今回のテーマはアルペジオ。長いパッセージではなく、短いものを繋げていくパターンだ。使いどころを押さえれば、クールなフレージングになる。ではニックのお言葉から。
Nick’s Comment
このリックは僕のアルバム『IN A LOCKED ROOM ON THE MOON』(’13年)の「Electric In My Veins」で、驚異のギタリスト:ガスリー・ゴーヴァンとの掛け合いパートでも使ったパターン。あのレコーディングはとても楽しかったよ。だから印象に残っているんだ。主になるのはCmaj9とCm9のアルペジオ(Ex-1&図1、Ex-2&図2)。シンプルなコンセプトだけど、クリエイティヴに考えようとすると、基本のフレーズってシンプルになっていくものなんだ。これらは4音ごとに区切って動くとクールだ(Ex-3)。上昇する際には、ハイブリッドとスウィープというピッキングの組み合わせを使うといい。あと、このポジションで色々なシェイプのアルペジオを試してみるのもいいね。Cm9にB音を入れた(3弦3fのB♭音を半音上げて3弦4f音にした)Cmmaj9とか。そして、Cmaj9とCm9のシェイプをフレームワークとして練習したら、[Cmaj9→Dm9→Fmaj9→Am9]に当てはめて上昇(Ex-4)。これをスウィープで弾いたり(Ex-5)、色々なアイデアに組み込める。とても面白いよ。自分なりのクールなリックを考えてみて。では、また来月!
以上、ニックの解説を簡単におさらいすると、まずここで基本型になるのはEx-1[Cmaj9]シェイプ、Ex-2[Cm9]シェイプであり、その形の違いを指に覚え込ませる(Ex-3)。そして2種類のシェイプを、[Cmaj9→Dm9→Fmaj9→Am9]に当てはめてみる。この時、登場するシェイプはEx-1(図1)かEx-2(図2)どちらかだという点がポイントになる(ただしポジションは移動)。つまり、図1=メジャー9th型、図2=マイナー9th型を覚えておけば、幾つかのアイデアに発展できる…ということだ。なるほど納得の実戦用フレーズ・メイク術!
Ex-1Cメジャー9
●Cmaj9の[C音・E音・G音・B音・D音]をアルペジオ。
Ex-2Cマイナー9
●Cm9の[C音・E♭音・G音・B♭音・D音]をアルペジオ。
Ex-3メジャー型&マイナー型
●メジャー9th型とマイナー9th型を繰り返し、違いを把握。
Ex-4Key=Cでの上昇パターン
●[Cmaj9→Dm9→Fmaj9→Am9]に登場するシェイプは図1、図2の2つだけという点に注目。
Ex-5Ex-4のスウィープ・パターン
●Ex-4の上昇をスウィープで決めるのも鮮やかだ。上昇→下降での激しい動きも試してみよう。
プロフィール
ニック・ジョンストンはカナダ出身のギタリスト。フル・シュレッドから繊細なニュアンスまで網羅する卓越した演奏テクニックと抜群のメロディー・センスで動画サイトなどを中心に話題を集め、2011年の『PUBLIC DISPLAY OF INFECTION』をはじめ、これまでに4作のオール・インスト・ソロ作品を発表。昨年9月発売の最新作『REMARKABLY HUMAN』で正式に日本デビューを果たした。本作には、ガスリー・ゴーヴァンやポール・ギルバートがゲスト・ソロを弾いた楽曲もボーナス・トラックとして収録。2017年2月にはアニマルズ・アズ・リーダーズのツアーに帯同して初来日を果たし、ライヴやギター・クリニックを行なうなど、国内でのさらなる活躍が期待されている急進中のロック・ギタリストだ。
インフォメーション
公式ウェブサイト:www.nickjohnstonmusic.com
フェイスブック:www.facebook.com/NickjohnstonOfficial
最新リリース情報
キングレコード|CD|2016年9月14日発売