BLESSINGS AND MIRACLES/SANTANA サンタナ:ラテン・フレーヴァーを生かしたキャリア総決算的な仕上がり

BLESSINGS AND MIRACLES/SANTANA サンタナ:ラテン・フレーヴァーを生かしたキャリア総決算的な仕上がり
アーティスト名SANTANA
サンタナ
アルバム名 BLESSINGS AND MIRACLES
ブレッシングス・アンド・ミラクルズ

| 輸入盤 | 2021/10/15発売

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御年74歳、マジカルな指さばきが冴える新作。名プロデューサー、リック・ルービンと作り上げた前作『AFRICA SPEAKS』(’19年)はアフリカン・ミュージックをテーマに、近年、経済発展が著しいアフリカ大陸の市場も踏まえたマーケティング戦略すらうかがえた1枚だったが、本作では自らプロデュースを手掛け、本来のラテン・フレーヴァーを生かしたキャリア総決算的な仕上がりとなっている。今回もコラボレーターが豊富で、「Move」では’99年のグラミー賞獲得曲「Smooth」の再現とばかりにロブ・トーマス(マッチボックス・トゥエンティ/vo)を迎え、プロコル・ハルムの名曲カヴァー「A Whiter Shade Of Pale」ではスティーヴ・ウィンウッド(vo, key)を召喚。アルバム随一のヘヴィ・ナンバー「America For Sale」ではメタリカのカーク・ハメットとともに火花散る壮絶なギター・バトルを展開している。レコーディング機材の詳細は不明だが、ここでのカークはピーター・グリーン〜ゲイリー・ムーアと受け継がれたギブソン・レスポール“Greeny”を使用しているのでは? サンタナがピーターの楽曲「Black Magic Woman」をカヴァーしていたことを考えると、そう連想せざるを得ない。『CARAVANSERAI』(’72年)時代を思わせる「Songs For Cindy」、本年2月に他界したチック・コリア(key)との生前の音源「Angel Choir / All Together」にも注目。かつての呪術性の再現と現代的なサウンドのバランスが実に眩しい。

【文】尾谷幸憲