WOA2023レポ DAY3:メガデス奇跡の共演&メイデンの凄み!

WOA2023レポ DAY3:メガデス奇跡の共演&メイデンの凄み!

天候復活、Metal Battle優勝!

フェス3日目──金曜の朝、もう天候はすっかり回復していた。未曾有の大豪雨により、過去にない大混乱に見舞われていた2日前が、何だか遠い過去のように感じられる。雲が多めで、快晴とはいかなかったが、少なくとも空を見上げていると、ようやく「夏フェスに来たな〜」と実感出来たりも。ただ、足元に目をやると、見渡す限り泥の海が広がっていて、ところどころ乾き始めてはいたものの、未だ大部分が泥んこ状態で、やっぱり長靴がないとキビしい。それどころか、乾きかけて粘度を増した泥は、田んぼ状態、ぬかるみ状態よりもずっと厄介で、度々足を取られ、時には泥から抜けなくなってしまうことも。車両のスタックも、引き続きあちこちで見られた。そりゃ来場規制どころか、前代未聞の観客受け入れ中止発表も致し方ないか…。

青空の見える敷地内

ともあれ、各ステージの進行は通常通りとなったし、何より雨が上がったのが喜ばしい。本日はメイン・ステージの稼働が午後から…ということで、ちょっとのんびりスタートに。まずはインフィールドではなく、バックステージのプレス・エリアへと向かった。13時からプレス・テントにて、DOROの新作リスニング・セッションがあるからだ。

ドロ 試聴会ポスター

水曜日にFASTERステージで活動40周年記念ショウを賑々しく行なったDOROことドロシー・ペッシュ。その際、6月に公開されたばかりの「Time For Justice」も披露してくれたのだが、その2ヵ月後には、ニュー・アルバム『CONQUERESS – FOREVER STRONG AND PROUD』のリリースが控えており、そこから新曲が逸早く聴けるとなれば、その機会を逃す手はない。しかも、ただ曲が聴けるだけではなく、本人もその場にいて、簡単な質疑応答もあるとのこと。そこで、メイン・ステージのトップ・バッター:KARBHOLZを蹴って駆け付けた次第だ。

ドロ・ペッシュ
Doro Pesch(中央)

すると、1曲…2曲とプレミア試聴が進む中(収録曲順通りではなかった)、最初はプレス関係者と一緒に聴いていただけのドロが、途中から音源に合わせて歌い出したからビックリ! 思わぬサプライズに、その場が軽くどよめく。

ドロ 試聴会イベント

ただ、そろそろインフィールドへ戻って、14時からのアマランスに備えないと…ということで、5〜6曲ほど聴いたところで、今回も“DOROらしい王道HR/HM路線で素晴らしい!”と感激しつつ中抜けし、FASTERステージへ。
アマランスのWOA出演は、2012年、2018年に続いて3回目。2023年3月に“LOUD PARK”出演で来日した時からは、トリプル・ヴォーカルの一角に変化が…というか、その時はロスト・ソサイエティのサミー・エルバンナがゲストとしてグロウル&スクリーム・パートを担当していたが、その後、6月にエンゲルのミカエル・セーリンが新たに加わり、新体制となってまだ間もなかった。確か、WOAでまだライヴは2度目とかそれぐらいだったような。

アマランス
Elize Ryd(vo)、Nils Molin(vo)、Mikael Sehlin(vo)

しかしながら、その新顔ミカエルはもうすっかりバンドに馴染み、エリーゼ・リード、ニルス・モーリンとの絡みも見事で、広いステージいっぱいを使って3人のシンガーが入れ替わり立ち代わりするアクティヴなステージングは、以前と比べても全く遜色ナシ。ウーロフ・メルクの切れ味鋭いリフ・ワーク、コンパクトながら印象的なフレーズが盛り込まれたソロ・ワークにも、ギター・フリークのみならずみんな惹き付けられたに違いない。

オロフ・モルク
Olof Morck(g)

まだ序盤の4曲目に、当時公開されたばかりの新曲「Damnation Flame」をプレイしてくれたのも、ファンには最高のプレゼントとなったことだろう。驚いたのは、アド・インフィニトゥムのメリッサ・ボニーがカメラマン・ピットにいて、正にステージかぶりつきといった感じで、ノリノリで楽しんでいたこと。そういえば、同じような光景を以前どこかで見たことが…。どうやら、同業ミュージシャンにも彼等のファンは多いようだ。

エリーセ&オロフ

続いてHARDERステージに、英国出身のエモくてスタイリッシュなメタルコア・アクト:ホワイル・シー・スリープスが登場。初めてのWOAは2016年で、その時はテント・ステージ出演だったから、その間にバンドがビッグになったことを、多くのファンが実感したことだろう。ただ、すぐにLOUDERステージへ移動する必要があったため、激情たっぷりなサウンドをあまり堪能することは叶わず、2曲目の途中で早々にHARDERを離れることに…。

ローレンス・テイラー
Lawrence Taylor(vo)
ショーン・ロング
Sean Long(g)
マット・ウェルシュ
Mat Welsh(g)

向かったLOUDERステージでは、多国籍メンバーから成るドイツ拠点のリーヴズ・アイズが準備万端。フィヨルドを描いたバックドロップの前には、ヴァイキングが使う盾が並べられ、ステージ左右両端には、ノルウェーはスタヴァンゲルにある“Sword In Rock(Sverd I Fjell)”を模して巨大な剣が突き立てられている。そう、彼等は今回“スペシャル・ヴァイキング・ショウ”を行なうのだ。

リーヴズ・アイズ
LEAVES’ EYES

スペシャルなのはステージ・セットだけではない。ショウ冒頭には、イントロSEと共にヴァイキング戦士が続々入場し、ステージに居並んで勇壮なるサウンドをよりリアルに演出。パイロも大量に使っての圧巻のパフォーマンスは、WOAならではの豪華さだったと言えよう。2016年加入の紅一点シンガー:エリナ・シーララが、バンドの顔として貫禄すら漂わせていたことも特筆しておきたい。前任リヴ・クリスティーネの存在があまりに大きかったが故に、加入当初は懐疑的な目で見るファンも少なくなかったようだが、首魁:アレクサンダー・クルル(vo)との相性も良く、今では殆どのファンが「エリナじゃないと!」と確信しているようだ。

アレクサンダー・クルル&エリナ・シーララ
Alexander Krull(vo)&Elina Siirala(vo)

そもそも派手なリード・プレイで圧倒するバンドではないから、ミッキー・リヒター&ルック・ゲプハートのギター・チームにあまり「これぞ!」という見せ場はないが、2人ともアクティヴなプレイヤーだからして、火柱がガンガン上がるダイナミックなステージングに、一役も二役も買っていたことは言うまでもない。また、ショウ中盤にて新曲「Forged by Fire」がプレミア披露されたことも、特筆しておかねばならないだろう。

ミッキー・リヒター
Micki Richter(g)
ルック・ゲプハート
Luc Gebhardt(g)

個人的にも大いに熱くなってしまったリーヴズ・アイズだが、途中まで堪能して一旦プレス・テントへ戻ることに。復活したディプレッシヴ・エイジをHEADBANGERSステージで…とも考えたが、16時から“W:O:A Metal Battle”(以下MB)の結果発表があるので、やっぱそっち優先でしょ…となったのだ。ちょっと遅れて到着すると、ちょうど入賞バンドの発表が始まるところ。プレス・テントは大混雑で、外まで人が溢れんばかり。心地好い緊張感の中、まず発表された第5位は…イタリアのDIESANERA! インダストリアル風味もある白塗りゴス・バンドだ(受賞時にはみんな素顔だったが)。

DIESANERA
DIESANERA

続いて第4位は、イスラエルのシンフォニックな味付けのメロデス/メタルコア5人組:ANDRELAMUSIA!

ANDRELAMUSIA
ANDRELAMUSIA

そして第3位は、コケティッシュな紅一点童顔シンガーが咆哮しまくるウクライナのメタルコア4人組:0% MERCURY! “Metal Battle Ukraine”の代表選考会は、隣国ポーランドで行なわれたとのことだが、戦禍のただ中からの参戦に、胸が熱くなったというオーディエンスも多かったに違いない。

0% MERCURY
0% MERCURY

ここまで日本代表:ファントム・エクスカリバーの名前は呼ばれず…。ますます緊張感が高まっていき、第2位としてコールされたのは──スペインのANEUMA! これまたブルータルな紅一点シンガーを擁するメロデス/メタルコア・バンドだ。

ANEUMA
ANEUMA

ここで、昨年の優勝バンド:セイブル・ヒルズのRict(g)とTakuya(vo)がプレゼンターとして登壇。

セイブル・ヒルズ
SABLE HILLS

もし、ファントムが優勝となれば、2年連続で日本代表が栄冠を掴むことになる。過去にどの国も成し遂げていない、まさに偉業だ。そして、司会者が優勝バンドを厳かに…いや、ちょっと雑な感じで(司会の2人が一緒にコールするハズが、合わなくてグダってしまった?)発表。告げられたバンド名は──そう、勿論ファントム・エクスカリバーだ!!

ファントム・エクスカリバー1位

いや〜、やってくれました!! でも、演奏時のコンテスト審査中とは思えない異常な盛り上がりっぷりを見れば、当然の結果でしょう。日本代表が初めてMBに挑戦した2012年から毎年、WOA現地で熱戦の模様を目撃してきたが、日本代表に限らずあれだけ盛り上がりまくったエントリー・バンドは、ファントムの他にはいない。よって、5位までには絶対に入る…と思っていたから、第2位じゃないと分かった時点で「あ〜もうコレは優勝ですな」と余裕で確信が持てた。だからこそ、この↓優勝決定の瞬間の写真も撮れたワケで。

優勝発表の瞬間

優勝発表直後には、思わぬ事態も。何と、ヴォーカルのKacchangが、あまりの興奮状態により失神してしまったのだ…! その模様は、バンドのオフィシャル動画(https://youtu.be/S84tjcGZhTc)でも観ることが出来るが、現場ではちょっと騒然となっていた。というか、後ろで見守っていた人達は、バンド名が呼ばれたのに、どうしてすぐにバンドが前へ駆け出してこないのか…と、不思議に思っていたのでは?

優勝
Yusaku(dr)、Matsu(g)、Kacchang(vo)、Tomo-P(b)

ともあれ、実にめでたい!! 改めて、優勝おめでとうございます…!!!
カッチャン インタビュー
Kacchang、涙の優勝インタビュー!

とはいえ、あまり感動に浸っているヒマはない…。メイン・ステージでトリヴィアムの演奏が始まろうとしていたからだ。いや、FASTERステージで16時半スタートだから、開始には全然間に合わない…。でも何とか3曲目には間に合って、写真を撮ることも出来た。

トリヴィアム
TRIVIUM

浮世絵風のバックドロップに、龍のオブジェが2つ、朱塗りの謎土台にドラム・セットを置き…と奇妙な和のムードを発散していたショウは、序盤から正に怒濤。ヘヴィかつアグレッシヴ、そして激タイトな演奏に、軽く3万超の大観衆が揺れる、揺れる。当然クラウド・サーフもひっきりなし。マシュー“キイチ”ヒーフィーのカリスマに満ちたフロントマンっぷり、攻撃的リードを連発するコリィ・ビューリューの安定感には、惚れ惚れするばかりだ。

マシュー・キイチ・ヒーフィー
Matthew“Kiichi”Heafy(vo, g)

コリィ・ビューリュー
Corey Beaulieu(g, vo)

実は彼等、パオロ・グレゴリート(b)の急病により代役を立てての出演だったのだが、そのMALEVOLENCEのギタリスト:ジョシュ・ベインズがとてつもなく素晴らしく、急遽のヘルプ起用だなんてまるで感じさせなかった。

ジョシュ・ベインズ
Josh Baines(support b/L.)

2〜3曲観たら、トワイライト・フォースを観にWACKINGERステージへ…と思っていたのにしばらく観入ってしまい、結局トワライはパスすることに…。まぁ、(2023年)6月に日本で観たばっかりだったし、このままトリヴィアムを…となった。