Made In Japanの底力を見せつけた初の試みとなるイベントに密着!

10月19日(金)、20日(土)、21日(日)の3日間、東京ビックサイトにて開催された2018楽器フェア。その会場内にて、前回より日本製のギターとベースの魅力を伝えるべく広報・普及活動を行なってきた団体、GAKKI ENGINE OF NIPPON(以下GEN)が特設ブースを出展し、初の試みとなるイベントを開催した。

GEN GUITAR AWARD(以下GGA)と名付けられたこのイベントは、GENに参加している29社、30ブランドが製作したスペシャル・モデルが合計76本展示され、ブースの来場者が審査員となり展示されているモデルの中から3つの部門別に最も優れていると感じた1本を選んで投票するというもの。今回設けられた部門の内訳は下記の通りだ。

  • 「LOVE & NEED」(これは欲しい! 好き!)
  • 「DESIGN & COLOR」(この色や形、コ—ディネートは好き!)
  • 「CONCEPT & IDEA」(この方向性、発想は好き!)

イベント終了時には、それぞれの部門でトップの得票数をとった製品3本が表彰されたほか、その中から全体で最も得票数が多かった総合トップの製品が「THE OVER ALL AWARD」として選出された。こちらはページ最後で紹介しているので、ぜひチェックしていただきたい。早速、参加ブランドが出展したモデルから紹介していこう。

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出展ブランド一覧

(ロゴ画像を押すと各ブース紹介にリンクします)

東京でカスタム・モデルの製造を行なうAddictone Custom Guitarsからはこだわりの詰まったモデル、“Classic Modern”が展示されていた。アメリカ製のボディーやネックを日本国内で組み立てたというこのモデルは、トラディショナルなボディー・シェイプながら、1ピースのアルダー材から作られたボディー、杢にもこだわったバーズアイ・メイプルのネック/指板、ウィルキンソン製のトレモロ、Amalfitnoのヴィンテージ・タイプのピックアップなど、Addictoneのこだわりの仕様が詰まった“使える”モデルとなっており、セッションでのマルチな演奏スタイルでの使用から、歌モノのバンドでの声と絡むリード・トーンなど様々な楽曲の中で生きてくるサウンドが特長だ。

1989年のブランド創設以来、第一線で活躍するプロから厚い信頼を得てきたATELIER Z。今回出展されたM265 FL TOMOHITO AOKI MODEL(写真/左)は故青木智仁氏が生前最後に使用していたフレットレスの5弦ベースを再現したシグネチュア・モデル。エボニー指板と低めにセッティングされた弦高は本人からのリクエストを反映させたスペックだ。またM245 JPJ CTM(写真/右)はフロントとリアにJBタイプのPUを、センターにPBタイプのPUを搭載したカスタム・モデル。ベースを持ち替えることなくJBタイプとPBタイプ両方のサウンドを創出することが出来る。セッション・ベースマンから重宝されそうなモデルだ。

愛知県春日井市で楽器を製作するBizen Worksからはボディー・トップのバール材の表情を最大限に生かしたモデル“Grain Burl Maple Top”が展示されていた。サップを取り入れたウッド・マテリアルを持ち、バック材にも1ピースのホンジュラス・マホガニーを採用。ネックもホンジュラス・マホガニーとマダガスカル・ローズウッドを使用し、厳選された木材ならではの重厚な雰囲気も感じられる。ピックアップには同社オリジナルのヴィンテージ・タイプのものを採用。また、写真では見えない箇所だが、バックにはヴェヴェルド・コンターやジョイントもヒールレス加工が施されるなどといった鮮烈なヴィジュアルとプレイアビリティを両立している。

dragonflyからはギターが3本、Borderのスペック違いモデルが展示されていた。どのモデルも特徴的な木材をボディー・トップに採用しており、左から同社ではおなじみの666mmスケールを採用したブラック・リンバ&フレイム・メイプル・トップの“Border Custom666”、ブビンガ・トップでネック・スケールが670mmの7弦モデル“Border Plus 670/7st”、グリーンのフィニッシュが映えるバーズアイの杢が美しいハード・メイプル・トップの“Border Custom666”。ベースも2本展示されており、ブビンガ、和材の黒柿を採用しているのがユニークだ。ピックアップはすべてオリジナルを搭載しており、各楽器のサウンドを芯のあるものにしている。

リペア・ショップからそのキャリアをスタートさせ、2016年にオリジナル・ブランドを立ち上げた土居洋之氏によるD’s design。弾きやすさと独自のデザインを追求している同ブランドからは、ヘッドとボディーに同じデザインを採用した“Insect Bass”を2本出展。斧折樺(オノオレカンバ)という木琴などで使用される非常に硬質な材をネックに採用することで、ハイ抜けの良さとサステインの良さを目指したという。またプル・ウインドウと呼んでいる指板ハイ・フレット部のカットがプレイアビリティの向上に寄与している。両モデル共にボディー材にオークを採用しているが、5弦モデルはオーク材を柾目で使用した際に出る杢目「虎斑」が際立ち、非常に目を惹く。

“印象的なルックスで、自分が欲しくなるような楽器”を生み出すべく、吉田智哉氏が2017年に立ち上げたオリジナル・ブランド。“Grace[麗]”(写真/左)のギターは王道的な中にも個性が見えるようなモデルというコンセプトで制作され、独特なヒール・カットが施されたセット・ネックがハイ・フレットでのプレイアビリティを高めている。ベースの“Bullhead Shark[猫鮫]5String”は海水魚の猫鮫を模したかのようなシェイプが印象的だ。ボディーの向かって左下に見える直線的な部分はアーム・レストとして機能するという。両モデル共に、「拭き漆」という技法により塗膜が非常に薄く仕上げられていること、ネックの強度を上げる補強材として2本のカーボン・ロッドが仕込まれていることなども注目点だ。

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東京の町屋にファクトリーを構える深野 真氏を中心にした職人集団、フリーダム カスタム ギター リサーチ。GGAのためにビルド・アップされた“Hydra 24F-2Point Perf Ring Special”(写真/左)は同社のオリジナル・モデル“Hydra”に初の試みとなるパーフリング(バインディング内の装飾)を装備したスペシャル・モデルだ。インレイには落ち葉の意匠があしらわれている。P.U.はオーヴァードライヴ・サウンドにフォーカスしたオリジナルP.U.、ハイブリッド・ハムバッカー・タイプ2を搭載。ベースの“Custom Order Rhino 5String”(写真/右)はトップに採用されたブラック&ホワイト・エボニーの独特な杢目が印象的だ。2基のP.U.はどちらも新開発のオリジナル・ハムバッカー。

IHush Guitarsが展示していたモデルは2本。1本目はボディーに大きく薔薇がモチーフのアルミ彫金が施されたピックガードを採用し、ボルト・オン・ジョイントの“Tele Rose”(写真/左)だ。その隣はトラ杢と彫金のコントラストが美しいセット・ネック・ジョイントの“Righteous Standard”で、どちらも目映い輝きが目を惹き付ける。国内外のギタリストにも絶賛されるビルダー:井橋氏による精巧かつ美麗な彫金は細部に渡って丁寧な仕事が施されている。オリジナルのピックガード、テイルピースなどのデザイン性に富んだオンリー・ワンな輝きを放っており、どちらのモデルもベアナックル製のピックアップを採用するなど、サウンドにも充分なこだわりを感じることのできるギターとなっている。

2017年に創設された八田 聡氏によるInfiniteは、“小菊Logic”と名付けられた独自のネック・ジョイント工法を持っていることが大きな特徴のブランドだ。これにより、しっかり接合されたネックが豊かなサステインを生む。また、指板とネックも同社オリジナルの工法で接着されているため、ネックの強度を上げ、ねじれに強く音の伝達効率のアップに寄与する効果があるという。“Trad-T”(写真/右)はトラディショナルなサウンドとモダンな演奏性を両立させたモデル。“Modernize Bendtop Hollow”(写真/右)はブルーとレッドの対比が美しいホロウ・ボディー構造のモデルだ。いずれもバズ・フェイトン・チューニングを採用している点にも注目したい。

長野県塩尻市でギターを製造するKino Factoryより、ブランドのアイデンティティを感じさせるヘッド・シェイプとロゴが入れられた5本のギターが展示されていた。左側の3本はオリジナル・デザインのシングル・カッタウェイ・モデル“mort”で、ボディーはオール・ローズウッド、エボニー・トップ&ライト・アッシュ、マホガニー1ピースの3種類。右側の2本はオフセット・ボディーの“Jam”で、センターにウォルナットを挟んだローズウッド・トップ/バックのモデル、マホガニー1ピースのモデルといった、それぞれ木材からカラー、P.U.やパーツのレイアウトまで異なったスペックのものが用意されていた。様々な仕様に対応できる技術力でユーザーにアプローチし、独自性を際立たせていることが伺えた。


東京都荒川区でギターを製作するkusakusa88は、トラディショナルなテイストと可愛らしさを持ち合わせた“Standard Schnauzer”シリーズを出展。それぞれネック材にはメイプルとローステッド・メイプルという、材料の処理違いのものが用意されており、ピックアップはフロントに“Filter’Tron”、センターとリアにはリンディ・フレイリン製の“BROADCASTER”セットを搭載。様々な音楽スタイルでの活用に向いている。どちらのモデルもボディーの塗装にはラッカーを採用し、“鳴り”も意識したものとなっているのが魅力だ。また、この展示に合わせて製作されたエレクトリック・マンドリンも用意されていた(写真右端)。

神奈川県逗子市に工房を構えるKz Guitar Worksは、ブライアン・メイの“Red Special”のレプリカ・モデル“Red Special Replica”を出品(写真/右)。ブライアンのオリジナル・モデル同様、ボディーやネック、指板材にオークを採用し、トライソニック・タイプのP.U.や自作のブリッジまでも再現された徹底ぶりだ。このテイストを持ちながらもモダンな仕様を採用した“Kz One Semi-Hollow 3S23 Kahler”も、併せて展示。こちらはブランドのオリジナル・ピックアップにホンジュラス・マホガニーを採用したホロウ構造のボディーが特徴だ。ケーラー製トレモロも搭載され、コントロール次第で様々なサウンドを創出可能。ヴァーサタイルなスタイルのギタリストにもオススメしたい一本だ。

6弦ベース+7弦ギターの13弦に加え、27フレット仕様でマルチ・スケール…という圧巻のルックスを持つ“Nemesis”は、ハード・メイプルとウォルナット、パドゥークをラミネートした強靭なネックにボコーテ、エボニー、ジャパニーズ・アッシュ、サペリを組み合わせたモデルで、オンリー・ワンの存在感を放っている。また、ローズウッドをボディー・トップに採用し、バルトリーニのP.U.と回路を搭載したエキゾティックなルックスの5弦ベース“Hubris”も芸術的だ。珍しい材を大胆に使用したモデルはどちらも個性が溢れ出しており、作り手の木材への愛とこだわりを感じることができる。

和材を積極的に使用し、漆による塗装を採用することで“洋”のギターと“和”の材料&技術の融合を目指す西垣祐希氏によるNISHGAKI GUITARS。サンセット(日の入り)をイメージした左のモデルはトップ材に木曾檜が採用され、漆とセラック塗装により木の質感が感じられる仕上げとなっていてジャジーなサウンドが心地よい。それと対をなすのが、サンライズ(日の出)をイメージした右のセミアコ・モデル。ボディー・トップには板屋楓、ボディー・バックとネックはマホガニー、指板はヴィンテージのインディアン・ローズが採用されている。P.U.はセイモア・ダンカンの“Antiquity”で、ソリッドからフルアコまでのサウンドをフォロー出来るギターを目指したという。

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2008年からスタートした、岡田和彦氏によるO.CRAFTブランド。フェイヴァリットだというTLタイプのシンライン・モデルを基にした“O.C.T Thinline Blonde”(写真/左)は、氏の手巻きによるP.U.が生み出すハイファイで抜けの良いサウンドが特徴だ。また、ブラスを切り出したピックガードが印象的なルックスに一役買っている。“O.C.TB Thinline All Rose Bass”(写真/右)は、その名のとおりボディー&ネックともにローズウッドを採用したベース。重量のある材を軽くするためにシンライン構造をとったことで、音抜けの良さとエアー感を両立させている。PタイプのP.U.のボビンにもローズウッドを採用しているのがニクイ演出だ。

プロビデンスは「すべてのストレスからアーティストを解放し、プレイに専念できるための道具であり、アーティストが生み出す素晴らしいエネルギーを余すことなく伝え、そしてすべての人々に喜びと幸せをもたらすことを目指す」という同社の理念を体現したモデルを2本出展。左の“sD-102RVS”は同ブランドの長年の愛用者であるギタリストの今 剛シグネチュア・モデル。同社オリジナルの“Vitalizer”を搭載し、P.U.はJ.M.Rolphがこのモデルのためだけに特別に製作した“’59LP PAF Style/Tapped”を採用している。右の“eH-612RN”は、同社オリジナルP.U.と“Vitalizer”を搭載した、2019年に発売を目指すニュー・モデルのプロトタイプだ。

山口県でギターの製造を行なうProvisionからは、トップ材が印象的なTLタイプ“PFTE”が2本展示。左のモデル“#006-TOCHI”はその名の通り、国産の栃材を使用しており、“#007-SQM”(写真右から2番目)はスポルテッド・キルテッド・メイプルが貼られている。どちらもトラディショナルなシェイプながら、ネックにはマダガスカル・ローズウッドの指板材とハード・メイプルを用いており、22フレット仕様のネックと6連サドルのブリッジといった実用性が高いパーツも採用。ピックアップはオリジナル・モデルを搭載しており、印象的な杢を持つトップ材とゴールド・パーツのコントラストが存在感と輝きを放っている。

長野県塩尻市で楽器製造を行なっているRed Houseでは、トラディショナルなデザインをモチーフとしながらも個性のある楽器が展示されていた。ライト・アッシュの1ピース・ボディーで25インチ・スケールを採用したSTタイプ“Paddle Out Small 22 Relic”(写真左端)、未塗装のマホガニーが力強いルックスのTLタイプ“Paddle Out TL22 Hollow Un Finish”(写真左から2番目)に加え、ベースもそれぞれこだわりを込めた2本を出展。ピックアップはすべてブランド・オリジナルのものを搭載している。いずれも木材の素質を素直に引き出しつつクオリティの高い楽器が揃っている印象で、ライヴの多いミュージシャンから信頼されているのも頷ける。

Sagoからは、その技術力の高さを存分に示したモデルが2本登場。片方は33インチという超ロング・スケールのネックにロック式トレモロを搭載した6弦、もう片方は25インチ・スケールのネックにサスティナーを搭載した6弦…という2本をひとつのデザインにまとめあげたダブル・ネック・ギターの“二天一流 武蔵”がその1つだ(写真/左)。そして[.013〜.214]という驚きのゲージの弦が張られた12弦ベースの“Barock”も。こちらのネックはコリーナ/ウォルナット/フレイム・メイプルの9ピースで、こんなに多くの弦の張力を保持できるほどの強度が自慢。どちらも、塗装にまでこだわりを感じられる魅力が詰まっている。

1983年にリペア・ショップをスタートした遠藤雅美氏によるブランド:Song Bird。2000年に現在の工房に移転し、以来オーダーメイド・モデルの制作を行なっている。“Copatone W #2”(写真/左)は、以前ギタリストの長岡亮介氏のために制作されたダブルネック・モデルの別ヴァージョンと呼べるモデル。TLタイプとエレクトリック・マンドリンのダブル・ネックで、ボディーのレトロな色とは裏腹にハイ・パワーなTLサウンドを生み出してくれる。JMタイプの“Bill Special”(写真/右)はジャズ・ギタリストのビル・フリーゼルが使用していたペイント・ギターにインスパイアされたモデルだ。コンサート・サイズのエレクトリック・ウクレレ(写真中央)も非常にキュート。


Sonicには、オリジナル・モデルのギター“Sonicboomer Custom”(写真左)と、同社の代表的な製品となっているベース“Ultra Sonic(USB)”が展示されていた。前者はキルテッド・メイプル・トップ/アフリカン・マホガニー・バックのダブル・カッタウェイのシェイプが印象的。塗装はニトロセルロース・ラッカーを採用し、アッセンブリーも同社オリジナルのものだ。“Ultra Sonic”は人気ベーシストの西山史晃氏も使用するモデルで、どんな現場でも氏が信頼を寄せるライヴ・ギアとなっている。同社の手にかかって生み出された楽器の仕上がりの良さは、様々なミュージシャンに愛用されてきたことからも納得がいくだろう。

富山県にて販売を展開している楽器店:Blue Guitarsが、自社工場で生産するプライヴェート・ブランドのstilblu。ヘヴィ・エイジド加工されたトラッドなシェイプに“Seafoam Green”のフィニッシュが印象的なTLタイプの“Model-T”と、Raw Vintage製SSHのピックアップ・セットを採用したSTタイプの“Model-S”の2本が展示されていた。いずれも伝統的なボディー・シェイプとヴィンテージ・タイプのブリッジを搭載しているが、特殊な模様が表現されたオリジナルの銅製ピックガードが大きなインパクトを放っている。22フレットの採用など、実用性の高い仕様も持ち合わせたstilbluならではのモデルに仕上がっている。

杉本 眞氏が、長きにわたるキャリアの中で培ってきたギター製作技術の粋を集めたブランド:Sugi。“花鳥風月”をコンセプトに据えた今回の出展モデルは、“Akebi”や“Ochiba”といった名が付けられたカラーリングもあってか、日本の風景を思い起こさせる4本となっている。また、ギターの指板にスポルテッド・メイプルが採用されている点は見逃せない。一般的に柔らかく、指板には向かないとされるこの材に特殊な独自製法を加えることで、指板材に耐えられる強度を持たせることに成功したようだ。オリジナリティ溢れる美しいルックスに仕上がったことも含め、今回のSugiのチャレンジは木材の枯渇問題に光を投げかけるのではないだろうか。

ユーザーひとり一人に合わせたオーダー・メイドの楽器を作ろうと、2017年に鈴木 亮氏が立ち上げたTrafzck Guitar Services。注目は弦の上を飛び跳ねるような躍動感のあるイルカの造形がインパクト大な“Antinomious”(写真/右)だ。プレイアビリティは考えずに、鈴木氏の造形欲が赴くままに制作したという本機は、アルダー・ボディーをハンド・カーヴィングで仕上げているのが特徴。ネックはメイプル、指板にはエボニーが採用されている。一方“Cofa=rerief”(写真/左)はTLタイプのギターにフロントのオーバル・タイプのP.U.を配置することで愛嬌のあるルックスに仕上げている。このP.U.は鈴木氏による手巻きで、暖かみのあるサウンドとのことだ。

1995年にリペア工房からスタートし、2017年よりプレイヤーが使いやすいギターを制作することをモットーに立ち上がったオリジナル・ブランドがT.S factoryだ。一番左の4弦ベースはボディー・トップとヘッドに採用されたパープル・ハートが目を惹く。ブルーのメッキ調のフィニッシュが個性的な左から2番目のギターは、トップに屋久杉を採用。中央に位置するモデルは、シングルコイル1基をハムバッカーで挟んだユニークな構造のP.U.をリアに搭載しており、それぞれに独立したヴォリューム・ノブが付いている。右側の2本は、同じ振動特性を持つ材で楽器を組み上げようという試みのもと、同一のアッシュ材からボディーとネックが切り出された意欲作だ。

高橋謙次氏を代表とするT’s Guitarsは、同ブランドを象徴するギター“Arc”とベース“Omni”のワンオフ・モデルを展示。本来はダブル・カッタウェイが印象的な両モデルのボディー・シェイプをシングル・カットに変更、かつチェンバード構造を採用することで、いずれも豊かな鳴りが魅力のモデルを作り出した。“Arc-Single Cut”(写真/右)はキルテッド・メイプルをトップに、希少材のレースウッドをボディー・バックに採用。“Omni-5B Single Cut”(写真左)はP.U.カヴァーとコントロール・ノブにバール・メイプルを採用し、よりウッディなルックスに仕上げている。また中央に展示されているのは、同ブランドが展開するウクレレ・ブランド:Kakumaeのモデルだ。

SonicとSagoの技術を結集し、全く新しい楽器を製造しているのがXimeraだ。今回展示のモデルはサーモ・アルダーのボディー材や“Altmate-E”という人工木材を指板にを採り入れた“Arxi-4 Custom” ベース。もう1本は、木材やカラーリングに違いはありながらもベースと同一のシェイプを持ち、スパンコールのピックガードなど、既存の材料に囚われない新しさを持ったギター“Moxino”。両モデルともにラムトリック・カンパニーが手がけるオリジナルP.U.の”Jupiter”が搭載されているのが大きな特長で、前述の新素材などの積極的な採用や、Sagoの高い製造技術とSonicのアッセンブル技術が高いレベルで融合した“他にはない”モデルとして魅力を放っていた。

Xoticのモデルからは2本展示。ブランドのオリジナル・コントロールとプリアンプを搭載したベース“XJ-1T 4st”は、レイク・プラシッド・ブルーの下から3トーン・サンバーストが覗くヘヴィなエイジド加工が施されたマルチ・レイヤー・フィニッシュが特長だ。さらに、今回新しくラインナップされた”California Core Series”からはベアナックル製ピックアップを搭載し、バーズアイ・メイプルのネックの採用とフレイム・メイプル・トップのボディーが美しいギター“XS-BEND Top HH”が展示されていた。どちらもプレイアビリティはもちろん、その印象的なカラーリングでも来場者の目を集めていた。

モーターバイク「カフェレーサー」に着想を得て無駄な部分をそぎ落とし、個々のプレイ・スタイルや好みに合わせて多様なスペックの中から気に入ったモデルを選べるギターのラインナップが、ヤマハの“REVSTAR”シリーズだ。“RSP20CR”(写真/左)は同社のギター製作の技術力を注ぎ込んだフラッグシップ・モデルで、P.U.はアルニコVマグネットを使用したオリジナルだ。また、完成したギター本体に適切な振動を与えることで長年弾き込んだかのような状態を作り、理想的な鳴りを生み出すI.R.A処理も施されている。右側の“BBP34”は、40年以上もの間多くのプロ・ベーシストから信頼され続けてきたBBシリーズの最上位機種で、現代のシーンにマッチしたアップデートが加えられている。

松崎 淳氏率いるゾディアックワークスからは、ギターとベースが2本合わせて対になることを前提としたコンセプト・モデルを制作。女性水彩アーティスト、Kae Seakの手による一瞬大理石のように見えるボディーとヘッドに施されたデザインに目を奪われる。”Native ways of native days”(写真/左)と名付けられたギターはボディーがメイプル・トップにコリーナ・バック、P.U.にはセイモア・ダンカンの”SH-6 Distortion”を採用。ベースの”Innocent Silence of innocent nights”(写真/右)はボディーがメイプル・トップにアッシュ・バック、P.U.は現在のシーンに合わせてJタイプを2基搭載し、実戦仕様に仕上げているのが同ブランドの矜持と言えよう。

投票結果を発表!

投票結果を発表!

ざっと駆け足で各モデルを紹介してきたが、会期中GENのブース内はひっきりなしに来場者が訪れ、一時は入場制限を行わなければならないほどの盛況ぶりだった。それではいよいよこのリポートも終盤。各賞を手に入れたモデルを発表しよう。

LOVE & NEED AWARD

ブランド:Freedom Custom Guitar Research
モデル名:Hydra 24F-2Point Perf Ring Special

パーフリングやボディー・トップのキルト・メイプルなどそのルックスにも目を奪われるが、同社の最新型P.U.や独自のARIMIZO & ONE POINTジョイントを採用した部分は実に「即戦力」となる1本だと言えよう。

Freedom Custom Guitar Research - Hydra 24F-2Point Perf Ring Special

DESIGN & COLOR AWARD

ブランド:T’s Guitars
モデル名:Arc-Single Cut

指板にはマダガスカル・ローズウッド、P.U.のエスカッションはハワイアン・コアを採用。ボディーとネックはアヴァロンのパーフリングで飾られている。Aquamarineと名付けられたボディー・カラーはまさに宝石を思い起こさせる美しさだ。

T's Guitars - Arc-Single Cut

THE OVER ALL AWARD / CONCEPT & IDEA AWARD

ブランド:L’s TRUST
モデル名:NEMESIS

CONCEPT & IDEA AWARD、そして栄えある第一回GGAの総合優勝をダブル受賞したのは、ブース内でも圧倒的な存在感を放っていた本機。ボコーテとエボニーを組み合わせたボディー・トップに、バック材はアッシュとサペリの組み合わせ。ホロウ・ボディー構造にすることで軽量化を図り、演奏性を保っている点はまさにアイデアの勝利であろう。さらに指板の一部に使用されている「神聖な樹」という意味を持つパロ・サント、ヘッドのシルヴァー・エンブレム、木製のP.U.カヴァーやコントロール・ノブなど、細部に至るまで魂を込めて作り上げられたことが感じられ、まさに「作品」といえる1本だ。

L's Trust - Nemesis
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日本製の楽器の素晴らしさをその目で見たり、その手で感じられる機会をたくさんの来場者が楽しみ、第一回目にして大成功を収めたGGA。次回開催を期待するのは早すぎるかもしれないが、いつか必ずや行なわれることを切に願ってこのリポートを締めくくりたい。

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