アーティスト名 | CHILDREN OF BODOM チルドレン・オブ・ボドム |
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アルバム名 | HEXED ヘックスド |
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圧倒的にエモーショナルなフックを備えた大きなメロディーの流れと、アクロバット並みにスリリングなギター・コントロールから生まれる細かい仕掛け。その一見正反対のワザを見事両立させるウルトラC級の才能こそがメロディック・デス時代からその後の音楽的方向性拡大時代まで一貫したアレキシ・ライホ(vo, g)の真骨頂だが、前作から3年半という長めのインターヴァルを経て登場する通算10作目の本作は、久々に誰にも真似できない彼のそんな技巧を出し惜しみなしで次から次へと放り込んでくる豪快なハイテク・プレイ全開に仕上がっている。プレイヤー魂炸裂。
であるのに長らく課題だった楽曲イメージのキャッチー化路線も着実に前進した印象を放っている、というアンバランスも魅力的だ。アレキシを支え続けたセカンド・ギタリストにしてバンド最年長者でもあったローペ・ラトヴァラが脱退、後任に他のメンバーとほぼ同世代のダニエル・フレイベリ(元ネイルダウン〜ノーサー)が加入した新編成で制作した影響があるのかどうか定かではないが、とにかく楽曲にこれでもかと捻りを詰め込むチャレンジ精神が作品全体に行き渡っていて、バンド全体がなんだか急に若返ったかの印象も。こうなるとヤンネ・ウィルマンの巨匠然としたクラシカルなシンセ・ソロも俄然本来の輝きを取り戻す。第二発展期到来の予感がひしひし。
【文】平野和祥