マイナー・ペンタトニック+α ニック・ジョンストン奏法コラム第9回

マイナー・ペンタトニック+α ニック・ジョンストン奏法コラム第9回

今回は、マイナー・ペンタトニック・スケールを基にしたリック。ポジショニングも[ボックス・ポジション+α]といった感じなので、覚えておけば様々な場面で応用が利くはずだ。では、ニックの言葉から。

Nick’s Comment

このリックには僕が受けた影響がモロに表れていると思う。一番分かりやすいのはエディー・ヴァン・ヘイレンとポール・ギルバートだね。彼らはマイナー・ペンタトニック・スケールにあらゆる斬新な要素を織り込んで、かつて聴いたことのないような強烈で攻撃的なサウンドへと発展させていた。ただのダイアトニックになってしまいがちなリックに、ちょっとしたテンションを加える…、こういったラインを使うのはとても好きなんだ。で、最初に出てくる♭5th音の存在感は、鳴ったか鳴らないかくらいのわずかな程度だ。それからこの♭5th音はリックの最後に1オクターヴ上で繰り返され、ここでは思いっ切り耳を惹き付けるように弾いている。マーティ・フリードマンやジョージ・リンチがマイナー・アルペジオを弾く時に似たようなことをやっていたから、それを真似したんだ。演奏面での注意事項は、とにかくシェイプを覚えて、できる限りクリーンに弾くことだね。聴こえる感じよりも難しくはないよ!

Ex-1の基になっているのは、Cマイナー・ペンタトニック。図1が3小節目前半までのポジションとなるのだが、○と◎で示したペンタトニックのボックス・ポジションに、△の♭5th音と●の2音を加えたものと考えると覚え易いだろう。テクニック面では、2小節目の[2弦11f→1弦8f→2弦11f]などで登場する[ダウン→中指→ダウン]のハイブリッド・ピッキングが肝。そして、先の言葉の“1オクターヴ上の♭5th音”に相当するのが、1弦14f。これを半音チョーキングするわけだが、この際、わざとゆっくり音程を上げていくのが“耳を惹き付ける”コツになる。なお、3小節目後半のCm7のスウィープ・アルペジオ(図2)は、3月号で紹介したリックと同型のものだ。

Ex-1[エディー/ポール/マーティ/ジョージ]インスパイアのCマイナー・ペンタ+♭5th+αリック

●2小節目の[2弦11f→1弦8f→2弦11f]などのピッキングを[ダウン→中指→ダウン]でコナすのがニック流。普通に[ダウン→アップ→ダウン]でコナす方がスムーズなら、それでもOKだ。

Ex-1

図■1〜3小節目2拍/3小節目3〜4拍のポジション

図1〜2

プロフィール

Nick Johnston

ニック・ジョンストンはカナダ出身のギタリスト。フル・シュレッドから繊細なニュアンスまで網羅する卓越した演奏テクニックと抜群のメロディー・センスで動画サイトなどを中心に話題を集め、2011年の『PUBLIC DISPLAY OF INFECTION』をはじめ、これまでに4作のオール・インスト・ソロ作品を発表。昨年9月発売の最新作『REMARKABLY HUMAN』で正式に日本デビューを果たした。本作には、ガスリー・ゴーヴァンやポール・ギルバートがゲスト・ソロを弾いた楽曲もボーナス・トラックとして収録。2017年2月にはアニマルズ・アズ・リーダーズのツアーに帯同して初来日を果たし、ライヴやギター・クリニックを行なうなど、国内でのさらなる活躍が期待されている急進中のロック・ギタリストだ。

インフォメーション

公式ウェブサイト:www.nickjohnstonmusic.com
フェイスブック:www.facebook.com/NickjohnstonOfficial

最新リリース情報

foxtails

『REMARKABLY HUMAN』/Nick Johnston

キングレコード|CD|2016年9月14日発売