THE BOOK OF SOULS/IRON MAIDEN

THE BOOK OF SOULS/IRON MAIDEN
アーティスト名IRON MAIDEN
アイアン・メイデン
アルバム名 THE BOOK OF SOULS
ザ・ブック・オブ・ソウルズ

CD | ワーナーミュージック・ジャパン | 2015年9月4日発売

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大ヒットした『THE FINAL FRONTIER』(’10年)から5年のインターヴァルを置いてリリースされた通算16枚目の本作は、スタジオ盤としては初の2枚組というのが最大の話題。全員がアイデアを次々に出し、演奏しながら曲を形作っていくというプロセスを採った結果、1曲1曲が長くなったらしい。個人的に言わせてもらえばこれは不安を煽る情報だ。近作で見られたような地味で長い曲がさらに長くなり、まとまりのないアルバムになるのではと…。しかし結論から言えば、むしろここ数作よりも本作の方がフックは豊富だ。その理由の1つは複雑な方向に走らず、スピード感や巧妙なリフ・ワークが聴かせどころとして機能しているから。いかにもメイデンなギター・メロディーも贅沢に使われ、テンションが高いのだ。プログレッシヴ路線を意識したものもありつつ、「これは初期のリフか?」「“MAIDEN ENGLAND”ツアーでやった過去の曲に触発されたか?」とも思わせるような王道を今風に調理した曲もあり、ブルージーなスライドを取り入れた曲もありと、再生時間が長い分ヴァラエティで聴かせるので飽きもこない。そこはスティーヴ・ハリス(b)以外のメンバーが出したネタをメインにしたものが多いことも関係しているのだろう。食材をケチらずにどんどん鍋に入れて調理したことが勝利につながったというところか。
(斎藤新吉)