アーティスト名 | LOUDNESS ラウドネス |
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アルバム名 | THE SUN WILL RISE AGAIN〜撃魂霊刀 ザ・サン・ウィル・ライズ・アゲイン |
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高崎 晃(g)に対する信頼は揺るぎないものがある。’90年代のヘヴィ化や、サイケデリックかつフリー・フォームな振り切ったプレイ含めてもれなくすべてが受容されてはいないのかもしれないが、これまでパイオニアとして積み上げてきた超絶技巧とセンス、偉業は時代を超えて圧倒的な説得力を持つ。だからこそ“ラウドネスの新作”と聞けば、キッズ心を揺さぶられる人は多いはずなのだ。
肝心のニュー・アルバムの内容だが、『THUNDER IN THE EAST』(’85年)を想起させるアートワークは海外再進出を視野に入れた決意の表れであり、サウンド全体が過去に回帰したわけでない。しかし、ドラマティックな単音リフからギャロップ・ビートへとなだれ込む「Mortality」には’80年代ラウドネスの血が脈打つし、オーセンティックで鋭利なリフや、タッピングから始まる展開のはっきりしたソロを含む「The Sun Will Rise Again」、力強くも哀感漂うミッド・チューンの「Not Alone」等々、正統派ヘヴィ・メタルの魅力が随所に光る。加えて、モダンさも失わず、前のめりで攻撃力の高い楽曲が並んだ印象だ。その中での瞬発的な猛る速弾きはやはり圧巻で(フレージングがこの人ならでは!)、一方で曲に寄り添う泣きのプレイもあり、当然ギタリスト的にも聴き応え十分。また、「The Best」のようにイントロから実験的要素あふれるグルーヴィな楽曲や、終盤にて突如浮遊感のあるインプロ風ソロを挟む「Greatest Ever Heavy Metal」を聴くと、改めて彼らにしか作り得なかった作品だと実感する。
(早川洋介)
タイトルとジャケット・デザインで誰もが連想するのは『THUNDER IN THE EAST』でしょう。’85年にリリースされたラウドネス世界進出の象徴だ。常に彼らの視線は世界を向いていたが、今回は特にそれを意識している。がしかし、だからと言って、突然’80sのスタイルにタイム・ワープしたわけではないし、高崎が両手タッピングを決めているわけにあらず。あくまでも表現しているのは、あの頃から約30年分のキャリアを積んだメンバー(+鈴木政行/dr)による今のラウドネスだ。当たり前だが。
心地よいのはヘヴィかつキャッチーなリフ。その重要性は高崎が常に説いているところだ。’80年代のワールドワイドなブレイクも彼らが名リフを持っていたからこそ。もちろん高崎のソロ・プレイが大きなアドヴァンテージだったことは誰もが認めるところだが、それもリフがあって活きた。
「Got To Be Strong」「Never Ending Fire」「The Metal Man」「Mortality」「The Sun Will Rise Again」「Rock You Wild」…この間、ビートはそれぞれ異なるが常に躍動。高崎のソロ風な「The Best」、微妙+大胆な速さ調整を加えた「Greatest Ever Heavy Metal 」などをハサみつつ、メタルの王道が揃う。ポイントは、そのどれもがキャッチーだというところではないだろうか。それは“ポップ”だとか“ヤワ”ということではない。骨太にして覚えやすい…ということになるか。そんな中、高崎のギターはインプロヴァイズ全開。ディレイを使った「The Metal Man」のソロとか、らしいこだわりもあるが。らしい…と言えば、タイトル曲「The Sun Will Rise Again」冒頭の“鐘の音”は、日本を意識する彼ららしい。
(福田真己)