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BABYMETAL “巨大キツネ祭り in JAPAN” @さいたまスーパーアリーナ 2017.9.27 ライヴ・レポート

レポート●早川洋介 写真●Tsukasa Miyoshi (Showcase)(★は大阪公演のものです)

さらに磨きがかかったヘヴィ・メタル・エンターテイメント!

BABYMETALの軌跡≒奇跡があまりに浮世離れしているため、今やこちらの感覚も少し麻痺してしまっているところがある。国内外での目覚ましい活躍や名だたるアーティスト勢との関わりについて触れていくとキリがないのでここでは避けるが、先頃開催された“巨大キツネ祭り in JAPAN”においても、さいたまスーパーアリーナと大阪城ホール公演をそれぞれ2DAYSずつ決行し、しかもすべてソールドアウトさせていたことは紛れもなく快挙である。ただ、気づけばこうした事象もごく当たり前に受け止めており、その感覚含めて、改めて今なおBABYMETALの脅威を感じる次第なのだ。

今夏、東名阪のライヴハウスで開催された計9公演の“5大キツネ祭り in JAPAN”を経て、久々となる今回の国内アリーナ・ワンマン。ここでは、9月27日@さいたまスーパーアリーナ公演2日目の模様をお届けしたい。(写真はクリック/タップで拡大)

定刻を過ぎ、分厚い6連のギター・リフ&リズムと眩いストロボ・ライトが炸裂するオープニングの定番「BABYMETAL DEATH」でスタートしたライヴ——ステージが露わになるや、セットめいたものがない、シンプルで平たい印象の舞台に一瞬驚く。だが、BABYMETALの3人がセンターに現れ、後方全面を覆う巨大な5つのLEDヴィジョンが彼女達を映し出すと、まずはその存在感に目が釘付けになった。3人を追う各カメラが、表情の機微や指先まで神経の行き届いた動きを適確に捉え、ファンが求める“観たかった瞬間”をキメ細かくフォロー。続く「ギミチョコ!!」が始まると、今度は分割されていた画面が迫力ある一枚絵となり、これまたカユいところに手が届くカメラワークで画を映していく。かと思えば、1人ずつにフォーカスし、5つのスクリーンを効果的に使い独創的に魅せていくアプローチはMVさながらで、その多彩な引き出しにのっけから唸らされた。

ゴンドラで空中を旋回した横浜アリーナ、天井付近までそびえ立つセットが構築された東京ドームなど、華やかにスケール・アップしていくステージ・プロダクションだったが、それらとは違うベクトルの今回の演出も見事。ご存知の通り手本となった“型”はあるものの、さらに一歩踏み込んだこの形は、BABYMETALスタッフのチーム・ワークがあるからこそ実現できた代物だ。単なる実況モニターとしての役割ではなく、“この曲ではここを押さえるべき”と把握しているゆえ、リアルタイムで映像作品のように見せることができる。もちろんそうした眩い演出も、BABYMETALのプロフェッショナルなパフォーマンスの上に成り立っているのだが。

序盤、煽るSU-METAL(vocal, dance)の言葉に反応するオーディエンスは今宵も熱く、500レベルまで人で埋め尽くされた景色は、客席から見ても壮観である。そして「メギツネ」を終えると、小気味よいリズムを刻むドラムをバックに、弦楽器隊の3人がステージ前方へ。“神バンド”によるおなじみのセッション・パートではあるが、ビートが異なる新たなパターンとなったことで新鮮な印象を与える。

まずは下手ギターの神のギター・ソロから始まり、これまでと趣を変えた、アームを使いつつハーモニクスで押す前半のインパクトが大(後半は、アラン・ホールズワース・トリビュートのプレイだった模様)。バトンを受け継いだ上手ギターの神は対照的に音数の多いフラッシーなリードを聴かせ、特に加速していく終盤のフレージングには、技巧派メタル・ギタリストとしての誇りがにじみ出ていた。続いてベースの神〜ドラムの神とソロ・パートが一巡すると、BABYMETALの3人が舞台下からせり上がり帰還。ここで今回のセッションが次曲「ヤバッ!」のリズムを基調にしたものだったと分かり、場内からはさらに大きな歓声が上がる。

また、前夜の「Amore – 蒼星 -」に代わり、この日のドラマティック・スピード・メタル・ナンバーは「紅月 – アカツキ -」がチョイスされた。ピアノとストリングスによる前奏がより劇的な空気を作り、リズム・インと同時に「紅月だーっ!」とSU-METALが叫ぶと、あの時代のXよろしく天に向けて勢い良く噴射されるCO2。疾走するバックに乗る彼女の歌声は澄み渡り伸びやかで、いつ聴いてもスムーズに入ってくる。加えて、切なさも湛えているところが素晴らしい。ツイン・リードの醍醐味を味わえる、掛け合いからハーモニーに至る一糸乱れぬギター・ソロが聴きどころなのはもちろん、曲中に轟くえげつないほどのピッキング・ハーモニクスも強烈に耳を捉えた。

YUIMETAL(scream, dance)とMOAMETAL(scream, dance)がリード・ヴォーカルを執るグルーヴィな「GJ!」では、2人のみで見せるシンメトリーなダンスでオーディエンスを魅了。その後も、心電図を想起させる光のラインをイントロダクションに加えた名曲「シンコペーション」、ヴァイキング・メタル風シンガロングが響き渡る「META!メタ太郎」(コーラス部分になると、SU-METALが右耳のイヤモニを外してオーディエンスの声に耳を傾けたりも)と『METAL RESISTANCE』(’16年)からのナンバーが連打され、熱狂はひと時も途切れない。そこにダメ押しとばかりに屈指のキラー・チューン「イジメ、ダメ、ゼッタイ」が登場。いくつものトーチやファイヤーボールが文字通り熱く彩り、打ち込まれるツーバス量も負けじと圧巻の熱さ。そして「紅月 – アカツキ -」同様、ツイン・リードのあるべき形が具現化された濃厚な様式はメタル・ハートに訴えかけてくる。2人のギターの神がエールを交換するかのような流麗なスウィープ&タッピングの応酬も、相変わらず実に華麗であった。

続く「KARATE」がまた際立っており、勇ましい彼女達のモーションに合わせて映像に炎のエフェクトが施され、ここでもMVを観ているかのような錯覚に陥る。中間部でのシアトリカルな3人のパフォーマンスも、世界観に入り込み演じきる姿をカメラが克明に捉えていることで、説得力が増していたと言えるだろう。

いよいよクライマックスに近づき、今回のライヴで象徴的だった可動式の十字架型照明トラス×3基が再び動く中で始まったのは、「ヘドバンギャー!!」。途中、ダクトを手にしてCO2を撒き散らすYUIMETALとMOAMETAL。そこには等身大の彼女達が垣間見える無邪気さもあったが、一転、「Road of Resistance」が始まった瞬間の凛とした3人のたたずまいは、やはり世界を転戦してきたパフォーマーならではのものだった。ツイン・ギターによる大仰かつドラマティックなイントロを経て、急転直下で激走し、フロアには複数のウォール・オブ・デスが発生。ファストなメロディー弾きに始まり、高速タッピングとブラスト・ビートがシンクロするフィニッシュまで、まさにドラゴンフォースな閃光の如きギター・ソロもハイ・スピードで駆け抜ける。トリッキーな音使いが飛び出す2ndギター・ソロ含めて圧倒的であった。

「Sing it!」とオーディエンスの声を求めるSU-METALは、ここでもイヤモニを外して剥き身で会場中の熱い想いを受け止めていく。汗だくになり、全身全霊で最後の一節を歌い上げ、そして大ラスのハイ・トーン・シャウトをキメた瞬間、言いようのない感動が観る者の身体を貫いていた——。

その余韻を後押しする「THE ONE – English ver. -」の壮大なスケール感は、まさにアリーナという空間でのライヴを締め括るにふさわしい。ラスト、銀色のガウンをまとった3人がステージ中央で向かい合いFOXサインを重ね合わせると、火花を伴う爆発音が鳴り響き、90分間の一大スペクタクル・ショウは幕を閉じた。

さらに磨きがかかったBABYMETAL流のヘヴィ・メタル・エンターテイメントは、次にどこへ向かうのか。“何が起こっても不思議はない”というのはBABYMETALを語る上での定説だと思うが、そこには必ず鮮やかな衝撃が待ち受けていることも間違いないだろう。

“巨大キツネ祭り in JAPAN” @さいたまスーパーアリーナ 2017.9.27 セットリスト

01. BABYMETAL DEATH
02. ギミチョコ!!
03. メギツネ
04. ヤバッ!
05. 紅月 – アカツキ –
06. GJ!
07. シンコペーション
08. META!メタ太郎
09. イジメ、ダメ、ゼッタイ
10. KARATE
11. ヘドバンギャー!!
12. Road of Resistance
13. THE ONE – English ver. –