アーティスト名 | LOUDNESS ラウドネス |
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アルバム名 | SAMSARA FLIGHT〜輪廻飛翔〜 SAMSARA FLIGHT〜輪廻飛翔〜 |
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初期3作からの厳選曲を現布陣でレコーディングし直したセルフ・カヴァー・アルバム(限定盤はファン選曲のベスト盤とライヴDVDが付属。通常盤には「Road Racer」をボーナス追加)。
過去の初期曲リメイク作『ROCK SHOCKS』(’04年)では部分的に原曲の破壊と再構築がなされていたが、今回は名曲に見合った装飾を施し、切れ味を研ぎ澄ますのみで、絶対王者の貫禄である。シンセも用いた緻密な加筆によりプログレ性の説得力が増した「Black Wall」「Devil Soldier」「To Be Demon」は完全版となり、「In The Mirror」を始めとするスピード・チューンは、スラッシャーの鈴木政行(dr)が相応の獰猛さを加えた。一時期、音圧の中に埋もれていた山下昌良(b)の巧さや、二井原 実(vo)の熱き血潮が明瞭に伝わる良質なミックスも特筆である。コーラスの強化も喜ばしい点で、とりわけ「In The Mirror」の趣向はマイク・ヴェセーラも嬉しかろう。
そして高崎 晃(g)。リフは鋭さを増し、新たなリード・パートも原曲の魅力を底上げする精巧なものばかりだが、特に元来の暴走感に違和感なくファンキーな躍動感を加えた「Rock Shock(More And More)」は卓越している。本作のサブ・タイトル“輪廻”は、一巡した今の高崎のスタイルを指し、メンバー間のバランスが輪廻の輪の形となったことを表しているとも解釈できるが、すべてが最高の状態だ。“飛翔”するしかない!
【文】菅原健太