情熱と混沌こそがファントム・エクスカリバー──“METAL Makes the Future”ツアーを振り返って ──

情熱と混沌こそがファントム・エクスカリバー──“METAL Makes the Future”ツアーを振り返って ──

「一番記憶に残ったギタリスト」になれたとしたら…

フライヤー

ファントム・エクスカリバーのMatsuです!!

’25年11月よりスタートした“METAL Makes the Future”ツアー。結果から言えば、想像以上に混沌とし、想像以上に“らしい”ツアーになった。

このツアーをヤング・ギター公式ウェブにて総括させて頂けるとのこと。僭越ながら筆を取らせて頂く。

マツ

まず使用機材について触れさせてもらう。

6月に川崎クラブチッタで行なわれた“Pure Rock Japan”出演時より、長年愛用してきた赤いシグネチュア・ギターから、ESPカスタム・モデルの白いギターへとメイン機材を変更した。

このギターは、かつて(前身バンド)ファントム・エックスの時代に共演した先輩から譲り受けた1本である。ESP製であることもあり、現在は同社のサポートも受けさせて頂いている。

その先輩は、これまで自分が見てきた中で、間違いなくトップのギタリストであり、今でも僕にとっての“スーパー・ギター・ヒーロー”だ。彼以上に感動させるギター・プレイを、僕は未だに観たことがない。少しでもその背中に近づくことが出来たなら、それほど嬉しいことはない。

激しいステージングにも一切動じず、このギターは常に温かく、明るい音を出してくれる。そこに、いい意味でのダークさと重さが加わり、結果としてバンド・サウンドは、これまで以上に立体的で深みのあるものへと進化した。

このツアーを通して改めて実感したが、この白いESPギターは、今のファントム・エクスカリバーにとって欠かせない存在になりつつある。

マツ
Matsu(g, vo)

では、ツアーを振り返っていこう。

11月11日(火)、初日は渋谷CYCLONE。HAGANE、SEX MACHINEGUNSとのスリー・マン。ありがたいことにソールドアウト。

ANCHANG、SUSSY、Sakura(※敬称略)といった名プレイヤーが揃う中、「どう戦うか」を考えていたはずなのだが、気がつけば私はステージではなくフロアにいた。

肩車に乗せられ、まるで騎馬戦のように走り回るギタリスト。正直に言おう。演奏を“聴く”環境としては最悪である。音はぐしゃぐしゃだ。しかし、それこそがファントム・エクスカリバーなのだ。

その日、会場にいた観客や関係者にとって、良くも悪くも「一番記憶に残ったギタリスト」になれたとしたら、それはもう勝ちなのだ。…と勝手に思っている。

11月15日(土)、次に向かった大阪・心斎橋SHOVELでは、個人的に憧れ続けてきたMinstreliXとのツー・マン。

…正直に言うと、この日のプレイは最悪だった。

1曲目、「Kingdom」──ドラムのYusakuが入りを間違え、なぜか私だけが「せーーーー!」と歌い出す。他のメンバーは何もしない。ファントム史上でも屈指の“面白い空間”が誕生した瞬間だった。

この模様は、おそらく何らかの形で世に出るだろう。 ぜひ、その目で確認してほしい。

PHANTOM EXCALIVER

 翌日、11月16日(日)は、名古屋の栄R.A.D。UNVEIL RAZE、CHAOS CONTROLとのスリー・マン。
 この日はひたすら熱狂だった。「Metal Makes the Future」のアウトロにて、なりふり構わず客席へダイヴをしてしまった。終盤には共演者も次々とダイヴし、フロアが一体となって大合唱。もはや何が何だか分からない状態に。終わった時には、ギターのチューニングが1音下がっていた。
 だが、それでいい。我々に、ヘヴィ・メタル特有の様式美を求めてはいけない。整っていなくていい。綺麗じゃなくていい。ただ、その瞬間の熱量と混沌だけが、確かにそこにあればいいのだ。

マツ、カッチャン
※pic:藤原瑞樹

12月5日(金)、間を空けてお次は柏PALOOZA。SEX MACHINEGUNS、UNVEIL RAZE、ABLAZE IN VEINSとの4マンだ。

正直に言えば、この日はどこか遠慮をしてしまった自分がいた。プレイ自体は決して悪くなかった。むしろ、比較的“ちゃんと”弾けていたと思う。だがそれは同時に、守りに入っていたということでもある。

ファントム・エクスカリバーにとって、“無難”や“安定”は褒め言葉ではない。自分でもそれが痛いほど分かっていた。だからこそ、ステージ上で言葉にした。「明日は今日の100倍のライヴをする!!」と。

PHANTOM EXCALIVER
※pic:藤原瑞樹

翌日──12月6日(土)は西川口HEARTS。SEX MACHINEGUNS、VOLCANOとのスリー・マン。ありがたいことに、この日もソールドアウトだった。

ANCHANG、SUSSY、屍忌蛇(※敬称略)というとんでもない大先輩たちに囲まれる中で、遠慮は一切捨てた。1回目のMCで、今日一番のギタリストは「この俺だ!!」と高らかに宣言をした。そして、気づけば、またしても自分はフロアにいた。それだけじゃない。ヴォーカルのKacchang、ベースのTomo-Pもフロアにいた。

テクニックも、経験も、実績も関係ない。その瞬間、自分たちのすべてを曝け出すことができたと思う。この日、確かに“100倍のライヴ”ができたと胸を張って言えた。

しかし、ここまでくると、ふと不安にもなる。果たして、これ以上のライヴをファイナルで更新できるのだろうか?

Kacchang
Kacchang(vo)
Tomo-P
Tomo-P(b)
Yusaku
Yusaku(dr)

12月10日(水)──そして迎えた、ツアー・ファイナル。渋谷Spotify O-WEST。

ステージに立った瞬間、はっきりと分かった。駆け抜けてきたのは、僕たちだけではない。ファンも同じだった。明らかに、昨年行なった渋谷duo MUSIC EXCHANGEでのワンマンとは熱量が違っていた。

会場にいる全員が、ファントム・エクスカリバーと本気で向き合っていた。それは視線で、拳で、叫び声で、確かに伝わってきた。笑っている人もいれば、なぜか終始泣いている人もいた。サークル・ピットもクラウド・サーフもダイヴも、終始絶えることがなかった。

一応言っておくが、我々はメロディック・スピード・メタル・バンドに分類されるはずである(笑)。

正直、この日のことはほとんど憶えていない。記憶がないというより、思考がなかった。無我夢中で、ただひたすらに駆け抜けていた。

サーフをしながらギターを弾いた。受け止めてくれたのは、ファンだった。このツアーを通して築いてきた関係性がなければ、この一瞬は成立しなかっただろう。

演奏が上手かったかどうか。ミスがなかったかどうか。そんなことは、もうどうでもよかった。

この日、確かにあったのは、そこにいた全員が“生きていた”という事実だけだ。

以上が、“METAL Makes the Future”ツアーの総括である。

正直、ギタリストのセルフ・レポートとしては物足りないかもしれない。だが、本当に書いてある通りなのだ。

PHANTOM EXCALIVER

このツアーを経て、改めて思う。

ファントム・エクスカリバーは、完成された何かを見せるためのバンドではない。その瞬間、その場所でしか起き得ない衝動を、全力でぶつけるバンドだ。

だから毎回、同じライヴにはならない。同じようなバンドもいない。

今回のツアーは、自分たちが何者なのか、誰と共に進んでいたのかを、はっきりと教えてくれた。

ステージの上だけが主役ではない。そこにいた全員でひとつのライヴ、そしてこのツアーを作っていた。

 “METAL Makes the Future”。その言葉通り、未来はもう作られ始めている。そいつらに全力でぶつかるだけだ。

ちなみに、ファイナルが終幕した直後のことだ。ヤング・ギター関係者のひとりから、満面の笑顔でひと言、声を掛けて頂いた。

「Matsuクン、ギター上手いね〜!!」

METAL Makes the Future…!!!!

PHANTOM EXCALIVER 2025.12.10 @Spotify O-WEST セットリスト

1. The Rising Golden Eagle(SE)
2. メタルは裏切らない
3. やっさっさ
4. Pure Metal Magic
5. Hell 9 Days
6. カタストロフィ -終わらない情熱-
7. The Dynamite
8. Twilight Valkyria
9. Dream Express Extreme Fighter 00
10. おどるポンポコリン(『ちびまる子ちゃん』)
11. 乾杯
12. Rainbow
13. 聖剣伝説
14. Kingdom
15. さよならディメンシア
16. Metal Makes the Future

[encore]
17. The Battle Rage
18. The Rebellion

PHANTOM EXCALIVER