アーティスト名 | CHAR Char |
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アルバム名 | Fret to Fret Fret to Fret |
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まずは活動45周年のアニヴァーサリー・イヤーに、ここまで溌剌としたアルバムをリリースしてくれた彼に最大級のリスペクトを贈りたい。前作『ROCK+』(’15年)は布袋寅泰らに楽曲を任せた、いわばシンガー&ギタリストとしての側面をフィーチュアした作品だったわけだが、本作ではすべての楽曲制作に関与しており、純度100パーセントのピュアなCharワールドが展開されている。バック・ミュージシャンの主軸はキャリア初期を支えた佐藤 準(key)とロバート・ブリル(dr)の2名で、Char本人も本作を『Char』(’76年)、『Char Ⅱ have a wine』(’77年)、『THRILL』(’78年)に続くアルバムと位置づけているとか。確かにそう言われてみれば、そう聴こえてくる。ブラジル音楽をベースにしたChar的歌謡シティ・ポップの「Stylist」、往年のラテン・ロックを消化した「You」、スティーヴィー・ワンダーのカヴァー「Creepin’」、往年のプログレを思わせる「Infant Elefant」、メンバーとのフリー・ジャムを楽曲に発展させたと思しきファンキー・フュージョン・ポップの「Gacha Gacha」「Rushing’ kiz」、ヘンドリックスへの思いが詰まったワウ使いの「Mr. Liar」、ヘヴィなリフ+鋭いカッティングを奏でる「Change」では「これぞChar!」と叫びたくなる長尺のソロ・ワークも聴かせてくれる。どこかリラックスした空気が漂っているのも特徴で、聴いているこちらもすっかり心地よくなってしまった。弘法の、余裕の一筆。
【文】尾谷幸憲