アーティスト名 | YNGWIE MALMSTEEN イングヴェイ・マルムスティーン |
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アルバム名 | PARABELLUM パラベラム |
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前作『BLUE LIGHTNING』(’19年)では自身のブルージーなルーツをカヴァー/オリジナルの両面から追求する試みを見せていたが、そこから約2年半ぶりとなる本作では元来のネオ・クラシカル路線ど真ん中へと回帰。前作で起用したローレンス・レナーバックが叩くドラムを除くすべての楽器をイングヴェイ自身がプレイしたインスト6曲+ヴォーカル入り4曲の全10曲は、往年のファンであれば笑みが溢れること必至の“イングヴェイ印”に満ちた快作となった。
イングヴェイ自身によるタメ気味の野太い熱唱を配したヴォーカル曲は、スピーディーなネオ・クラシカル・メタル、キャッチーなミドル・チューン、そしてバラードと、バランスの良いヴァラエティ感に。そして過半数を占めるインスト曲もそれぞれ印象的な仕上がりとなっており、充実の楽曲の上で圧倒的な存在感を放ちまくるギター・パートはフレーズの新鮮味だの手グセ云々という冷静な論点を情熱だけで喝破しようとするような、まさに“王者”の独壇場たるパワー・プレイの連続。その怒涛の音塊からは「俺が“イングヴェイ・マルムスティーン”だ。異論は認めない。以上!」そんな宣言が高らかに聞こえてくる。何かに吹っ切れたかのように一切の迷いや容赦もなく弾きに弾きまくるその凛々しい姿は、日々の鬱憤をスッキリ忘れさせてくれるほどに痛快だ。
【文】西野幸一郎