アーティスト名 | DEEP PURPLE ディープ・パープル |
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アルバム名 | INFINITE インフィニット |
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ディープ・パープルは長い歴史の中で何度となく作風を変えてきたが、ファンは無意識のうちに技巧的スリルを求めてしまうというもの。スティーヴ・モーズ(g)加入以降の諸作品も高品質だったとはいえ、イアン・ギラン(vo)が気持ちよさそうに歌うアダルトな色合いが強かったがために、いまいち印象が薄い。だからこそ前作『NOW WHAT?!』(’13年)のプログレッシヴな風合いの数曲に溜飲を下げたものだった。そして、これが最終作になるかもという不穏な噂の中で登場したこの最新作は、その原点回帰精神を貫徹。スティーヴとドン・エイリー(key)のテクニカル・ソロはもちろん、老練な技術で聴かせる演奏陣の巧さを味わえるハード・ロック・アルバムだ。この緊張感と余裕の同居した「これぞパープル」という手応えを感じられたのは『PERFECT STRANGERS』(’84年)以来…と言うと大げさか? しかし、そう言い切ってしまいたくなるだけのものが、本作にはあるのだ。
ただスティーヴのギターはディキシー・ドレッグス時代のように猛烈な凄技満載というわけではなく、ボブ・エズリンのプロデューシングによって抑えめになったようだが、反面ブルース感が絶品。一部にリッチー・ブラックモア的な粘りすら感じる。本人がそう意図したのではないようだが、これはバンドの歴史に対する無意識な敬意の表れだろうか。