6月に最新音源&映像作品集『ADRATIO』をリリースしたsukekiyo。先日、ギタリストの匠&UTAに同作品を語ってもらうインタビューを掲載したが、続いてその取材時に撮影させていただいた彼らの機材を紹介しよう。写真はクリック/タップで拡大可能だ。これらの機材は6月13日に東京、16日と17日に京都で行なわれた、sukekiyo 二〇一七年公演「落下する月面」で使用されたものである。
匠
PRS GUITARS : McCarty
匠が以前からメイン・ギターとして使用しているモデルで、最新作『ADORATIO』のレコーディングでも活躍した。搭載されているピックアップはハムバッカー×2だが、コイル・タップしてシングルコイル・サウンドを出すこともできる。カラーはおそらくGray Black。ブリッジはオプションとしてサドルの調整が可能なタイプも用意されているが、匠が使っているのはサドルとブリッジが一体化しているシンプルなタイプだ。長年弾き込まれて枯れた音が特徴で、フレットを交換しているのはもちろんヘッドを2回も折って修理しており、その傷跡があるからこそ出る音が自分自身そのものだ…と匠本人は語る。代表曲「zephyr」などで使用。
E-II : Arrow BLK
フロイドローズのロック式トレモロ・ユニットが搭載されているので、主にアーミングが必要な楽曲で活躍する。ピックアップはEMGのアクティヴ・タイプ“81”をフロントとリアの両方に搭載しており、スルー・ネック・ジョイント、エクストラ・ジャンボ・サイズのフレットが載ったネックは薄型Uシェイプ…という、メタリックなスペック。本人いわく、オン・ステージで人格を変えてくれる1本。
GODIN : ACS Slim SA
ゴダンのラインナップにはナイロン弦のエレアコが数多く存在するが、これはステージでのハウリングに強いソリッド・ボディーを採用したモデルで、エレクトリック・ギターに近い弾き心地が特徴。ブリッジに各弦独立したピエゾ・ピックアップが搭載されている他、ローランドのギター・シンセ用ドライヴァーなども内蔵されている。「黝いヒステリア」で使用。
FENDER : Classic Design Series
フェンダーのアコースティック・ラインナップの中でも最も種類が多く、手頃な価格帯で高品質なサウンドを得ることができる“Classic Design”シリーズの1本で、おそらく2011年に発表された“CD-60CE”だと思われる。本人いわく、作曲用に何気なく買ったつもりが、弾いてるうちに手に馴染んでしまい、愛着が湧いてライヴでも使用するようになったとのこと。
KEMPER : Profiling Amplifier
プロフェッショナルな現場では既にお馴染みのケンパーだが、匠は2013年の比較的早い段階から導入している。特殊な操作を経て手持ちのアンプの音を“プロファイル”することにより、内部のデジタル回路で全く同じサウンドを再現することが可能だ。さらに自分の好みに合わせて音色をエディットすることもできる他、内蔵エフェクトによる処理も可能で、保存したサウンドのデータを他の“Profiling Amplifier”に転送して使うこともできる。匠が歪みで主に使用しているのはボグナー“Ecstasy”を基にしたサウンドだ。 sukekiyoではキャビネットを鳴らさず信号をPAに直接送っており、ステージではイヤーモニターでプレイしている。
BOSS : GT-10 Guitar Effects Processor
フロア・タイプのマルチ・エフェクター“GT”シリーズのモデルで、信号の経路を2系統に分けて処理することにより、緻密な音作りをすることが可能。さらに目的の音色に素早く近づくEZ TONE、モノラル38秒のフレーズ・ループといった様々な機能を搭載。匠は先述のケンパーと本機を連動させ、サウンド切り替え用のフット・コントローラーとして使用している。
BOSS : ME-25 Guitar Multiple Effects & AD-5 Acoustic Instrument Processor
両機ともアコースティック・ギター用として使用しているもの。手前はコストパフォーマンスに優れたシンプルなマルチ・エフェクターながら、上位機種に劣らない高品質なサウンドを実現したモデル“ME-25”で、奥はエレアコ用プリアンプのベストセラーとして有名なモデル“AD-5”だ。匠は“AD-5”で音作りし、“ME-25”をディレイや微調整に使用している。
UTA
ROLAND × FENDER : GC-1 GK-Ready Stratocaster
ローランドの“V-Guitar System”や、“GR-55”といったギター・シンセなどに対応したストラトキャスター。ピックアップは通常のシングルコイルの他、各弦の振動を個別に拾うディヴァイデッド・ピックアップも搭載している。コントロール部にも通常のヴォリューム、トーン、5ウェイ・ピックアップ・セレクターの他、外部機器を直接操るボタンやスイッチ類を装備。
DRAGONFLY : Border 666
通常のロング・スケール(648mm)に比べて18mm長い666mmスケールを採用することにより、弦のテンションを強めてピッチを安定させている“666”シリーズのギター。コントロール部にはマスター・ヴォリュームと3ウェイ・ピックアップ・セレクターの他、各ピックアップのコイル・タップ・スイッチ、回す方向によってハイパスとローパスが切り替わるフィルターを装備している。
TAYLOR : 314ce
テイラーのオリジナル・デザインであるグランド・オーディトリアム・シェイプを採用したエレアコで、指弾きからかき鳴らし系まで幅広く対応する。サウンドホール内のラベルから判断して、おそらく2010年頃に作られたものだ。材はボディー・トップがスプルース、サイド&バックがサペリ、ネックがマホガニー、指板がエボニー。
YAMAHA : SH-30NW
これは見ての通りギターではなく、大正琴を基にして開発されたヴィオリラ(Violyre)という楽器。鍵盤楽器の要領で4本の弦を押さえ分け、本体右側のブリッジ付近で弓を用いて音を鳴らす。
Effects etc.
足下には主に3つのペダルが置かれており、左端は先述のBOSS“GT-10 Guitar Effects Processor”(プリアンプとしても使用)。中央はROLAND“GR-55 Guitar Synthesizer”で、“GC-1 GK-Ready Stratocaster”を接続(写真ではFlute Soloというプリセットが選ばれている)。右端はZOOM“Multistomp MS-50G”で、テイラーのエレアコに使用されていた。
公式インフォメーション
sukekiyo