THE NATURE OF THE BEAST/IMPELLITTERI ヘヴィ・メタルの伝統と革新に懸け続けた男が示す、生きたサウンド/プレイの真髄

THE NATURE OF THE BEAST/IMPELLITTERI ヘヴィ・メタルの伝統と革新に懸け続けた男が示す、生きたサウンド/プレイの真髄
アーティスト名IMPELLITTERI
インペリテリ
アルバム名 THE NATURE OF THE BEAST
ザ・ネイチャー・オブ・ザ・ビースト

CD | ビクター | 2018年10月3日発売

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11作目となる新作は、前作『VENOM』(’15年)と同じラインナップで制作。クリス・インペリテリ(g)以下、お馴染みのロブ・ロック(vo)、ジェイムズ・アメリオ・プーリ(b)に加え、クリスとはアニメタルUSAでも一緒だったジョン・デッティがドラムを担当。今回はセッション・メンバーとしての参加ながら、息のピッタリ合ったところを見せる。

クリスはと言えば、今回もフル・ピッキングを多用した力強いトーンで全編を埋め尽くしており、リフにオブリにリードにと至るところギターだらけなのに、もっとこのサウンドに包まれたい!と思わせる。ネオ・クラシカルから’90年代的なヘヴィネスまで多種多様なスタイルの十二分な消化を示し、かつ音楽的創造とプレイを心底から楽しんでいるからこそ、彼のプレイはいちいちツボを得ながらもその1音1音が躍動するのだ。聴けば分かる──本作のすべてのギター・サウンドは水を得た魚のようにダイナミックで新鮮だ。超人的なファスト・プレイが受難の時期にあっても信念を曲げず、ギターという楽器が持つ音楽の可能性、ヘヴィ・メタルの伝統と革新に懸け続けた男が示す生きたサウンド/プレイの真髄、それを支える参加メンバー達の男気に溢れる貢献に触れていただきたい。なお、アート・ワークは前作同様、VersaillesやJupiterのギタリストであるTERUが担当。

【文】小澤明久