7月23日(火)、専門学校ミュージシャンズ・インスティテュート東京(MI TOKYO)にて、カナダのギタリスト:ニック・ジョンストンのギター・クリニックが開催された。在校生や入学希望者を対象に限定しており、会場にはギタリストを中心とした若手の参加者が詰めかけ、盛況となった。その様子を特別に見せてもらうことができたので、レポートをお届けしよう。
自然体かつ巧みなデモ演奏と丁寧なアドヴァイス
セミナーはニックが自身のソロ曲をオケに合わせたデモ演奏とQ&Aコーナーを交互に挟む形で進行していくのだが、ニックは開口一番「初めの質問はみんな緊張するだろうから、真っ先に手を挙げた人には僕が今使ったばかりのピックをプレゼントするよ!」と、気遣いを交えた声をかけて参加者の緊張をほぐしてくれた。
まずは今年発売された最新ソロ『CHILD OF BLISS』からタイトル・トラックの「Child Of Bliss」、続いて前作『WIDE EYES IN THE DARK』(2019年)から「A Cure Promised」が披露された。キャッチーな要素の多かった初期作品に比べ、より深淵さを増した楽曲の中でフレーズやメロディーを巧みに操るニックは、実に自然体。ギターのあらゆる箇所を使って繰り出されるニュアンス豊かな音色やパフォーマンスには、思わずため息が漏れる。
Q&Aコーナーでは興味深い質問が次々と寄せられた。「あなたは全然緊張しているように見えませんが、自分がステージに上がると緊張してしまうのを克服するにはどうしたらいいですか?」という問いかけには「長年練習を続けたことで自信がついたんだ。それと“楽しむ”ことをゴールにすること」と回答。「あなたの楽曲はノスタルジーを感じさせるところがありますが、コード進行をどんな風に作っているのですか?」という質問には、「レッド・ツェッペリンを聴いていた子供の頃から、自然と“間違った音”…あとからそれはテンション音のことだとわかったけど、そういったものを足す響きの方が面白いと感じる気持ちが自然とあった」などと一つ一つに丁寧に答え、時には自らの体験も赤裸々に明かしながらアドヴァイスと激励を送っていた。
また、集まった在校生の大半にはアジアやヨーロッパを含む留学生が多く参加しており、会場では日本語と英語がひっきりなしに飛び交っていたのも印象的で、言語や音楽という2つのコミュニケーションを通して多くの学びを得ようとする生徒たちの姿勢を垣間見ることができた。
他にも「Remarkably Human」(2016年『REMARKABLY HUMAN』収録)や「Wide Eyes In The Dark」など計4曲のデモを演奏し、90分に及ぶセミナーは瞬く間に終了した。サイン会では列に並んだ参加者一人一人とじっくり言葉を交わし、名残惜しそうに会場を後にしたニック。若い世代に大きなインスピレーションを与えたイベントとなったようだ。
使用機材
この日ニックが使用していたのは、シェクター製のシグネチュア・モデル“Nick Johnston USA Signature Flame Top Nitro”。セミナー中も「ウェンジのネックにエボニー指板、これがとってもお気に入りなんだ」と絶賛していた。アンプは持参のNeural DSP“Quad Cortex”を、会場にセッティングされたボグナー“Helios Eclipse”に接続していた。
INFO
学校インフォメーション
MI TOKYO|ミュージシャンのための音楽専門学校(東京)