ニック流6音パターン・アプローチ ニック・ジョンストン奏法コラム第15回

ニック流6音パターン・アプローチ ニック・ジョンストン奏法コラム第15回

今月紹介するリックは、複数のトライアドのアルペジオを組み合わせたもの。パターンとしては比較的分かりやすい形なので、覚えておけば様々な場面で応用が利くはずだ。では、ニックの言葉から。

Nick’s Comment

これはアルペジオを使って上昇しながらあちこちに動くリックで、6音ごとにカウントされる。6音で一塊のフレーズを作るのは結構好きで、3連符で弾いたり、余りは出るけど16分音符で使ったりしているよ。リックにはこの連載で僕がよく用いているインターヴァルやコード・トーンがたくさん使われている。僕の耳はこういった響きに惹かれやすく、手の方もこうしたインターヴァルやそのポジションを探す傾向にあるみたいだ。このとりとめのないフレーズで、ハイブリッド・ピッキングの技が磨かれるはずだよ。もしかしたら、僕がどうやってどんなKeyにおいてもボックス・ポジションとシェイプを繋げているのかも、より理解できるんじゃないかな。毎度のことながら、最初はゆっくりなテンポから始めていこう!

Ex-1はニックの言葉通り、6音で一塊…つまりトライアドのアルペジオ2つで1パターンと考えると分かりやすい。1小節目で言えば、前半の[BとD♯m]、後半の[C♯mとG♯m]でそれぞれ一塊と考えるわけだ。ポジションはシンプルで、最後の高音弦に上昇していく部分を除けば、1小節目前半(図1)と後半(図2)の形を平行移動していくだけとなる。なお、3小節目後半は、C♯m、Eのアルペジオと書いたが、先の発言のボックス・ポジション云々のくだりを考えると、ニック的には3小節目後半からペンタトニックと捉えている可能性も…? C♯mとEのコード・トーンを並べるとC♯m7、ここに(Ex-1ではプレイしていないが)さらにF♯音を加えると、C♯マイナー・ペンタトニックとなるからだ。

もう一方のEx-2は、4小節目まではEx-1と同じリック。5小節目以降のフレーズは、先月紹介したような異弦同音を用いたリックと考えよう。

Ex-1 トライアド×2の6音パターン上昇フレーズ

●最初は2拍毎に区切って、各6音パターンごとに練習してみよう。ここでは3連符で記譜したが、ニックの言うように、16分音符に合わせたプレイも練習してみてほしい。

Ex-1

Ex-2 6音パターン上昇+異弦同音フレーズ2

●5小節目では2弦16fと3弦20fが同音になる。3拍目の3弦21fは、20fを弾こうとして勢い余ってしまった感じだ。

Ex-2

図1■BとD♯mのトライアド

図1

図2■C♯mとG♯mのトライアド

図2

プロフィール

Nick Johnston

ニック・ジョンストンはカナダ出身のギタリスト。フル・シュレッドから繊細なニュアンスまで網羅する卓越した演奏テクニックと抜群のメロディー・センスで動画サイトなどを中心に話題を集め、2011年の『PUBLIC DISPLAY OF INFECTION』をはじめ、4作のオール・インスト・ソロ作品を発表した後、2016年9月発売の『REMARKABLY HUMAN』で正式に日本デビューを果たした。本作には、ガスリー・ゴーヴァンやポール・ギルバートがゲスト・ソロを弾いた楽曲もボーナス・トラックとして収録。2017年2月にはアニマルズ・アズ・リーダーズのツアーに帯同して初来日を果たした。ライヴやギター・クリニックを行なうなど、国内でのさらなる活躍が期待されている急進中のロック・ギタリストだ。

インフォメーション

公式ウェブサイト:www.nickjohnstonmusic.com
フェイスブック:www.facebook.com/NickjohnstonOfficial

最新リリース情報

NICK JOHNSTON - WIDE EYES IN THE DARK

『WIDE EYES IN THE DARK』/Nick Johnston

輸入盤|CD|2019年4月19日発売