2019年1月にはアメリカ国内で劇場公開されており、本作は同作品から演奏シーン10曲をセレクトし編集したヴァージョン。また『Freedom: Atlanta Pop Festival』というタイトルで2015年8月に2枚組CDでリリースされている。
映画「ジミ・ヘンドリックス『エレクトリック・レディ・スタジオ:ヴィジョン&アトランタ・ポップ・フェスティヴァル1970」は、9月26日(金)より全国映画館で公開。
INFO

タイトル:ジミ・ヘンドリックス『エレクトリック・レディ・スタジオ:ヴィジョン&アトランタ・ポップ・フェスティヴァル1970』
原題:Jimi Hendrix – Electric Lady Studios: A Jimi Hendrix Vision/ Jimi Hendrix: Electric Church
監督:ジョン・マクダーモット
出演:ジミ・ヘンドリックス、スティーヴ・ウィンウッド、ビリー・コックス、ミッチ・ミッチェル 他
2024年(イギリス) /英語/5.1ch/日本語字幕:上田達郎
上映時間
ジミ・ヘンドリックス『エレクトリック・レディ・スタジオ:ヴィジョン』:90分
『アトランタ・ポップ・フェスティヴァル1970』:47分
トータル:147分(10分のインターミッション含む)
コピーライト:©2015,2021 EXPERIENCE HENDRIX L.L.C.
公開日:2025年9月26日(金)
公開劇場:109シネマズプレミアム新宿、TOHOシネマズ 日比谷 他全国順次公開
配給:Screen The Live / IAC MUSIC JAPAN / Santa Barbara Pictures
『エレクトリック・レディ・スタジオ:ヴィジョン』劇中使用曲
Freedom
Valleys of Neptune
Ezy Ryder
Angel
Izabella
Lover Man
Night Bird Flying
My Friend
Dolly Dagger
Pali Gap
Straight Ahead
Drifting
Beginning
Stepping Stone
Hey Baby (New Rising Sun)
Earth Blues
In from the Storm
Room Full of Mirrors
Astro Man
Belly Button Window
『アトランタ・ポップ・フェスティヴァル1970』収録曲
01.Fire
02. Spanish Castle Magic
03. All Along the Watchtower
04.Foxy Lady
05. Purple Haze
06. Hey Joe
07. Voodoo Child (Slight Return)
08. Stone Free
09. The Star-Spangled Banner
10.Straight Ahead
配給元(Screen The Live)SNS
Screen The Live Youtube



