山本恭司、70歳&50周年を祝う集大成ライヴ!2026.3.21@川崎CLUB CITTA’

山本恭司、70歳&50周年を祝う集大成ライヴ!2026.3.21@川崎CLUB CITTA’

キャリアを振り返るようなバンド/ユニットが集結

1976年にBOWWOWのヴォーカリスト&ギタリストとしてメジャー・デビューを果たし、その後VOW WOWやWILD FLAGなどの中枢を担うと共にソロ活動も精力的に行なってきた、日本を代表するアーティストの1人として世界に名を馳せる山本恭司。そんな彼が今年、古希(70歳)とデビュー50周年を迎えることを記念して、去る3月21日に“Kyoji Yamamoto Concert LOOKING BACK 70th Birthday & 50th Anniversary”と銘打ったライヴを川崎CLUB CITTA’にて開催した。

タイトルの“LOOKING BACK”というワードが示すように、同公演はBOWWOW(現在は斉藤光浩と共にBOWWOW G2として活動中)、VOW WOW、WILD FLAG、そして俳優の佐野史郎との“小泉八雲朗読のしらべ”という、山本恭司のキャリアを振り返るようなバンド/ユニットが集結。アニヴァーサリー・ライヴということ、そして出演者の豪華さが相まって同公演は大きな注目を集め、チケットは争奪戦となり、当日の会場は2階席までオーディエンスでみっちり埋まった状態となった。

BOWWOW G2:重厚・鉄壁のアンサンブル

山本恭司、斉藤光宏

開演時間に向けて期待がどんどん高まっていく中、ライヴはBOWWOW G2のステージから始まった。壮大な「Prelude」からパワフルに疾走する「Get On Our Train(天国行超特急)」へとつながる、爽快な幕開けだ。さらに同じアルバム『SIGNAL FIRE』(1977年)からの「Just One More Night」が、場内のヴォルテージを一気に高める。
 
「今日はみなさん、どうもありがとうございます。僕は1956年に生まれて70歳、そして1976年にデビューして50周年。記念すべき素晴らしい日に、こんな素敵なライヴを開催することができて本当に心から幸せです。今日のトップバッターはね、このBOWWOW G2。ここに新美(俊宏/dr)とキンさん(佐野賢二/b)がいないのはちょっとだけ寂しい気もしますが、BOWWOW G2はね、実はもうオリジナルのBOWWOW以上の活動歴を誇っているんです。だから、すごい長寿バンドになっているよね」

そんな山本のMCから続くのは、作曲者の新美に想いを馳せての疾走感あふれる「The Clown」、山本と斉藤光浩のツイン・ギターをフィーチュアした名インスト「Signal Fire」だ。その「Signal Fire」で2人は笑顔を浮かべながら息の合ったハーモニーを聴かせ、テクニカルな山本と王道的なロック・フレイヴァーの斉藤という、異なる個性を活かしたソロ・バトルを展開。そんな両者の姿に思わず目と耳を奪われる。

BOWWOW G2

終盤は華麗な「Heart’s On Fire」から、お馴染みの連獅子姿で披露される「Theme Of BOWWOW」。1982年に英国にて開催されたレディング・フェスティヴァルにて、BOWWOWが見せた雄姿を思い起こさせる姿に客席からは大歓声が湧き起こり、場内は熱い盛り上がりを見せた。MCでも触れられていたように、BOWWOW G2は山本と斉藤、松本慎二(b/外道、SENSE OF WONDER etc.)、小柳”Cherry”昌法(dr/LINDBERG etc.)というメンバーで長く活動し続けることで鉄壁のアンサンブルを誇っており、強固なバンド感も生まれている。’70~’80年代の頃のスピード感を継承しながらより重厚さを増しているのも印象的であり、現在の4名でまた新たなBOWWOW像を作り上げていることが印象的だった。

WILD FLAG:魅力的なアドリブも満載のパワフル・ステージ

WILD FLAG

WILD FLAGのライヴは力強く疾走する「Play For The Night」から始まった。パワフルな歌声を聴かせ、テクニックと歌心を両立させながらギター・フレーズを紡いでいく山本。彼を支えるのは激しいステージングとファットにうねる重低音の取り合わせが魅力的な満園庄太郎(b)と、26インチのバスドラを配した巨大なドラム・セットに負けない存在感を発しながら、肉体的なリズムとタイトさを兼ね備えたドラミングを展開する満園英二(dr)だ。強固な個性を備えた3人がひとつになることで生まれるケミストリーは今なお健在で、’70sロックに通じるプリミティヴなハードネスは気持ちを引き上げる力に満ちている。

どっしりとしたミディアム・チューン「Don’t Think About Yesterday」を聴かせた後は、再び山本によるMCだ。「ありがとうございます、WILD FLAGです。BOWWOWそしてVOW WOWが解散して、その後どちらにも似ていない本当に個性的なキャラの強力なバンドを作ろうと思って…英二と庄太郎、当時2人は実は大学生で、アマチュア・ミュージシャンだったんですけど、彼らとWILD FLAGを結成しました。今日もね、バンド名に恥じないワイルドなライヴをたっぷりお届けしますので、最後までよろしくお願いします!」ーーその言葉どおり、相次いで演奏された「Wild Street’s Corner」や「I Am A Boy」「Hunter」といったナンバーはいずれもすさまじくパワフルだ。

WILD FLAG

BOWWOWとVOW WOWで新たなロックを提示してきた山本が、その後より王道的なWILD FLAGを立ち上げたことは興味深い。’90年代に入ってグランジ/オルタナという新たな波が起き、国内ではJ-POPがより洗練度を増していく中での山本の動きは、“逆張り”だった感もある。だが今思えばそれがカッコ良かったし、正解だったと言える。時代の移り変わりや流行りなどに捉われることなく、当時の彼が本当にやりたかったことを形にした結果、他のバンドと同じくWILD FLAGも時代を超える魅力を備えた存在になった。また、WILD FLAGはBOWWOWやVOW WOW以上に、山本のアドリブを堪能できるバンドでもある。今回も魅力的なギター・プレイをたっぷりと披露しつつ、「Going On」で彼らのステージは頂点を迎えた。今年8月にツアーを行なう旨がアナウンスされたこともあり、今後の彼らの動きも本当に楽しみだ。

小泉八雲朗読のしらべ:佐野史郎と表現した世界観

佐野史郎

そんなWILD FLAGのライヴを経て、佐野史郎と山本恭司による全く趣の異なる“小泉八雲朗読のしらべ”のステージが始まった。これは佐野が読む物語に合わせ、山本がギターで効果音を奏でるという独創的なアプローチが特徴のユニットで、今回の題目は「耳なし芳一」だ。絶妙なテンポ感の語りとリアリティに富んだセリフで物語を紡いでいく佐野と、琵琶の音色や寺の鐘の音、妖魔の気配などを巧みなテクニックで表現する山本。両者が創出する世界観はおそろしいほど深く、様々な情景が鮮やかに浮かんできて惹き込まれずにいられない。特に芳一が平家の亡霊に耳を引きちぎられる辺りは本当に怖くて、背筋が凍った…。そして物語を終えた後、山本がE-Bowを使って和が香る旋律を奏でる流れも絶妙。そんな「また観たい!」と思わせる魅力にあふれる“小泉八雲朗読のしらべ”であった。

佐野と山本は高校時代の同級生であり、佐野が山本にギター・コードやレッド・ツェッペリンなどを教えた間柄…ということはよく知られている。そんな2人による朗読劇の完成度は群を抜いており、演目を終えた後の和やかなトークも非常に楽しめた。彼らの舞台に触れたことのない方には、機会を見て一度体感してみることをおすすめしたい。

VOW WOW:奇跡のバンドが見せた一体感

VOW WOW 人見元基、山本恭司

トリを飾るVOW WOWのライヴは、力にあふれるミディアム・チューン「Don’t Tell Me Lies」から、アッパーな「Doncha Wanna Cum(Hanger 15)」へと続く流れで幕を開けた。超絶なハイ・トーンを織り交ぜた人見元基のブルージーかつソウルフルなヴォーカル、スリリングなソロやソリッドなバッキングが光る山本のギター、楽曲の華やかさや立体感を増幅させる厚見玲衣のキーボード、そして永井敏己(b)と山本真央樹(dr)によるスクエアかつファットなグルーヴ…。これらが一体になって生まれる説得力は圧倒的で、場内の熱気はさらに高まる。

「みなさん、ありがとうございます。奇跡の復活を遂げた、奇跡のバンドVOW WOWです。’80年代の、まだ僕らが現役でやっている頃、そして解散した後もね、誰がこんな未来を予想していたでしょう? 本当に奇跡的なメンバーが、新たなリズム・セクションを得て、“シンVOW WOW”となりました(笑)。そして今ここにいるメンバーはもちろん、キンさんや新美、ニール・マーレイ(b)やマーク(D・グールド/b)、みんなに感謝の気持ちを思いつつ今日も最高のライヴにします。最後までよろしくお願いします!」

そんな山本のMCを挟んだ後は、メンバーそれぞれの見せ場をフィーチュアした「Born To Die」だ。山本のフリーキーなアドリブに続いて、永井のジャズ/フュージョンが香るテクニカルなベース・ソロ、彼と山本真央樹が織り成す密度の濃いかけ合い、そして厚見のホットなオルガン・ソロへとつながる間奏は、本当に観応えがある。普段より短いライヴでもミュージシャンシップの高さが味わえるセクションを入れ込む辺りはVOW WOWならではであり、今年1月に行なわれた3公演を経て、バンドとしての一体感がさらに高まったことも強く感じさせた。
 
後半ではスタイリッシュな「Nightless City」や緊迫感を放つ「Hurricane」、華麗に疾走する「Shot In The Dark」などが畳みかけるように披露される。肉体的なステージングを織り成すメンバー達の姿や爽快感あるサウンドに、オーディエンスも熱いリアクションを見せ、川崎CLUB CITTA’の場内はイベントの終盤にふさわしい盛大な盛り上がりとなった。

VOW WOW

「いつまでも冒険者の気持ちで」

VOW WOWのパフォーマンスが終わった後、1人ステージに残った山本。「今日はどうもありがとうございました。最高の1日を迎えることができて、本当にミュージシャンとして最高に幸せな日でした」とあいさつする彼の表情は、やり切った満足感に満ちている。

「今日は僕の人生の中でとても大きな位置を占めてくれたバンド達、そして佐野史郎さんとの八雲の世界をお届けしました。僕には他にも“新生BOWWOW”もありましたし、全部即興で演奏するフリー・スタイル・ジャムだとか、クラシック・ピアニストの沼光絵理佳さんとのデュオだとか、ヴァイオリン/ハープのデュオX[iksa]との共演も毎年やっています。あと1つの夢だったオーケストラとの共演コンサートも、3回もやらせてもらいました。

こういう年齢になってくるとね、どこかに行くたびに、そろそろライヴの本数を減らした方がいいよ…と言われるんですよ。ここ何年か、年間約130本ライヴをしているんです。僕はそれが自分の天命というか使命だと思っているので、続く限りはこれを、これからもやらせてください。まだまだ挑戦したいことはあるし、70歳になったからといって守りに入らずに、いつもでもチャレンジャーの気持ち、そして冒険者の気持ちを持ち続けていきたいと思っています。これからも本当に、よろしくお願いします」

山本恭司

大きな拍手を呼んだそんな語りの後は、「“冒険者”とタイトルを付けた曲があるので、それを最後に演奏しようと思います」という言葉と共に、彼のソロ・アルバム『2020』からインスト曲「Adventurer 2020」が演奏される。笑顔を見せながらテイスティなギターを奏でる山本と、そんな彼に応えて温かみにあふれた手拍子を贈るオーディエンス。激しさを打ち出す場面の多かった公演を、こういったウォームな雰囲気で締め括る辺りは、実に山本恭司らしい。

山本真央樹、山本恭司

曲が終わった後、出演者全員がステージに姿を現すと共にバースデー・ケーキが運ばれ、人見の歌う「Happy Birthday」に続けて、山本がケーキのロウソクを吹き消す。場内は笑顔で染まり、和やかな空気に包まれながら、“Kyoji Yamamoto Concert LOOKING BACK 70th Birthday & 50th Anniversary”は幕を降ろした。

「70歳は単なる通過点としか思っていないので、80歳も、90歳も同じメンバーで集まりたい。そして、僕の夢である“100歳ライヴ”も、がんばるぞ!」と決意を語った山本恭司。往年と変わることのない健在ぶりを見せただけに、今後も彼が強い光を発し続けることは間違いなさそうだ。

バンド

セットリスト Kyoji Yamamoto Concert LOOKING BACK 70th Birthday & 50th Anniversary @川崎CLUB CITTA’ 2026.3.21

BOWWOW G2

1. Prelude~Get On Our Train
2. Just One More Night
3. The Clown
4. Signal Fire
5. Heart’s On Fire
6. Theme Of BOWWOW

WILD FLAG
1. Play For The Night
2. Don’t Think About Yesterday
3. Wild Street’s Corner
4. I Am A Boy
5. Hunter
6. Going On

佐野史郎&山本恭司“小泉八雲朗読のしらべ”
1. 耳なし芳一

VOW WOW
1. Don’t Tell Me Lies
2. Doncha Wanna Cum(Hanger 15)
3. Born To Die
4. Nightless City
5. Premonition~Hurricane
6. Shot In The Dark

山本恭司
1. Adventurer 2020