アーティスト名 | GALNERYUS ガルネリウス |
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アルバム名 | ANGEL OF SALVATION ANGEL OF SALVATION |
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前作から約1年という非常に短いスパンでのリリースにもかかわらず、それを全く感じさせない濃密さに満たされた力作である。この通算8作目となる新作を一聴してまず覚えたのは、“成熟”と“挑戦”という一見相反する両要素が手に手を取って飛翔してゆくような感覚。小野”SHO”正利(vo)をフロントに据えた現体制では3作目となり、彼のスマートなハイトーンで歌われる英語詞と日本語詞のバランスも非常に自然な形に熟れ、その堂々たるテクニカル・メタル・サウンドは現在のバンドが標榜するスタイルの完成形に到達したと見ていいだろう。
そうした鉄板の安定感の中で特に変化が感じ取れるのが、Syu(g)のフレーズ構築に対するアプローチ。愛機“Crying Star”を豪快にクライングさせる様はもちろんこれまでと同様だが、フリーなソロ・パートの前後に配されたいわゆる“キメ”でのクラシカルなスケール感は、過去作のそれとは多少趣が異なる印象だ。その鍵を握るのが、バンド史上最長となる14分超の尺を持つ⑨。ゲスト・ヴォーカルとしてAKANE LIV(LIV MOON)を迎え、チャイコフスキーの「ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35」をモチーフに劇的にスリルを重ねるこの壮大な大曲に於いてSyuが魅せる怒涛の超絶技巧からは、この我が国を代表するメタル・バンドの新たな未来が透けて見えてくる。
(羽田幸一)