DIAMOND BOY／ENUFF Z’NUFF パワー・ポップの名手による14作目

初期のグラム・メタル的な売り方がその後のキャリアに影響を与えただろうが、音楽を公平に見ればジェリー・フィッシュのような評価をされて良い、米シカゴ出身のパワー・ポップの名手による14作目。あの主要メンバーとは袂を分かったままだが、それが大きな問題に感じられないほど曲の出来が良い。ザ・ビートルズやチープ・トリック風の甘いメロディーにノスタルジックな鍵盤、ハーモニー・ギター／ヴォーカル…と、欲しいものが丁寧に紡がれていく。コーラス・ワークで上手く補強されているが、歌声には機械処理の形跡が多々…いや、それでもチップ・ズナフ（vo, b）の頑張りを讃えなければ嘘だろう。良作！

【文】菅原健太