LOVEBITES、感動に包まれた今年1度限りの日本公演! 2024.9.4@東京ガーデンシアター

LOVEBITES、感動に包まれた今年1度限りの日本公演! 2024.9.4@東京ガーデンシアター

2022年10月の完全復活以降、LOVEBITESの勢いは微塵も衰えていないどころか、さらに強大なエネルギーを発散しながら高みを目指して進化していっている。9月1日・東京ガーデンシアター公演は、今改めてそう確信させるほどの強烈なライヴだった。

ホールならではの壮麗な景色

世界を廻る“THE THIN LINE BETWEEN LOVE AND HATE WORLD TOUR”の一環として開催された唯一の日本公演はバンド史上最大のキャパシティとなったが、実際に数多くのオーディエンスが会場に足を運んでおり、改めて現在の人気の高さを目の当たりにした(それでも残念ながら、台風10号の影響により来場を断念した人達も少なからずいたとのことだ)。ヘヴィ・メタル・バンドとしてこれほどのスケール感でライヴを行なえる事実は誇らしく、ここから先の展開にも自然と期待が高まるというものだ。

さて、まだ開演前の舞台を見て目に飛び込んできたのは、立体的に構築されたホール仕様のステージ・セット。いわゆる大きなお立ち台も複数設けられた形状になっており、その中でも特に目を見張ったのが巨大ドラム・ライザーで、高くそびえるセットに乗るドラム・キットの画はインパクト十分。そんなところからも並々ならぬ気合いが伝わってくるが、開演を予告するBGM〜ジューダス・プリースト「Diamonds And Rust」が終わり暗転──ドラム・キットにピンスポットが当たると、そこにはスティックをオーディエンスの方向に構えて颯爽と立つharuna(dr)の姿が。ひと呼吸置いたのち鋭いフィルを合図に「The Crusade」をスタートさせ、その瞬間ステージに駆け込んでくる4人のメンバー達。華やかなヴィジュアルでありつつ、紛うことなき鋼のヘヴィ・メタル・ショウの幕開けだ。

大歓声の中、asami(vo)がお馴染みの口上で“ヘヴィ・メタル・バンド=LOVEBITES”の名を高らかに叫び、曲はドラマティックなツイン・リードを導入に疾走する「When Destinies Align」へ。asamiはここでもクリアかつ伸びやかな歌声を響かせ、暖機運転不要のとてつもないシンガーであることを序盤から証明。midori(g)とmiyako(g, key)は舞台中央で各々がフラッシーなソロを弾き倒すギター・バトルを披露し、一方でfami(b)を見やれば、笑みを浮かべて指弾きをこなす余裕の佇まいである。

asami
asami(vo) Pic:Makiko Takada

miyako
miyako(g, key)Pic:Hajime Kamiiisaka

midori
midori(g)Pic:Hajime Kamiiisaka

fami
fami(b)Pic:Hajime Kamiiisaka

haruna
haruna(dr)Pic:Hajime Kamiiisaka

「みんな会いたかったよ! 今年1度限りのLOVEBITES日本公演、何とか開催できました、ありがとうございます! みんながありとあらゆる手段を使ってここにたどり着いてくれたことを知ってます。でも、残念ながら来場が叶わなかった方もたくさんいます。その悔しさや強い想いは十分私達に届いてるし、みんなも感じてると思います」

最初のMCでこう語ったasamiは、だからこそ今日のライヴを全力で完遂したいと伝えていく(また、大勢のファンが集結した客席の様子を見つめて「凄い!」を連発する場面も)。

その後「Rising」を挟み、名曲「Wicked Witch」が登場。ツイン・ギターが奏でる個性的な音運びによるフック満載のメロディー・リフからして最高で、自然と体が動くギャロップ・ビートと力強くも憂いを帯びた歌メロを擁する同曲は、セットリストに大きな起伏を作る1曲だ。続いて、ここでも同様にイントロのギター・メロディーで瞬時に心を鷲づかみにしてくる新曲「Unchained」を、金/銀テープやレーザーの演出と共に華々しく世界に先駆けて初披露する。最新スタジオ作『LOVEBITES EP II』のリード・トラックとなり、覚えやすいリフレインが光る、これまで以上にキャッチーさを磨き上げた新たな代表曲と言えるだろう。本誌ヤング・ギター10月号掲載のmidori&miyakoのインタビューにおいて、「Unchained」が試行錯誤の末、締め切りギリギリの段階で生まれた楽曲であることが語られており、ゆえにこのクオリティの高さも納得である。

midori&miyako
Pic:Makiko Takada

またライヴ前半には、近年のメニューに外せない「Stand And Deliver(Shoot ‘em Down)」をプレイ。モーターヘッドの魂を注入したこの爆走曲でmiyakoはギブソンのレスポール・カスタムを手にしていたが(メインはディーン・ギターズの“Icon”を使用)、ここでの彼女は効果的にワウを駆使した勢いあるリード・プレイを炸裂させる。ちなみに『LOVEBITES EP Ⅱ』収録の「The Bell In The Jail」では、midoriがギブソンSGを使用したことを本誌インタビューで語っており、同曲がライヴで披露される際には、是非ともそれをステージで再現してほしいところだ。

灼熱のファイアーボールが噴き上がった「Set The World On Fire」が終わると、舞台上手に設置された純白のグランド・ピアノにmiyakoがスタンバイ。繊細なタッチでクラシック由来のリリカルな旋律を奏で、それまでの空気を一変させる。それがいつしか耳馴染みのある序曲となり、シームレスにバンド・インして曲は「The Final Collision」へ──。ピアノ・ソロからのこの流れは本当に美しく、まさしくハイライトのひとつ。哀愁に満ちたメロディーを切々と歌い上げるasamiの歌唱にもグッと引き込まれていく。ギター・ソロはmidoriによるニュアンスを大切にした泣きのリードを経て、長尺のハーモニーを聴かせる構成が秀逸で、今後もライヴで聴き続けていきたいナンバーであると実感させられた。

また、この日は序盤から様々な特効が仕込まれていたが、オーディエンスにスマホのライトを灯すよう促した「A Frozen Serenade」では雪が舞い降る演出まで加わり、ホールならではの壮麗な景色を生み出していく。同曲でmiyakoは水色のストラトキャスターを手にしつつ、間奏ではピアノをプレイ。片やmidoriはアコースティック・ギターによるソロも担当し、加えてテンポ・アップしてのツイン・リードのハーモニーを擁するなど、ここでもLOVEBITESらしい密度の濃さを存分に味わわせてくれた。さらに、スマホ撮影OKとなった激情の激速チューン「Soldier Stands Solitarily」でも、タッピングからネオ・クラシカル・フレーズ、シュレッディングまで入ったたっぷりのギター・パートはもちろんのこと、スラップを交えたベース・セクション、瞬発力のあるドラミング、どこまでも伸びていく驚異のヴォーカリゼイション等々を堪能でき、これまた1曲の中で見どころ聴きどころ満載の凄まじさである。

大空を突き抜けて広がっていくようなポジティヴなムード

終盤、ホール公演らしい趣向を凝らした演出は「Raise Some Hell」でも見られ、何とここではフロント・メンバー4人がアリーナに降りて、それぞれが客席の間をゆっくりと歩きながら、時に走りながら演奏するサプライズ的パフォーマンスを披露。会場中が歓喜に包まれる中、各メンバーがオーディエンスのすぐ目の前で掛け合いを行なうなどしてテンション高く盛り上げていく。次いでharunaのドラム・ソロがフィーチュアされ、ツーバスを駆使したド派手なプレイで巻き起こる大歓声──その無尽蔵なパワーに改めて感心していると(昨年ライヴを観たヌーノ・ベッテンコートに「君は制御不能だね」と言わしめていたことを思い出す)、そこからバンド・グルーヴ溢れる「Don’t Bite The Dust」へとなだれ込む展開に。そして本編ラストは、勇壮なシンガロングが響き渡った「Under The Red Sky」。オーディエンスを煽動していき、終始会場の空気を掌握し続けたその姿は、まさしく当代ヘヴィ・メタル・シーンのトップランナーであることを印象づける堂々たる風格に満ちていた。

miyako
Pic:Hajime Kamiiisaka

midori
Pic:Makiko Takada

しばしのインターヴァルを挟んでのアンコールでは、ここにきて天井知らずの超絶ハイ・トーンが轟いた「Shadowmaker」、続けて「今日この日、この場所、この瞬間に集まってくれたことを本当に感謝してます。どこにいても、どんな時も、私達の心はひとつだってことを決して忘れないでください」(asami)という言葉と共に、ジャーマン・メタルのエッセンスを吸収した「We The United」が届けられる。後者は眩いライティングが全開のなか劇的に駆け抜け、大空を突き抜けて広がっていくようなポジティヴなムードがまさに大ラスを飾るにふさわしかったと思う。

濃密な全20曲から成るステージを終え、5人横並びになった彼女達の表情はすこぶる晴れやかで、当夜の充実具合を雄弁に物語っていた。メタル・ファンがLOVEBITESに求めるものを作品ごとに体現し、ライヴ・パフォーマンスにおいても落胆させることなく、音源以上の感動を与えてくれる様は実に理想的だ。東京ガーデンシアター公演を経てまだまだ大きくなっていくであろうLOVEBITESは、果たして次にどんな未来を見せてくれるのだろうか──。

バンド全景
Pic:Hajime Kamiiisaka

LOVEBITES “THE THIN LINE BETWEEN LOVE AND HATE WORLD TOUR – JAPAN 2024” @東京ガーデンシアター 2024.9.1 セットリスト

1. The Crusade
2. When Destinies Align
3. M.D.O.
4. Rising
5. Wicked Witch
6. Unchained
7. and and Deliver (Shoot ‘em Down)
8. Set the World on Fire
9. The Final Collision
10. Thunder Vengeance
11. Holy War
12. A Frozen Serenade
13. Soldier Stands Solitarily
14. Judgement Day
15. Raise Some Hell
16. Don’t Bite the Dust
17. The Spirit Lives On
18. Under the Red Sky

[encore]
19. Shadowmaker
20. We the United

公式インフォメーション
LOVEBITES OFFICIAL SITE

※発売中のヤング・ギター2024年10月号には、『LOVEBITES EP II』を語るmiyako&midoriのインタビューを掲載!