待ってました!! 邦HR/HM系ライヴ企画“RAMBO BLOOD:Hangeki《反撃》”レポート 2022.5.14

待ってました!! 邦HR/HM系ライヴ企画“RAMBO BLOOD:Hangeki《反撃》”レポート 2022.5.14

GW明け最初の週末となった5月14日(土)、新宿のWildSide Tokyoにて邦HR/HM系ライヴ企画“RAMBO BLOOD Hangeki:《反撃》”を観てきた。首都圏拠点のHELLHOUNDとRAZOR HIGHWAY、東京と名古屋の複合体:BELLFAST、そして京都出身の六合という4バンドが集ったこのイベント──実は、当初’20年7月に行なわれるハズが、コロナ禍により何度か延期が繰り返され、今回ようやく実施に漕ぎ着けた…という経緯がある。よって、感染対策のため動員数の制限はあったものの、「待ってました…!」とそれぞれのファンが詰め掛け大いに盛り上がりまくった。

RMBO BLOODフライヤー

BELLFAST:新曲も飛び出したヴァイキング・メタル!

BELLFAST

トップを飾ったのは、日本随一の(唯一の?)ヴァイキング・メタラー:BELLFAST。ツイン・ギターにフルート&フィドル奏者を含む7人編成の大所帯だ。バンドにとって約1年振りのライヴで、コロナ禍ではメンバー全員で集まるのもなかなか難しかったようだが、正直リハ不足やブランクはあまり感じさせなかった。序盤こそアンサンブルに乱れが頻発したが、2曲目にはもう立て直し、3曲目にこの日が初披露となる「The Story Of My Life」が炸裂する頃には、すっかり本調子に。アイアン・メイデンがペイガン・メタル化したかのような、いかにもBELLFASTらしいこの新曲は、きっと今後、ライヴ定番曲となっていくに違いない。

ツイン・ギター・チーム:狩野 慎&新井太朗は、それぞれ情感豊かにメロディックなソロを熱奏。フルート&フィドルとのケルティックなユニゾン/ハーモニー・パートでも存在感を発揮し、哀愁のバラード「Inis Mór」では、泣きのプレイで酔わせてもくれた。典型的“顔で弾く”タイプの狩野と、静かなる激情を演奏に込める新井は、一見タイプが真逆のようで、飽くまで楽曲至上のプレイに徹するところなど、実のところ似た点も少なくないのだと、改めて気付かされたことも付け加えておこう。

狩野 慎 - BELLFAST
新井太朗 - BELLFAST

BELLFAST セットリスト 2022.5.14

1. The Wrath Of The Bear@Tartalo(SE)
2. Sign Of The Paganheart
3. Black Mist Island
4. The Story Of My Life
5. When The Sunrise
6. Inis Mór
7. Sword Of Victory
8. Deadly Oath

RAZOR HIGHWAY:ベテランながら熱さ全開のオールドスクールHR/HM!

RAZOR HIGHWAY

続いての登場はRAZOR HIGHWAY。’19年始動で同年アルバム・デビューとはいえ、メンバーは全員がキャリア組で、ヴォーカルの深澤AKIは、何と元PAUL RAYMOND PROJECT(UFO、MSGなどで活躍した鍵盤奏者:故ポール・レイモンドが率いたバンド/プロジェクト)というから驚く。ツイン・ギターを担うのは、五人一首の高橋史男と、元ANCIENT MYTHの田中輝臣。バンドの音楽性も’80年代魂漲るオーセンティックなオールドスクールHR/HMで、すべての楽曲からベテランならではの“熟成”を感じ取ることが出来る。

但し、ライヴもキャリア相応に落ち着きが…なんてことは全くなく、のっけから熱さ全開! 往年のプリティ・メイズにL.A.メタルのエッセンスを加味したかのサウンドは、ヘヴィ&パワフルに迫力満点で、重厚かつタイトなリフ・カッティングに、自然と腕を振り上げ、ヘッドバンギングしてしまうこと請け合い。ギター・ソロにもオールドスクーラーらしい旨味がたっぷりで、高橋が五人一首では決して見せないネオ・クラシカルな速弾きを華麗にキメると、フライングVを股に挟んでギターを掻き鳴らす田中はマイケル・シェンカー彷彿のメロディックなフレーズを連発し、共にフロアから熱い視線を浴びていた。ショウ終盤には、ザクザクとメタリックなリフが特徴的な新曲「Ashes And Dust」をプレイした彼等──ニュー・アルバムにも期待が高まる!!

田中輝臣 - RAZOR HIGHWAY
高橋史男 - RAZOR HIGHWAY

RAZOR HIGHWAY セットリスト 2022.5.14

1. Rambo Theme(SE)
2. Call Of The Wild
3. Hungry For Your Heart
4. Waiting For The Night
5. Face The Light
6. In The Arms Of A Stranger
7. Ashes And Dust
8. Higher Than The Sky

HELLHOUND:“M-E-T-A-L”愛に満ち溢れたヘヴィ・メタル!

HELLHOUND

3番手はこれまたオールドスクーラーであり、徹頭徹尾“M-E-T-A-L”な4人組:HELLHOUND。昨年9月にニュー・アルバム『WARRIOR OF RISING SUN』を発表した彼等は、いつ何どきも変わらない。ただひたすらに、自分たちが信ずるHR/HM道を貫くのみ。そのサウンドはどうしようもないぐらいにヘヴィ・メタル。“何とかメタル”ではない、ただのメタル。一切ギミックなしで、あらゆるトレンドから最も遠くにおり、まるで’84年からタイムスリップしてきたかのよう。それでいて、堅苦しさは皆無。メタル愛に満ち溢れた、フレンドリーかつ面白おかしくもあるユル〜いノリも大きな魅力だ。

この日も新旧レパートリーを織り交ぜ、文字通りのキラー・リフ、怒涛の爆走ビート、メロディアスなツイン・リード、一度聴いただけですぐ歌えるサビメロだらけで、ショウが進むにつれ、どんどんフロアのテンションが昂まっていく。リード担当:ルシファーズ・ヘリテイジのギター・ワークは、メロディアスかつ適度にフラッシー。ヴォーカル兼任のフロントマン:クロスファイアともども、時々プレイがヨレたりもするものの、そんなの些細なこと…と、とにかくガッツと根性で押し切るのも、実に“M-E-T-A-L”ではないか。いや…しかし、みんな何回“メタル”と叫んだだろう? いやいや、まだまだモノ足りない! それがHELLHOUNDのライヴなのだから…!!

Lucifer's Heritage - HELLHOUND
Crossfire - HELLHOUND

HELLHOUND セットリスト 2022.5.14

1. Theme〜Let Metal Rule The World
2. Heavy Metal Hammer Down
3. Heavy Metal Till I Die
4. Warriors Of Rising Sun
5. Samurai Warrior
6. Heavy Metal Telepathy
7. Metal Psycho
8. Metal Warrior

六合:大宇宙をイメージさせつつもやっぱりメタル!

六合

トリを任されたのは六合。天地四方を意味するバンド名は、大宇宙もイメージさせ──事実、彼等のサウンドはそれぐらいのスケールを有する。ごく簡易に紹介すれば“和風のプログレ・メタル”か? でも、それだけではない。静謐なピアノからデジタル・ビートまでを駆使した楽曲は、エモーショナルで、アトモスフェリックで、ダイナミックな激烈ヘヴィネスも備え、ちょっとヴィジュアル系も入っていて、広義のJ-ROCKに分類されても違和感なさそうで、それでもやっぱりメタル…という変わり種。過去にはベーシストも鍵盤奏者もいたようだが、現ラインナップはツイン・ギター編成でベースレスの4人組。よって、同期音源が欠かせない。

ジェントっぽい瞬間もあるウルトラ・ヘヴィな音像に、2人のギタリスト:原田一樹と仲出克大はきっと多弦使いに違いない…と思ったら、どっちも6弦を使用。仲出の愛器はPRSのバリトン“SE 277”で、極太弦が張られた6弦はBまで下げている。ただ出音は両者ともクリアで、情念たっぷりなリード・プレイにも、ついついグイグイ惹き込まれていくばかり。ここまでの3バンドとは明らかに違う空気感に、もしや戸惑う観客もいるかも…? いやいや、全然そんなことなく、1曲終わる度に大きな歓声と絶賛の大拍手が沸き起こる。この日、各バンドの持ち時間は45分ずつだったのだが、トリなのに全7曲(+SE)じゃ満足出来ない…と、アンコールを求められ、3曲目にプレイした「黒蛇」をリプライズ。一度プレイした曲を再度…となったのは、「まさかアンコールがかかると思ってなかったので…」と──そんな謙虚さでも、さらに好感度爆上がりな六合であった…!!

仲出克大 - 六合
原田一樹 - 六合

六合 セットリスト 2022.5.14

1. 化生(SE)
2. 求世輝導
3. 烏羽が告ぐ
4. 黒蛇
5. 潜行
6. 空白繰り
7. 人想火
8. 砂塵の如く
[Encore]
9. 黒蛇

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