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スティーヴ・ヴァイ:ギター・イベント“Generation Axe”本誌未掲載インタビュー

通訳&翻訳●川原真理子 Mariko Kawahara 写真●William Hames、Larry Dimarzio(Steve Vai/★)、Miwa Yuzawa(Tosin Abashi)

steve-vai-2016

現在発売中のヤング・ギター8月号では、1990年にリリースされたスティーヴ・ヴァイのソロ第2作にして代表作である『PASSION AND WARFARE』の“25周年記念盤”、そしてそれに同梱されているアルバム『MODERN PRIMITIVE』に関する最新インタビューを掲載しているが、ここではそこに未掲載となった部分を特別に公開しよう。

去る4月5日〜5月9日にかけて、スティーヴ・ヴァイ、イングヴェイ・マルムスティーン、ザック・ワイルド、ヌーノ・ベッテンコート、トシン・アバシという5人のスーパー・ギタリストが一堂に会して行なわれたスペシャル・パッケージ・ツアー“Generation Axe”──その参加メンバーについて、スティーヴがそれぞれに対する印象を語ってくれた。

全員がやって良かったと思ったし、もっとやれればと思ったよ!

YG:“Generation Axe”について訊かせてください。そもそも、あなた、イングヴェイ・マルムスティーン、ザック・ワイルド、ヌーノ・ベッテンコート、トシン・アバシ———この5人が一緒にツアーを行なうことになった経緯は?
スティーヴ・ヴァイ(以下SV):あのツアーは、常に僕の心の片隅にあったコンセプトだったんだ。“G3”ツアーもとても良かったけど、優秀なバック・バンドが1つあって、個性的なギタリストが5人いるライヴをやったら面白いんじゃないかと思っていたんだよ。(この続きはヤング・ギター8月号に掲載)

──以下、誌面未掲載部分──
YG:個人的には、あなた、ザック、ヌーノ、トシンでプレイした「Frankenstein」(エドガー・ウィンター・グループ)で鳥肌が立ちました!
SV:ああ、あの曲ではみんなのプレイが本当に素晴らしかった! 「Highway Star」(ディープ・パープル)や「Foreplay」(ボストン)もそうだったけど、全員にしっかりとパートが割り振られていて、みんなが入れ替わり立ち替わりプレイしたり、全員でハーモニーを奏でたりするパートもあった。美しいんだ。あんなに美しいものを聴いたのは初めてだよ…! 僕は、彼らとならそういうことができると分かっていたし、絶対にやりたかったんだ。実は元々、いろんなジャンルからギタリストを集めて一緒にやることも想定していたんだよ。紙にロック、メタル、ブルース、フュージョン…といろんなジャンルに分けて僕のお気に入りのギタリストを書き出してみた。それで、どうしたら一番楽しくてイカしたものになるかと思った時、僕が注目したのがメタルのカテゴリーだったんだ。そしてショウ全体を思い描いてみた時、しかるべきバランスにするためには、イングヴェイ、ザック、ヌーノ、トシンのようなしかるべきギタリスト達が必要だと思ったのさ。そうすると、同じジャンルの範囲内でも、素晴らしく多様なショウになることも分かった。

tosinYG:それぞれのギタリストについて、コメントをいただけますか?
SV:OK。まずはトシン・アバシ──彼は新世代、若いヘヴィなギタリスト達の考え方を代表しているよね。彼はその手のシーンの先頭に立っていると思う。彼は単に“グレイト”なギタリストではなく、“アメイジング”なギタリストなんだよ。彼はハーモニーやそのストラクチャー、そしてメロディー作りの能力もユニークなんだ。彼は8弦ギターを弾いているけど、そのプレイも全くもってユニークだよ。本当に魅力的なアーティストだ。彼がこのツアーに参加してくれれば、ショウに多様性をもたらしてくれることは、僕には分かっていたのさ。

次にヌーノ──彼がいかに“素晴らしい”ギタリストであるかはみんな知っているだろうけど、彼が“本当に本当に素晴らしい”ギタリストであるかは知らないだろう。アーティストとしてもの凄い直感力があって、優れた理解力もある。生まれ持った才能を備えているんだよ。そして彼の演奏能力には、信じられないものがある。本当だよ。トシンは凄くトガっていて勢いがあるけど、ヌーノもとてもパーカッシヴでマシンガンのような音を叩き出す。実際彼らは、本当に見事なセットを構築したよね。

Nuno Bettencourt  2015 by William Hamesヌーノはトシンと一緒にプレイしたけど、僕ならやってみようとも思わなかった(笑)。だって、トシンの音楽はもの凄く複雑でリズムが難解だから、理解するためには全く別の脳の筋肉を使わないといけない。でも、ヌーノは平然とコナしていたよ。彼がトシンと一緒にやった曲は魅力的だったね。ヌーノは、エクストリームのファンク風の曲では素晴らしいギター・プレイを披露してくれたし、ショウではザックと一緒に素晴らしいヴォーカルも聴かせてくれた──彼らがやったのは何ていう曲だったかな…シェリル・クロウの曲で、そう「Sideways」だ! ギター・プレイはもちろん、ヌーノもザックも最高のヴォーカルを聴かせてくれた。あれは本当に美しかったよ、全く言葉にできないほどに! そういう点でも、ヌーノはトシンとはまた全く違うものをショウにもたらしてくれて、それはもの凄く娯楽性に富んでいたね。

Zakk Wylde 2015 by William Hamesザック──彼はビーストだ! 彼は“ゾーン”に入る。そして激しく、速く、強烈に弾きまくる。その勢いは止まらない。凄いよ。僕はもうその姿に引き込まれっぱなしさ。彼は“ザック・ワイルド”なんだ。唯一無二の存在で、その存在感が強烈だ。彼のセットは他のメンバーとは色んな点で全く異なっていたけど、だからこそ、やはりショウに多くのものをもたらしてくれた。それに、ザックとは楽屋やツアー・バスで一緒にいるだけでも楽しい時間を過ごせる。本当に魅力的な男だよ。

そしてイングヴェイ──彼が今回のツアーに参加したいと言ってくれた時、僕は最高にエキサイトした。これまた、彼は“イングヴェイ・マルムスティーン”以外の何ものでもなく、まさに“レジェンド”なんだ。彼の存在自体がスペシャルでユニークなんだよ! その存在感は、その伝説の地位にふさわしい。そして彼は、自分のやっていることに自信満々だ。まるで王様のように堂々と凄まじいプレイを披露してくれたよ。僕は毎日彼のプレイを観ていたけど、いまだにあの純然たる超絶技巧には驚かされる。僕は毎回、「Black Star」でイングヴェイと共演したんだ。あれは、他のミュージシャンとのインプロヴィゼーションという点で、僕のキャリアのハイライトの1つだった。ある意味、ショウのハイライトだったとも言える。スティーヴ・ヴァイとイングヴェイ・マルムスティーンが素晴らしく見事なメロディーを奏でていたんだから! 

YNGWIE MALMSTEEN. 2014, WILLIAM HAMES最後の方では掛け合いもしたよ。他のミュージシャンと掛け合いをする時は、一定の精神状態でないといけない。そしてその精神状態で最も必要なのは、聴いて反応する能力だ。相手がやっていることを聴いて、それに反応しないといけない。イングヴェイに関して、“G3”ツアーでは発見できなかったけれども今回僕が発見したのは、彼は耳がもの凄く利くということ。彼の聴いて反応する能力はずば抜けていたね。2人で隣り合って弾いていた時、僕達の間にはもの凄くクリエイティヴな瞬間が何度もあった。それに、彼が僕のためにちょっとスピードを落としてくれたのはラッキーだったね(笑)。とにかく、彼は本当に素晴らしくて、スペシャルだった!

そして僕。僕の強みは奇抜なことだ。というわけで、全体的に素晴らしいショウになったよ。でも、ツアーを始めた頃に僕達の心の中にあった大きな疑問は、「果たして仲良くやって行けるんだろうか?」ということだった。みんな個性派揃いで、自分のアートや技に対するこだわりがある。ある意味、自分に対しても周りに対しても、期待されることに関して融通の利かないところがある。最初の頃は、お互いちょっと手探りしている感じがあったけど、それぞれがコンセプトを理解していて、自分達がやろうとしていることにどんな意味があるかは分かっていた。みんな、自分が新しくて新鮮なことの一端を担っていることを分かっていたんだ。個人的な意見の食い違いよりも、そっちの方がずっと重要だということもね。そもそも、意見の食い違いなんかなかったけどさ。

Steve Vai  2015 by William Hamesツアー中で僕が一番好きだったのは、みんなでツアー・バスに乗っている時だった! みんなで話をして、音楽を聴いていたよ。あんなに笑ったのは生まれて初めてだった。ある朝、目が覚めたら顔が痛かったんだ。どうしたんだろうと思って不安になったんだけど、それは8時間バスに乗っている間、僕の顔がずっと笑ったままの状態になっていたせいだったんだよ。本当に素晴らしかった。みんな凄〜く面白かった。そしてみんな素でいられたし、それをお互いに受け入れていた。だからあんなにうまく行ったんだ。というわけで、ツアー全体が素晴らしかった。終わった頃には、全員がやって良かったと思ったし、もっとやれればと思ったよ!

STEVE VAI 作品紹介

STEVE VAI - MODERN PRIMITIVE
STEVE VAI - MODERN PRIMITIVE / PASSION AND WARFARE 25TH ANNIVERSARY EDITION
『MODERN PRIMITIVE / PASSION AND WARFARE 25TH ANNIVERSARY EDITION』STEVE VAI

『モダン・プリミティヴ/パッション・アンド・ウォーフェア25周年記念盤』スティーヴ・ヴァイ

2CD | ソニー・ミュージックエンタテインメント | SICX-30003〜4 | 2016年6月22日発売

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