呑めや歌えや大熱狂!! コルピクラーニ来日レポート @渋谷STREAM HALL 2020.3.1

呑めや歌えや大熱狂!! コルピクラーニ来日レポート @渋谷STREAM HALL 2020.3.1

フィンランドの深い森が生んだフォーク・メタルのトップ・アクト:コルピクラーニが再来日! 大先輩である英国のスカイクラッド、アルゼンチンのスキルトロンを従え、東阪にて“呑めや歌えや”の大熱狂を巻き起こした…!!

前回来日時からはドラマーが交代。15年以上に亘ってバンドの屋台骨を支えたマットソンの脱退は、初期からのファンにはショックが大きかったろう。これでオリジナル・メンバーがヨンネ(vo)を残すのみになってしまったのも、一抹の寂しさを覚える。ただ、その後任としてプロフェイン・オーメン(昨夏に活動休止を発表)のサムリが加わり、バンドにフレッシュな空気が送り込まれたとの見方も出来るし──勢い充分ではあるものの、少々ドラミングがモタりがち…という点では、サムリはマットソンと似たタイプだったりもする。ちなみに、サムリはヨンネのソロ・プロジェクト、その名もJONNEのアルバムで叩いていたことがあるので、その縁で新加入となったのかもしれない。

渋谷STREAM HALLでの東京公演は集客も上々。オープニング・アクトがイイ感じにフロアを温め、午後8時35分頃、いよいよコルピの出番となり、場内が暗転すると、「待ってました!」とばかりに大歓声が沸き起こる。何と、1曲目はセカンド『VOICE OF WILDERNESS』(’05年)から「Hunting Song」! シルクハットをかぶったヨンネがステージに飛び出してくるや、ほぼ同時にサークル・ピットが発生し、サビではみんなで「アヤーヤヤーヤー♪」と叫び、早くもその場は大騒乱状態に。続いて間髪を入れず「ライララララライっ♪」と「Sahti」(’15年『NOITA』収録)がハジけるや、もう開始5分足らずであっさりレッド・ゾーンを突破してしまう。

さらに、現時点での最新アルバム『KULKIJA』(’18年)からの「Juomamaa」が追い打ちをかけ、「A Man With A Plan」(『NOITA』収録「Viinamaen Mies」の英詞ヴァージョン)で「ヘイ! ヘイ! ヘイ!!」と拳を突き上げれば、もっともっとテンションが昂り、初音ミクにも乃木坂46にも取り上げられたフィンランドの舞踊曲カヴァー「Ievan Polkka」(’12年『MANALA』収録)でダメ押し…と思ったら、’06年作『TALES ALONG THIS ROAD』の必殺チューン「Happy Little Boozer」が、「まだまだ休ませない!」とばかりに炸裂。いや〜、正に怒濤! 暴れずにはおれないお祭りチューンの6連続に、フロアのカオス度合いはどんどん高まるばかり。

コルピクラーニ:ケーン、ヨンネ、ヤルッコ

しかしながら、「このままじゃ楽し過ぎて死ぬ…!」と命の危険を感じ始めた時──10分に迫るゆったり・まったりな大作「Kallon Malja」(『KULKIJA』収録)と『KULKIJA』から哀愁のバラード「Harmaja」でようやくの休憩モードが訪れる。いや、後者ではちょっとしたサプライズが…! ’13年頃からずっとヴォーカルに専念していたヨンネが、久々にギターを手にしたではないか。しかも、アコだったから余計にビックリ。その後もヨンネは、『VOICE OF WILDERNESS』からの「Old Tale」と「Fields In Flames」でもそのままアコを弾き続け、前者導入部で繊細な爪弾きを披露し、後者終盤のブレイク・パートではフラメンコ風プレイでフロアを大いに沸かせた。

コルピクラーニ:ヨンネ(ギター)

一方、トレードマークのテンガロン・ハットをかぶったケーンは、豪快にギターを掻き鳴らしながらも、右に左に…と常にステージ上を走り回り、終始笑顔を絶やさず、ドワーフのような見た目のヤルッコ(b)と横並びで愉し気に体を揺らし、合間々々には客煽りも忘れない。基本リフ・カッティングやリズム・プレイに徹し、リード・ソロは全面的にサミ@アコーディオン&ロウナカリ@フィドルに任せていたのもこれまで通りだった。

セットリスト全体を見渡すと、最新作『KULKIJA』からが6曲と最も多く、ひとつ前の『NOITA』からも5曲セレクトされていたのも含め、それは納得として、『VOICE OF WILDERNESS』から4曲というのはちょっと意外だったかも。その他のアルバムからは1曲ずつで、『TERVASKANTO』(’07年)、『KORVEN KUNINGAS』(’08年)、『UKON WACKA』(’11年)からの選曲はナシ。あと、終盤に新曲「Jägermeister」(現時点ではPV公開のみ)がプレイされたことも付け加えておきたい。

コルピクラーニ:ロウナカリ、ケーン

上記通り、7曲目以降はミッドやスロー中心で、前半飛ばし過ぎたのもあって中だるみが心配されたが、ノリ良い「Fields In Flames」や、『NOITA』からのアップ・テンポ曲「Kylästä Keväinen Kehto」をウマく配し、観客のテンションを下げ切ってしまわない辺りはお見事。そして本編ラストは、みんなお待ちかねの「Wooden Pints」(’03年『SPIRIT OF THE FOREST』収録)! 「酒場で格闘ドンジャラホイ」という邦題でも知られるこの人気曲では、フロア一体となってサビの大合唱があり、わずかに残った理性まで完全に吹き飛ばされたオーディエンスは、その後──アンコールの「Beer Beer」(『VOICE OF WILDERNESS』収録)&「Vodka」(’09年『KARKELO』収録)の酔っ払いソング連打で、もはや完全ノック・アウト!! もし、そこから「Tequila」(『UKON WACKA』収録)や「Let’s Drink」(『TERVASKANTO』収録)が続いたりしたら、再起不能になってしまう観客が続出していたのでは…?

実は来日前、『KULKIJA』の地味な作風が動員に響くかも…なんていらぬ心配をしていたのだが、全くの杞憂だった。やはり、みんなで思いっきり騒ぎまくれる佳曲を多数持つバンドは強い…!!

コルピクラーニ:バンド全景

コルピクラーニ@渋谷STREAM HALL 2020.3.1 セットリスト

  • 1. Intro〜Hunting Song
  • 2. Sahti
  • 3. Juomamaa
  • 4. A Man With A Plan
  • 5. Ievan Polkka
  • 6. Happy Little Boozer
  • 7. Kallon Malja
  • 8. Harmaja
  • 9. Old Tale
  • 10. Fields In Flames
  • 11. Aallon Alla
  • 12. Kylästä Keväinen Kehto
  • 13. Kotikonnut
  • 14. Henkselipoika
  • 15. Lempo
  • 16. Pilli On Pajusta Tehty
  • 17. Jägermeister
  • 18. Wooden Pints
  • [Encore]
  • 19. Beer Beer
  • 20. Vodka

コルピクラーニ:フライヤー