去る3月23日、G5 Projectのギター・クリニック・イベント“G5 Clinic 2014”が開催された。
会場となった新宿MARZは1階から2階まで大詰め満員。ギター・シーンの活性化を目的とする同プロジェクトが主催するイベントらしく、入場時には当日演奏予定の楽曲を譜面に印刷したものが来場者に配布されていた。
出演したのは同プロジェクト発起人のGodspeed、Takajii、ニケ、大和の4人。演奏は各々が用意したバッキング・トラックに合わせて1人ずつステージに立つ形式で、パフォーマンスのトップ・バッターは最新作『G5 2013』(’14年)からの加入となった大和。早速「Dying to survive」などでその大胆かつメロディー・センスの高いパフォーマンスを見せた。続いてニケが「Emergency」など、トリッキーなリズムでヒネリを加えた緊張感の高い楽曲を放つ。Takajiiはアコースティックも交えたインプロヴィゼーションで、まるでバンドのようなライヴ感溢れるグルーヴを聴かせる。そして演奏のトリを務めたGodspeedは歌心満載の個性派リックとシンフォニーを融合させた「Journey」含め3曲を演奏…四者それぞれのスタイルで観客を魅了した。また、ステージ後方のスクリーンには、ギターを弾く手元を間近で狙ったカメラの映像が常に映し出されており、弾き手冥利につきる演出となっていた。
演奏の合間には4人がステージに集合し、「音作りについて」「学生時代から現代に至るまでの経緯」など、事前にファンから寄せられたお題をもとにしたトーク・セッションが行なわれた。何より盛り上がったトピックはやはり機材だろう。テクニックのみならずサウンドへのこだわりも深い彼ら、今回はステージ上にそれぞれフラクタル・オーディオの“Axe-FX”やフェンダーのヘッド・アンプ“Supersonic”、ケンパー“Profiling Amplifier”をセッティング。自らの求めるサウンドやニーズを満たすため、いかにしてこれらのアンプに辿り着いたかということを、その魅力と共に熱弁していた。また、「その日帰ってすぐに役立つレッスン」と称して、ギターを片手に各作曲者達が本日演奏された楽曲の奏法を指南。その極意を少しでも学び取らんと、観客は手元の譜面を参照したり、リフをスローで弾いてくれるギタリストの動画を録ったりと大忙しだ(笑)。
ギターの魅力を自ら体現し、広くギター・ファンと共有することでシーンを加熱させる。そんな狙いのもとに開催されたG5 Projectは、自分達から楽曲を提示するだけでなく共にシーンを盛り上げていくという狙いもある。その一貫として先般ネット上で行なわれた、彼らの楽曲を“弾いてみた”コンテスト…“G5 Cover Project”において入賞した面々に景品が渡される、表彰式も行なわれた。100を優に超える応募者の中から見事賞を獲得したプレイヤー達の中には高校生もまじっており、若い年齢層にもG5 Projectが届いていることを感じさせた。
最後は4人による「Free for All」のセッションで盛大にフィニッシュ。終演後にはサイン会及びファン・ミーティングが行なわれた。自らのギターにサインをもらい、メンバー達と直接言葉を交わすために並んだ観客の列は、小一時間経っても途切れる気配が一向にない。それを見ながら、今回のイベントは成功裏に終わったと感じた。G5はもともとインターネットを介して生まれた活動ではあるが、こうしたオフ会のような生身の交流を通じて、ファンやメンバーのギター魂にさらなる火がつくのではないだろうか。Godspeedと大和はソロ・アルバムの制作も発表していた。この熱が冷めやらないうちに、次なる展開を待ちたいところだ。