[ピック+中指]のハイブリッド・ピッキング(2) ニック・ジョンストン奏法コラム第8回

[ピック+中指]のハイブリッド・ピッキング(2) ニック・ジョンストン奏法コラム第8回

ニック’sスタイルの肝となるハイブリッド・ピッキング。そもそもニックがこれを多用するようになったきっかけには、彼が左利きだったという事情がある。利き手ではない右手での繊細なピック・コントロールを苦手とした彼は、それを補うために中指を多用するようになったとのことだ。今回紹介するリックでは、改めてそのニック流のハイブリッド・フレーズに注目してみたい。では、ニックの言葉から。

Nick’s Comment

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自分に合ったピッキング・スタイルの開発に年月を費やしているうちに、僕は自分のリックは下降型のシェイプにクロマティック音を入れたフレーズが多いことに気が付いた。今回のリックは、まさに僕の拙いピッキングが抱える様々な問題を補おうとしてできたものだよ。

ピッキングしている右手の中指は、通常ならアップ・ストロークを行なうべき音のピッキングに使っている。このテクニックのおかげで、ピックなら弾けなかったはずの音が弾けるようになったんだ。とても速いけど、時間をかけて少しずつ取り組んでいけば、フレーズの中にあるパターンを把握することができるはずだよ。

これは僕のようなスタイルで弾きたい人には必ず役立つリックだ。クリーンに弾けるようになったら合格。頑張ってくれ!

ハイブリッド・ピッキングの最大のメリットは、弦移動をスムーズにコナせる点にある。そういう観点から、Ex-1をチェックしてみると、1小節目3拍最後からの[3弦4f→2弦2f→3弦4f]の[ダウン→中指→ダウン]など、頻繁に弦を行き来する部分がハイブリッド・ピッキングが活きるシチュエーションの1つとなる。Ex-1を完コピするのも結構だが、例えば3拍目最後の3弦4fから始まる8音パターンをハイブリッド・リックとして覚えておく方がより実戦的だ。なお、2小節目3〜4拍、3小節目後半は、コード・アルペジオを基にしたリックとなっている(図1〜図3)。3小節目4拍の下降フレーズは、ピッキングせずに左手TAPでコナすのがニック流だ。

Ex-1アップ・ストローク=中指によるニック流ハイブリッド・リック

●1小節目3拍最後の3弦4fからの8音パターンを、ハイブリッド・リックとして覚えておきたい。2小節目2拍のパターンもニックが多用するもの。左手TAPをダウンに置き換えて覚えておこう。
Ex-1 アップ・ストローク=中指によるニック流ハイブリッド・リック

2小節目3〜4拍/3小節目後半のコード・アルペジオ・ポジション

図■ 2小節目3〜4拍/3小節目後半のコード・アルペジオ・ポジション

プロフィール

Nick Johnston

ニック・ジョンストンはカナダ出身のギタリスト。フル・シュレッドから繊細なニュアンスまで網羅する卓越した演奏テクニックと抜群のメロディー・センスで動画サイトなどを中心に話題を集め、2011年の『PUBLIC DISPLAY OF INFECTION』をはじめ、これまでに4作のオール・インスト・ソロ作品を発表。昨年9月発売の最新作『REMARKABLY HUMAN』で正式に日本デビューを果たした。本作には、ガスリー・ゴーヴァンやポール・ギルバートがゲスト・ソロを弾いた楽曲もボーナス・トラックとして収録。2017年2月にはアニマルズ・アズ・リーダーズのツアーに帯同して初来日を果たし、ライヴやギター・クリニックを行なうなど、国内でのさらなる活躍が期待されている急進中のロック・ギタリストだ。

インフォメーション

公式ウェブサイト:www.nickjohnstonmusic.com
フェイスブック:www.facebook.com/NickjohnstonOfficial

最新リリース情報

foxtails

『REMARKABLY HUMAN』/Nick Johnston

キングレコード|CD|2016年9月14日発売