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大村孝佳 2018.3.16 @新宿ReNY ライヴ・レポート

レポート●ヤング・ギター編集部 YOUNG GUITAR

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昨年の12月上旬にアナウンスされた、大村孝佳のワンマン・ツアー“METAL PARADOX TOUR 2018”。彼にとって意外にも(ソロ名義では)初の東名阪ツアーとなったこのイベントは、彼の師であり盟友でもある藤岡幹大が全公演にゲスト・ギタリストとして参加するというトピックも相まって、双方のファンを中心に大きな話題となっていた。だがしかし、周知の通り今年の1月5日に藤岡が不慮の事故により急逝。大村はその訃報を受け、亡き師匠に代わってミュージシャン仲間と共に遺族を支え続けていくこと、藤岡のギターやアンプといった機材を継承し、自身のメイン・ギアと同等に扱っていくことを宣言する。そうした状況下で敢行された“METAL PARADOX TOUR 2018”について、ここでは新宿ReNYにおける東京公演の模様をお伝えしていこう。

この日のメンバーは大村(g)、久世敦史(vo)、BOH(b)、青山英樹(dr)というお馴染みの面子が勢揃い(名古屋と大阪でのリズム隊はShoyo[b]と前田遊野[dr]が担当)。トゥインクル・ピンク・フィニッシュのESPモデル“Snapper Ohmura Custom”(全弦半音下げ)を手にした大村が奏でるクラシカルなキメ・フレーズが響き渡り、1曲目の「Delusional Dreams」がスタートすると、のっけからオーディエンスは凄まじい熱量の歓声で彼のギター・プレイに応える。そして同曲のソロ・パートでは、大村ではない誰かが奏でるリード・ギターがどこからともなく聴こえてきたが…これについては後述しよう。続いて「Holy Tomorrow」や「Nowhere To Go」「Unite」といった重厚な様式美メタルが連打され、バンド側のテンションも観客の盛り上がりも更に加熱していった。5曲目の「Wanna Get A Good Love」に入る前に、大村はギターをロイヤル・シルヴァー・フィニッシュの“Snapper”(全弦半音下げ+6弦のみさらに1音下げ)にチェンジ。そのまま6曲目の「Never」もコナし、続く「The Night Of U.S.A.」「When I Close My Eyes」では再びピンクの“Snapper”に持ち替えていた。

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ここで一旦久世がステージから退場し、楽器隊によるインスト・パートに突入。その演奏に入る前、大村が「1曲目からソロを弾いてもらっていたわけですが、ここで(改めて)藤岡さんを紹介したいと思います」と切り出すと、ステージ上に藤岡が生前愛用していたESP製シグネチュア・モデル“Snapper Fujioka Custom”の6弦と7弦が運び込まれ、ドラム前のポジションにセット。ここで今回の役者が出揃い、藤岡の名を叫ぶ観客の声が会場にこだまする。ちなみに大村の「1曲目からソロを弾いてもらった」という発言を説明しておくと──今回のツアーではいくつかの楽曲で、過去のライヴでレコーディングされた藤岡のプレイの音源が使われていた。先程言及した「Delusional Dreams」の間奏における“大村ではないもう1人のギタリストによるリード・プレイ”は、つまり藤岡のギターだったわけである。これにより、彼と大村によるソロの掛け合いが再現されていたというわけだ。この演出はインスト「The Hill Of Wisteria」「Sadistic Ritual」で何度か登場し、大いにオーディエンスを熱狂させた。もちろん本当の意味で藤岡がその場にいないのが何よりも悲しく悔やまれるところだったが、一方で彼の奏でる音楽がこうして盟友達の演奏と共に躍動しているその光景は、ファンにとって大きな救いとなったことだろう。その後も度々藤岡のユニーク極まりない変態フレージングが繰り出されると、その度に大歓声が起こっていたのは言うまでもない。

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そして大村は13曲目の「Cry For The Faith」以降、自身のギターから藤岡モデルに持ち替えてライヴを遂行。弦高やストラップの長さなどは藤岡が使っていたままの状態で維持されており、また今までアーミングにそれほど興味のなかった大村が藤岡ばりのアーム・プレイを聴かせるなど、師匠へのリスペクトが滲み出たパフォーマンスとなった。もちろん大村本来の、構築美に優れフックに富んだシュレッド・プレイも随所で炸裂し、彼らしいギター・プレイでもアンコールに至るまで我々を魅了してくれたのだった。

今回のツアーは、演者と観客の双方に藤岡への追悼の念があったことは間違いない。しかし、それ以上に印象的だったのが、彼が亡くなる以前と変わらず冗談を飛ばし合いながら、和気藹々とライヴを楽しんでいる大村達の姿だった。変に感傷的にならず、ただただ藤岡と一緒にステージに立てることを喜んでいる──もちろん心の中では大きな悲しみを抱えているのだとしても──そんな彼らの姿に、元気をもらった人も多かったことだろう。そして藤岡自身も、愛弟子の大切なツアーに参加することができてこの上なく喜んでいるに違いない。

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大村孝佳 2018.3.16 @新宿ReNY ライヴ・レポート セットリスト

1. Delusional Dreams
2. Holy Tomorrow
3. Nowhere To Go
4. Unite
5. Wanna Get A Good Love
6. Never
7. The Night Of U.S.A.
8. When I Close My Eyes
9. The Hill Of Wisteria (instrumental)
10. Sadistic Ritual (instrumental)
11. GOODBYE LOST IN STATIC
12. Poison Eyes
13. Cry For The Faith
14. Rain On Me
15. Wanna Remember
16. Tell Me Why
17. Shadows Of Eternity
18. Distant Thunder
19. Every Time
【encore】
20. Under One Flag
21. Never Surrender

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