LIQUID TENSION EXPERIMENT 3/リキッド・テンション・エクスペリメント:再集結の22年ぶり3rd

LIQUID TENSION EXPERIMENT 3/リキッド・テンション・エクスペリメント:再集結の22年ぶり3rd
アーティスト名LIQUID TENSION EXPERIMENT
リキッド・テンション・エクスペリメント
アルバム名 LIQUID TENSION EXPERIMENT 3
リキッド・テンション・エクスペリメント3

2CD | ソニー・ミュージック ジャパン インターナショナル | 2021年3月24日発売

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’90年代終盤時点のドリーム・シアターを土台として成立したプログレッシヴ/テクニカル・ロック界の遣い手達によるガチンコ勝負プロジェクトが、パンデミックによる音楽業界小休止期間を利用して突如再結集し、22年ぶりに放った3作目。メンバー4人の顔ぶれも、全インスト・パートの見せ場を拮抗させながら楽曲の尺など気にかけず演奏技量の粋をひたすら繰り出しぶつけ合い絡め合う驚異のハイテク耐久レース的性格も、従前通り。アグレッシヴな突撃曲とリリカルなメロディアス曲の両方をバランス良く組み合わせたサントラ的世界観を目指す姿勢もきっちり引き継がれており、バンドとしての一貫性は驚くほど堅い。

 各インストの驚異的運動量と挙動の精度で圧倒する側面のみならず、ジョン・ペトルーシのギターとジョーダン・ルーデスのキーボードのメロディー創造の才も相変わらずキレッキレ。そのままRPG系アドヴェンチャー・ゲームのサントラに流用できそうな高揚感溢れる場面が続々立ち現われるファンタジー感も優れているが、その一方でクラシックとジャズの融合で知られるガーシュウィン「Rhapsody In Blue」の13分超に及ぶロック版翻案など、楽理的チャレンジ精神発現にもぬかりない。純粋なインプロヴィゼーション集のボーナス・ディスクと本編を比べると、プロジェクトの音楽的構築力の緻密さが瞭然。

【文】平野和祥