’85年の初来日公演を堂々再現、ストライパーのパワー全開クリスチャン・ライヴ!!

’85年の初来日公演を堂々再現、ストライパーのパワー全開クリスチャン・ライヴ!!

元祖クリスチャン・メタル・バンド:ストライパーが再来日! 今年2月にクラブチッタ川崎で2夜連続公演を行なった。現時点での最新作『GOD DAMN EVIL』に伴うこの来日公演は、元々、昨年8月に行なわれるハズだったが、オズ・フォックス(g,vo)の急病により、延期されたという経緯がある。それから約半年──果たしてオズの健康状態は? 心配していたファンも多かったと思うが、特に問題なかった…と先に言っておきたい。その佇まいに“病み上がり”といった印象は全くなく、むしろ、メイン・ヴォーカルを執るマイケル・スウィート(vo,g)よりも元気に見えたぐらいだ。

“Rockin’ The World -Live in Japan II-”とタイトルされた今回の来日は、’85年の初来日公演を再現するという、新旧いずれものファンが色めき立つスペシャルな内容に。しかも、両日ともに2部構成で、第1部に’85年の再現を行ない、第2部は日替わりで、初日はベスト・セレクション演目、2日目は名作『TO HELL WITH THE DEVIL』(’86年)の全曲再現となっていた。ここでは、2月9日(土)の初日公演の模様をお伝えしよう。

開演予定時刻を5分ほど過ぎて暗転すると、「Battle Hymn Of The Republic」が流れる中、幕が上がって、ショウは「Makes Me Wanna Sing」からスタート! ステージ上手に陣取るオズが、漢字で“愛”の文字をあしらったGMWのカスタム・ギターを掻き鳴らしているところへ、(いつの間にか髭面になっていた)マイケルがギターを持たずにハンド・マイクで登場──これは’85年と同じだ。観客はのっけからガッツリ盛り上がり、サビでは“Jeeeeeessuuuuus♪”の大合唱も。そのエンディングで、聖書を数冊フロアに投げ込んだマイケルは、クルーからワッシュバーンのシグネチュア・モデルを受け取ると、そのまま「Loud ‘N’ Clear」のイントロをオズと奏で、劇的ツイン・ギターが炸裂! 実にドラマティックな展開だ。

オズは既にパワー全開。「Loud ‘N’ Clear」のリード・ソロを流麗に決め、コーラス・ワークでも美声を響かせる。マイケルはちょっとテンションを抑え気味にしているように見えたが、2部構成ショウということで、序盤は色々とセーブしていたのだろうか? ステージ後方のロバート・スウィートは、お馴染み横向きに置いたドラム・キットで、華麗に、そしてド派手に叩きまくり。そして、ステージ下手には新顔が。ティモシー・ゲインズの何度目かの脱退により、’17年に元ファイアーハウスのペリー・リチャードソンが新加入していたのだ。コーラス・ハーモニーでも活躍を見せた彼は、もうすっかりバンドに馴染んでいる様子であった。

マイケル・スウィート&オズ・フォックス

ロバート・スウィート

ペリー・リチャードソン

3曲目に「From Wrong To Right」をプレイ後、マイケルが長めのMCで観客を和ませる。「初来日公演を観た人は?」と訊き、何人かが手を上げると、「そんなに年寄りなの?」と言い放って笑いを取ったり、「さて次の曲は…スコーピオンズの“Rock You Like A Hurricane”!」とボケをカマしたり、「じゃあ、W.A.S.P.は?」と続けたり。そんなマイケルのネタ振りに即応し、すかさず「Rock You Like A Hurricane」のイントロ・リフを弾くオズも見事だ。

以降もショウは、’85年来日時と同じ曲順で進行。「You Know What To Do」ではサビの唱和が起こり、「Surrender」のイントロでマイケルが強烈なハイ・トーン・シャウトを披露し、同期音源でピアノを流してのバラード「First Love」(’85年はティモシーが鍵盤を弾いたハズ)では、マイケルとオズによる泣きのツイン・フレーズに誰しもが酔い痴れたことだろう。中盤から終盤にかけては殆どMCを挟まず、ほぼノン・ストップで一気に駆け抜けたとの印象。最後の3連打──「Soldiers Under Command」〜「Co’mon Rock」〜「Battle Hymn Of The Republic」は、文字通りの大熱狂に包まれた。

マイケル・スウィート

オズ・フォックス

ここまで約50分。あっという間に第1部が終了し、20分ほどのインターヴァルを挟んで──19時16分頃、“ Greatest Hits & Fan Favorites”と題された第2部が始まる。まずは、’15年作『FALLEN』から「Yahweh」、『GOD DAMN EVIL』から「The Valley」と、近作からのナンバーで“現役”を大いにアピール。後者からはさらに、表題曲と「Sorry」も終盤に飛び出したが、やはり大きな歓声が沸き起こるのは’80年代のレパートリーで、『IN GOD WE TRUST』(’88年)から表題曲(但し、’05年作『REBORN』でのリメイク・ヴァージョン「I.G.W.T.」としてプレイ)と「Always There For You」のウケも良かったが、この日一番の盛り上がりとなったのは、『TO HELL WITH THE DEVIL』から「Calling On You」「Free」「More Than A Man」が立て続けに演奏された時だったように思う。

唯一、観客の反応が鈍かったのは、マイケルがアルペジオでイントロダクションを演出した「Lady」(’90年『AGAINST THE LAW』収録)ぐらいだろうか。観客にサビを歌うよう促すも、なかなかウマくいかず、ちょっと寂しい結果となってしまった。確かに定番曲ではないものの、前回来日時もプレイされた曲だし、今後はもっと定着していくと良いのだが…。

そうして──この日、最後に演奏されたのは「To Hell With The Devil」! 当然、この曲も観客は歌いまくりで、演奏後に再び聖書が投げ込まれ、第2部が終了。大歓声の中、「アンコールではどの曲を?」と思ったら、すぐに客電が点き、終演のアナウンスが…まさかのアンコールなし。しかも、第1部と同じく50分ほどであっさり終わってしまい、流石にちょっとモノ足りなかったかも…。次の来日はいつになるのか──多くのファンが、早くも待ち遠しく感じているに違いない!

ストライパー 全景2

ストライパー @クラブチッタ川崎 2019.2.9 セットリスト

[第1部]
1. Intro:Battle Hymn Of The Republic 〜 Makes Me Wanna Sing
2. Loud ‘N’ Clear
3. From Wrong To Right
4. You Know What To Do
5. Surrender
6. Together Forever
7. First Love
8. Loving You
9. Soldiers Under Command
10. Co’mon Rock〜Battle Hymn Of The Republic

[第2部]
1. Intro〜Yahweh
2. The Valley
3. Calling On You
4. Free
5. More Than A Man
6. Lady
7. I.G.W.T.
8. Always There For You
9. God Damn Evil
10. Sorry
11. To Hell With The Devil