ニック流レガート・アプローチ ニック・ジョンストン奏法コラム第4回

ニック流レガート・アプローチ ニック・ジョンストン奏法コラム第4回

今月号は新作に関するインタビュー、そして当講座というニック大放出。ここで紹介するのは、レガートのEx-1と、ワイド・ストレッチという肝もあるEx-2だ。ではまず、いつもの通りニックの言葉から。

Nick’s Comment

若い頃の僕は、他のミュージシャンの曲を覚えることにとても大変な思いをしていた。そもそも誰かと同じような音を出すことには興味がなかったし、それよりも、曲を書くことで自分だけの音を見付けて、自立したプレイヤーになりたかった。また、ピッキング技術が十分に開発されておらず、好きなギタリスト達のような音は上手く出せないという欠点にも気付いたんだ。でも、短所を長所に変えることができた。僕は左利きだから、どちらかと言うと指板を押さえる方が力強い。それが僕のレガート・テクニックにメリットをもたらしたというわけ。これは、僕独自のアプローチを開発するのに役立ったんだ。

ソロの際、ハンマリングとプリングを多用するクセがある…、これは僕の特徴だ。こわばった固いサウンドではない、流れるようなサウンドだね。モードやスケールを音楽的に聴かせるためには、この弾き方が良いと思ったんだ。そのテクニックは、何時間も何時間も掛けて方法を見付けた。

今回のEx-1とEx-2は、その中でも数多くやってきたパターンだ。手の状態を整え、リラックスさせて弾いてみよう。筋肉がフレーズを覚えたら、かなり楽になるはずだよ。

延々とノン・ピッキングが続く長いレガートではないが、実際の生きたレガート・リックとはこんなもんでしょう。つまり実践的と言えるEx-1。それが今回の基本エクササイズ。図1のポジションも覚えやすいし、1音1音綺麗に出していくことを課題にして弾いてみよう。Ex-2はそれを拡大したストレッチ・ヴァージョン。ハンマリングや弦移動のタイミングはEx-1と同じ。ただポジション(図2)がやたら開いている、そこが面倒なパターン。まずは、もっとフレット間が狭いハイ・ポジションからやる…という手もある!

Ex-1ニック流レガート・リック(基本編)

●弾くのは図1ポジションのAメジャー・スケール上。フィンガリングを丁寧に、1音1音はっきりした音が鳴っているか、確認しながら弾くべし。つまり、最初はテンポを気にせず、できる速さで。
Ex-1 ニック流レガート・リック(基本編)

図1■Ex-1のポジション

図1

Ex-2ニック流レガート・リック(ストレッチ編)

●図2ほどのストレッチになるとフィンガリングは雑になり、音は綺麗に出にくい。キツい場合は、もう少し(開きが狭い)ハイ・ポジションに全体移動させてみる方がいい。

Ex-2 ニック流レガート・リック(ストレッチ編)

図2Ex-2のポジション

図2

プロフィール

Nick Johnston

ニック・ジョンストンはカナダ出身のギタリスト。フル・シュレッドから繊細なニュアンスまで網羅する卓越した演奏テクニックと抜群のメロディー・センスで動画サイトなどを中心に話題を集め、2011年の『PUBLIC DISPLAY OF INFECTION』をはじめ、これまでに4作のオール・インスト・ソロ作品を発表。昨年9月発売の最新作『REMARKABLY HUMAN』で正式に日本デビューを果たした。本作には、ガスリー・ゴーヴァンやポール・ギルバートがゲスト・ソロを弾いた楽曲もボーナス・トラックとして収録。2017年2月にはアニマルズ・アズ・リーダーズのツアーに帯同して初来日を果たし、ライヴやギター・クリニックを行なうなど、国内でのさらなる活躍が期待されている急進中のロック・ギタリストだ。

インフォメーション

公式ウェブサイト:www.nickjohnstonmusic.com
フェイスブック:www.facebook.com/NickjohnstonOfficial

最新リリース情報

foxtails

『REMARKABLY HUMAN』/Nick Johnston

キングレコード|CD|2016年9月14日発売