下降時ノン・ピッキングのアルペジオ ニック・ジョンストン奏法コラム第2回

下降時ノン・ピッキングのアルペジオ ニック・ジョンストン奏法コラム第2回

動画連動のニック・ジョンストン講座、第2回の今月は、前回紹介したエクササイズの次段階と言えるさらなる強敵アルペジオだ。

まずはニック本人のアドヴァイスから。

Nick’s Comment

これは完全に左手フィンガリング主体のリックだ。僕はアルペジオ・フレーズの下降の際、ほとんどスウィープ・ピッキングをしない。かつてテクニックの開発に必死になっていた頃、アルペジオで下降する時、アップのスウィープを入れると自分の理想とするサウンドが得られないことに気付いた。そこで、下降時は左手フィンガリングのみ、ピッキングをしない方法を習得したんだ。時々、移動力を保つためにフレーズの途中で1音だけピッキングしたりハイブリッド・ピッキングしたりすることもあるけど、基本、こういうリックでは常に左手の動きに集中している。そうすると、滑るようなサウンドが得られるんだ。このエクササイズではまず、幾つかインターヴァルを加えながらコード[A♭m]を弾く。そしてコード[A♭m6]のサウンドに変えて、引いたり押したりするような印象のハーモニーを作っているよ。技術的には、その動きをひたすら左手に覚え込ませるのみ! それができるようになったら、他の色んなコードにこのアプローチを当てはめてみよう。頑張ってくれ!

ここでニックが言う[A♭m]は1小節目全体と2小節目後半、[A♭m6]は2小節目前半の動き(図1参照:3〜4小節目の[A♭m]アルペジオ移動は図2参照)になる。

また「下降の際、ほとんどスウィープ・ピッキングをしない」とは、各パートの1弦側から6弦側への動きではほぼ、いちいちピッキングはせず、フィンガリングだけで音を出していく…ということ。ニックに限らず、現代的アルペジオ巧者の多くは、この所作をマスター。ピッキング省略は高レベルのアルペジオ・リックを弾く際のMUSTになりつつある。身に付けていない人は、これを機にぜひ!

Ex-1コード[A♭m]/[A♭m6]アルペジオを含むフィンガリング主体のエクササイズ

●1小節目全体と2小節目後半は[A♭m]、2小節目前半は[A♭m6](図1)。図2は3小節目〜4小節目1拍のアルペジオ移動。下降時はピッキングなし、フィンガリングだけで音を出す…を心掛ける。

Ex-1	コード[A♭m]/[A♭m6]アルペジオを含むフィンガリング主体のエクササイズ

図1■1〜2小節目のアルペジオ・ポジション

図1■1〜2小節目のアルペジオ・ポジション

図2■3小節目〜4小節目1拍のアルペジオ・ポジション

図2■3小節目〜4小節目1拍のアルペジオ・ポジション

プロフィール

Nick Johnston

ニック・ジョンストンはカナダ出身のギタリスト。フル・シュレッドから繊細なニュアンスまで網羅する卓越した演奏テクニックと抜群のメロディー・センスで動画サイトなどを中心に話題を集め、2011年の『PUBLIC DISPLAY OF INFECTION』をはじめ、これまでに4作のオール・インスト・ソロ作品を発表。昨年9月発売の最新作『REMARKABLY HUMAN』で正式に日本デビューを果たした。本作には、ガスリー・ゴーヴァンやポール・ギルバートがゲスト・ソロを弾いた楽曲もボーナス・トラックとして収録。2017年2月にはアニマルズ・アズ・リーダーズのツアーに帯同して初来日を果たし、ライヴやギター・クリニックを行なうなど、国内でのさらなる活躍が期待されている急進中のロック・ギタリストだ。

インフォメーション

公式ウェブサイト:www.nickjohnstonmusic.com
フェイスブック:www.facebook.com/NickjohnstonOfficial

最新リリース情報

foxtails

『REMARKABLY HUMAN』/Nick Johnston

キングレコード|CD|2016年9月14日発売