ポップスからラウド、メタルにグランジまで様々なジャンルを取り込んだ“令和型”ガールズ・バンドNEMOPHILA。コロナ禍で対面でのライヴが難しい現状を逆手に取り、現在彼女らが主戦場としているのはYouTubeを始めとしたネットの世界だ。オリジナル楽曲のMVやカヴァー楽曲の演奏動画を投稿する公式YouTubeチャンネルの登録者数はすでに10万人を超え、今年6月に行なわれた事前収録の配信ライヴ“NEMOPHILA Streaming Live Soko to Koko”では合計視聴者数が8万人を記録するなど、まさに“令和型”と呼ぶにふさわしい広がりを見せている。
そのNEMOPHILAが、10月17日にバンド結成2周年を祝した無観客生配信ライヴ“NEMOPHILA 2nd Anniversary Live 離れていてもミライは1つ!”を行なった。6月のライヴもそうだったが、セットは2部制となっており、第1部は序盤の模様がYouTubeにて無料で公開。続く第2部は有料で、チケット購入者のみが視聴できる形態となっていた。筆者は取材のため現地で直接観ることができたので、ライヴの全貌を振り返るレポートをお届けしよう。
セットの幕開けとなったのは、北欧のエッセンスを感じる煌びやかなシンセ・サウンドから始まる「Monsters」。華やかなステージ衣装に身を包んだ5人は気迫に満ちており、バンドが掻き鳴らす轟音にのっけから圧倒された。ギター・チームのSAKIと葉月は7弦ギターを手に、お腹にズシンと来るような低音リフを早くもガンガン刻みまくる。それに乗せてmayu(vo)のハスキーでありながらキャッチーさも持ち合わせた歌声が楽曲をパワフルに彩っていく。ツイン・ギターのハモりもガツンと決めたところで、その勢いのまま「雷霆 -RAITEI-」に突入。緻密に組み立てられたラウドなリフの応酬が全身に重くのしかかってくる。50秒にわたって繰り広げられるギター・バトルも見応え抜群だ。
凄まじい熱量の演奏で画面の向こうにいるオーディエンスのヴォルテージを一気に上昇させたと思われるところで、12月15日に1stアルバム『REVIVE』がリリースされること、そして2022年1月9日にはLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にてフル・メンバーでの初ワンマン・ライヴとなる“REVIVE ~It’s sooooo nice to finally meet you!!!!!~”の開催が発表された。バンドの新たな挑戦が明らかになったところで、新作のリード・トラックとなる「REVIVE」が披露。疾走感溢れるエネルギッシュなサウンドに、mayuのパワフルなシャウトが唸りを上げるキラー・チューンだ。第1部も残すところ2曲となり、「FIGHTER」「DISSENSION」で一気に畳み掛けていく。前者では、モダンなシュレッドでガンガン攻めまくる葉月とオールドスクールなヘヴィ・メタルを体現するSAKIの個性がぶつかり合い、まるで初期アーチ・エネミーのアモット兄弟を彷彿とさせるかのようだった。後者ではキメのフレーズでツイン・リードによるスウィープ・ピッキングのハモりが炸裂! これにて第1部が締め括られた。
ここで、今回ギター・チームの2人が使用した機材について紹介をしておこう。SAKIが弾いていたのはキラー・ギターズの7弦シグネチュア・モデル“KG-Fascinator Seven the Empress”で、アンプはマーシャル“JVM”にフラクタル・オーディオ・システムズ“Axe-Fx Ⅲ”を繋いでいた。相方の葉月はアイバニーズの7弦“RG8527Z”にケンパー“Profiling Amplifier”という組み合わせだった。
さて、セットは有料配信のみの第2部へと突入。YouTubeで観ていたオーディエンスに別れを告げると同時に、3連符のハネるリズムが印象的な「SORAI」が始まる。「よく2人だけで個人練習に入っていた」というハラグチサン(b)とむらたたむ(dr)のリズム隊が、阿吽の呼吸でバンドの屋台骨を支える。中盤では、グルーヴィなリフとむらたたむの強烈なドラム・ソロが身体を揺さぶりまくる「HYPNOSIS」、珠玉のバラード・ナンバー「GAME OVER」、ハラグチサンの高速スラップが光るダンサブルな「Rollin’ Rollin’」、SAKIが「バッキングの休符が楽しい」と話すヘドバン必至の「鬼灯」という4曲が初披露。在宅オーディエンスの盛り上がりも最高潮に高まったことだろう。
そして、「ラストスパート、あと2曲。ブチかましていくぞ‼︎」というmayuの煽りとともに、本日2度目の「REVIVE」が放たれた。アドレナリン全開で冒頭の演奏を凌駕するほどの爆発力だ。最後の1曲は、彼女たちの名をHR/HMファンに知らしめた1st EPのタイトル・トラック「OIRAN」。ライヴの締め括りにふさわしいこのラウド・ナンバーにおいても、やはりギター・チームのソロ・バトルが光った。先手の葉月はタッピングを交えた浮遊感のあるソロをプレイ。一方のSAKIはトレモロ・ピッキングを基調に最後は5本弦スウィープも飛び出す技ありのフレーズで魅せていく。ツイン・リードによる高速アルペジオのハモりが炸裂し、ステージ上のエネルギーがクライマックスに達して終演となった。
今回、配信ではなく直接演奏を観たからこそ分かったことは、NEMOPHILAの魅力とは彼女たちが轟かせる“音圧”の凄まじさだと筆者は考える。これは単に「現場にいれば音圧を感じるのは当然」といったレベルの話ではなく、バンドとして出す音の分厚さや、我々オーディエンスを揺さぶる力が、同ジャンルの他バンドと比較してもそれをはるかに上回っていると感じたのだ。なお、ライヴ直後にYGはメンバーへのインタビューを行なっており、その際に誰もが「今回のライヴでは確かな手応えを感じられた」とコメントしていた。各々が日々成長し続けているからこそ、一糸乱れぬ圧巻のパフォーマンスと超弩級ヘヴィ・サウンドを生み出すことができるのだろう。
このインタビューの様子を含めた、今回の配信ライヴの裏側が観られるスペシャル動画をYG公式YouTubeチャンネルにて公開しているので、こちらもお見逃しなく。
無観客配信ライヴ“NEMOPHILA 2nd Anniversary Live 離れていてもミライは1つ!” 2021.10.17 セットリスト
1. Monsters
2. 雷霆 -RAITEI-
3. REVIVE
4. FIGHTER
5. DISSENSION
6. SORAI
7. BreakingOut
8. Blooming
9. HYPNOSIS
10. GAME OVER
11. Creature
12. Life
13. Rollin’ Rollin’
14. 鬼灯
15. REVIVE
16. OIRAN
INFO
リリース情報
『REVIVE』/NEMOPHILA
マスターワークス
2021年12月15日発表
初回限定盤:CD+DVD 2枚組 通常盤:CD1枚組
初回盤 詳細
“REVIVE ~It’s sooooo nice to fnally meet you!!!!!~”公演概要
日程:2022年1月9日(日)
開場 17:00 / 開演 18:00
会場:LINE CUBE SHIBUYA(旧・渋谷公会堂)
チケット料金:全席指定 5,000円(税込)
※未就学児童入場不可
※お1人様4枚まで
オフィシャル先行発売(ローソン先着受け)
受付期間:2021年10月17日(日)19:30〜10月31日(日)23:59
販売URL:https://l-tike.com/nemophila/
NEMOPHILA公式インフォメーション
https://nemophila.tokyo