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藤岡幹大/仮BAND『仮音源 -Demo-』インタビュー

インタビュー&文●坂東健太

僕は辻褄が合うようコードを後付けしながら説得力を持たせる

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YG:5曲目「Jamrika」は?
藤岡:確かこの曲を1番最初に作ったんだ。去年、桑原あいちゃんと一緒にライヴをすることが決まった時、せっかくだから何か新しい曲を作ろうということになって、4人で集まったんです。そのサウンド・チェックがてら、BOHさんが適当に弾いたフレーズがリフになったんですよね。で、BOHさんの手癖的なフレーズをイントロにして、僕は辻褄が合うようコードを後付けしながら説得力を持たせる…みたいな。

YG:良い役割分担ですね。
藤岡:リズムがとても変に感じられるんですけど、それはBOHさんが5/8拍子で取っているのに対して、前田さんは倍の5/4拍子で叩いているから。普通にキャッチーで一糸乱れぬ感じの…それこそメシュガーみたいに一斉にガーッと行くタイプの音楽なら、全員のリズムの取り方を合わせるんですけど。

YG:確かにこの曲は良い意味で緩さが残ってて、ライヴっぽいんですよね。
藤岡:そうなんですよ。これは1発録りなんです。

YG:何テイクか録って、その中から良いものを選んだんですか?
藤岡:3テイクですね。1テイク目は音色チェックぐらいのつもりで、それも全然悪くなかったんだけど、せっかくなので2回目を録ることにしたらみんなやる気を出して来て(笑)。3回目にはもう全員ずっと目立ちたい、みたいな雰囲気に。後から聴き直したら、2回目のテイクがほどよくぶち切れているということで、それを選んだんです。ピアノからギターにソロを渡す部分の流れは、あいちゃんのアイデアですね。「ピアノ・ソロでわけの分からないテンションまで行くので、カオティックなままギター・ソロに入ってみません?」みたいな。

YG:ただ聴いていると、綿密に決めていたかのような合わせっぷりですよね。
藤岡:ギターは確か、その直前にピアノが半拍半で詰め込むようなフレーズを連続して弾いていたので、それを引き継いで同じようなリズム解釈で弾いてるんだと思います。

YG:そういう時って、バッキングを弾きながらも同時にソロの入り方を考えているんですか?
藤岡:少しは考えますけど、考え過ぎるとバッキングがぐずぐずになっちゃう(笑)。あいちゃんはジャズ畑の人だから、オーヴァーダブは今までの人生で2回くらいしかやったことがないらしくて。ピアノみたいな生楽器って、音を継ぐと如実にタッチの違いが分かるじゃないですか。ちなみに他の曲でも、別にキメのつもりで弾いたわけじゃないのに、何かキメっぽくなっている箇所はけっこうあるんですよ。ソロイストが弾いたフレーズにドラムが反応し、後付けでギターが追い掛けて、最後の1小節は同じパターンになっている…。そういうのは1曲につき1〜2箇所ありますね。

YG:ミュージシャンとして修練を積めば反応はできるかもしれませんけど、譲り合う精神がどこかにないとダメですよね。それはやっぱり、何度も一緒に演奏しているからこそ息が合うということですか?
藤岡:うん、一応何となくお互いのことが分かってるんですよ。前田さんはソロイストが弾いてることにすぐ反応して、一緒に付き合っちゃうタイプ。BOHさんはそれがどうなるか、まずは横で見ているタイプ。全員一緒にやると、それこそカオスになるから。だからライヴの音を後で聴くと、ソロの場面ではBOHさんは淡々とルートを弾いていることが多いんですよね。

前田遊野(dr)

前田遊野(dr)

YG:最後の「Snowflakes」は、全く雰囲気の違うシンプルな曲ですね。
藤岡:レコード会社の人から「1曲くらいは鼻歌で唄える曲がほしいです」って言われたので(笑)。元ネタは完全にBOHさんですね。ベースのパターンは彼が高校生の頃、初めてリディアン・スケールを弾いた時に作ったフレーズらしくて。

YG:資料にある藤岡さんのコメントには「トーナリティもリズムも実は変」と書いてありますが、確かに不思議な音使いですね。
藤岡:4小節ずつでGリディアンとDリディアンが入れ替わるんですよ。だからずっとどこがルートか分からないまま。でも、例えばクリスマス・ソングってそういうのが多いんですよね。…ってBOHさんに言ったら、「そう! 真冬に旭川の実家で雪が深々と降っているのを見ながら弾いてたら、俺、かっこいい!と思って」って言ってた(笑)。

YG:リズムは3拍子ですが、場面ごとにドラムの叩き方が変わって、一概に3拍子と言っても色々あるんだな…と思わされました。途中でハネたかと思うと、サビに行くとストレートになったり。
藤岡:これも最初のアイデアではそうするはずじゃなかったんですけど、前田さんがレコーディングの時に突然、「ストレートの方がかっこいいと思う」って叩き始めたんです。

YG:なるほど。では、レコーディングで使った機材を教えてもらえますか?
藤岡:ギターはESP“SNAPPER Fujioka Custom”で、セイモア・ダンカンが載っている6弦モデルがメインなんですけど、クリーンのパートだけは7弦のEMGが綺麗だったのでそちらを使いました。「Snowflakes」のアコースティックはマーティンの“000”です。よく弾き語りで使っているギターで、フレットはジェスカー製に替えたおかげで、すごくハイブリッドなギターになりました。アンプは全部ケンパーですね。

YG:では最後に、読者へひとことメッセージを。
藤岡:メンバーのスケジュールがなかなか合わないんですけど、もっとライヴをやりたいと思ってるんですよ。今回のミニ・アルバムの中だと、まだ「忍者Groove」「Djentleman」「Jamrika」の3曲しか生で演奏していなくて、でも作品的には残りの3曲が肝なんじゃないかと。だから2017年内には、どこかでライヴをやりたいですね。

仮BAND 作品情報

仮BAND - 仮音源 -Demo-

『仮音源 -Demo-』

CD | ベルウッド・レコード | 2017年4月26日発売

収録曲

  1. Common time’s Logic
  2. Chuku
  3. 忍者Groove
  4. Djentleman
  5. Jamrika
  6. Snowflakes